「忠誠と贖罪のホワイトハウス」エンド・オブ・ホワイトハウス としちゃん(≧∇≦)さんの映画レビュー(感想・評価)
忠誠と贖罪のホワイトハウス
最初から最後まで、まさに見ごたえのある作品だった。
ホワイトハウスがこんなにもあっさり陥落するのかと思うくらい、
序盤の襲撃シーンはとにかく迫力がすごい。
AC-130が街をなぎ倒すように攻撃してくるシーン、
地上では観光客に紛れたテロリストが次々と侵入してきて、あの瞬間の絶望感と混乱はリアルだった。
マイク・バニング(ジェラルド・バトラー)は、かつて大統領夫人を事故で救えず、それ以来ずっと現場を離れていた男。
けれど、ホワイトハウスがテロリストに襲撃されたと知った瞬間、迷わず戦場に飛び込んでいく。
“あの時守れなかった命を、今度こそ守る”――
そんな決意が表情から滲み出ていて、序盤からぐっと引き込まれた。
内部に潜入したバニングは、一人きりで無数の敵と渡り合いながら、大統領アッシャーを救出しようとする。
テロリストのリーダー・カンは冷酷そのもので、
国家の中枢を掌握しながら「ケルベロスコード」という核制御システムを奪おうとする。
この“ケルベロスコード”が本当に実在しそうなリアルさで、観ているだけでゾッとした。
アメリカの核を逆手にとって国を破滅させる――
彼の計画の狂気さがまた、この映画の緊張感を高めている。
そして、意外だったのがフォーブスの裏切り。
最初は完全に敵に寝返ったかと思いきや、最後の最後で自分の過ちに気づいて、命を懸けて償うようにバニングに手を貸す。
その一瞬の人間らしさが、この冷たい戦いの中で妙に印象に残った。
バニングの銃弾で終わる彼の最期には、静かだけど確かな“贖罪の温度”があった。
一方で、主要人物たちが次々と簡単に殺されていく展開には驚かされた。
「この人が?」と思うような人物があっけなく死んでいく。
でもその“容赦のなさ”が逆にリアルで、本当に国全体が崩壊寸前なんだと実感させられる。
終盤で大統領が刺されたときは、「ここで死ぬのか…?」と本気で思った。
けれど、バニングがギリギリのところでカンを倒し、
ケルベロスの発動を止めた瞬間は、心の底からホッとした。
戦いが終わったあと、大統領のそばに再び護衛として立つバニングの姿には、“再生”というテーマが静かに流れている気がした。
守れなかった命の代わりに、今度こそ守り抜いた――
彼の背中がそれを物語っていた。
全体を通して、アクションの迫力と緊張感、そして一人の男の“贖罪と使命”がしっかり描かれた映画だった。
「迫力があった」「見ごたえがあった」という言葉そのままに、心拍数が上がりっぱなしの2時間だった。