「運命そのままの現在と、運命を変えた現在」江ノ島プリズム 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
運命そのままの現在と、運命を変えた現在
修太、朔、ミチルは幼馴染みだったが、2年前に朔が急死、ミチルは留学。
朔の3回忌に彼の家でとある時計を発見、それはタイムトラベルが出来る不思議な時計で、修太は2年前に戻り朔の死を回避しようとするが…。
「時をかける少女」「バタフライ・エフェクト」、そして今大ヒットしている「君の名は。」などと同様、青春×タイムパラドックスの王道。
過去を変えようとしても定められた運命には抗えず…というタイムパラドックスの定石をしっかり踏まえている。
が、前半が何と言うか、中学生が考えたような、漫画みたいなツッコミ所満載。
その最たるが、“タイムウォッチ”。
結局あれは何だったの? 誰のものだったの? 何であんな所にあるの?
見てれば、多分あの娘に関係あるものなのかなぁ…?と推測出来るが、一切説明されないまま。
主人公の修太が、まあ単細胞。
その言動にはイライラハラハラさせられっ放し。
ところが見ていく内に、共感とまでは言わないが、しっくり来るものを感じた。
この粗が目立つ作りの作品が修太を表しているのだ。
修太の向こう見ずな性格が作品を表しているのだ。
あまり賢そうに思えない主人公が(失礼!)、がむしゃらに運命を変えようとする。
修太の決断には胸打つものを感じた。(「バタフライ・エフェクト」が好きな方には特に!)
江ノ島の美しい風景と電車に乗った“タイムトンネル”が、タイムトラベルに不思議な身近さを与える。
運命そのままの現在と、運命を変えた現在。
決して全員がハッピーエンドにならないが、誰かが妥協した…いや、望んだハッピーエンドなら、どちらを選ぶ?
後に月9で再共演する事になる福士蒼汰、野村周平、本田翼のブレイク直前の初共演。(その月9メンバーではないが、吉田羊も)
それはつまり、今も誉められるほどではない各々の演技力がさらに…って事でもあるが、初々しさ、フレッシュさは格別。
この3人が織り成す淡い三角関係も描かれるが、勿論何処までもスウィートに。
福士ファンには開幕早々から裸体サービスがあり、制服姿の本田翼は堪らないほどの目の保養になるが、誰より印象に残ったのは、“今日子ちゃん”。
ひょっとしたら、このタイムパラドックス物語の真の主役だったのかも…。