劇場公開日 2013年5月31日

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「無垢な少女が染まったものとは?」イノセント・ガーデン マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5無垢な少女が染まったものとは?

2013年6月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

異常なほど研ぎ澄まされた感覚を持つ少女が、自身に流れる血に目覚めていくようすを、そのおぞましさとは真逆の美しい映像で紐解いていく。
冒頭の「花は自由に色を選べない」という語りの意味がラストで明らかになる。はたして、白(無垢)だった花(少女)が染まったものとは?

自身の変化に恐怖と陶酔を覚える少女インディアをミア・ワシコウスカが見事に演じる。彼女はいずれアカデミー賞を獲るだろうと「アリス・イン・ワンダーランド」を観たときからずっと言い続けている。

突然現れる謎の叔父チャーリーにはマシュー・グード。その端正なマスクの下に隠された狂気の暴走は、「サイコ」のアンソニー・パーキンスを想起させる。

インディアと打ち解けない母親エヴィを演じるニコール・キッドマンは、どちらかというとゲスト出演的な位置づけだ。とくにどうということはない演技で乗り切る。
元夫のトム・クルーズが主演する「オブリビオン」が同じ日に公開されたが、図らずも67年のヒットナンバー(曲は違う)が両方に使わているのが面白い。
本作ではナンシー・シナトラ&リー・ヘイズルウッドの「サマー・ワイン」が、チャーリーが仕掛けた罠とも知らず、ワインに身を任せて踊るエヴィを嘲笑うかのように鳴り響く。

予告篇を見て吸血鬼に目覚める話かと思っていたが違っていた。もっと現実的で怖い話だ。
亡き父の思い出に浸る靴の羅列や、庭に点在する丸い巨石などアート的な描写が多いが、構図としては平凡。

マスター@だんだん