サイド・エフェクトのレビュー・感想・評価
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うますぎる…
面白かった。
前半の薬依存社会の淡々とした描写。
皆、何かしら飲んでいるし、すぐに薬を渡すし、抵抗感もない。
徐々に崩壊してゆくエミリー、追いつめられるジュード・ロウ。
やつれると髪も悲しそう。
知り尽くした武器を逆手に取られる反撃は、とっても怖いことだと思う。
監獄と何が違うのかわからない檻の中で、終わらない罰を受ける。
ルーニー・マーラの雰囲気とキャサリン・ゼタ・ジョーンズとの関係は、
悪魔のような女を思い出した。
最後のお義母さんがちょっとだけキャシー・ベイツに見えたりもした(笑)
ただいくらエミリーが芸達者でも、女は演技する生き物だったとしても、
やっぱり上手すぎだろうと思ってしまいました。
倍返しする実験。
ソダちゃん祭り第二弾。
あーこれが劇場用最後の監督作品だなんて、ホント勿体ない。
実験映画に長けたソダーバーグ最後の作品に納得至極。
あらすじと流れくらいしか言えないけど、ホントに面白かった。
しかし映画的には面白いけど、実際問題としてかなり怖いお話。
何かというとすぐにカウンセリング、クスリ漬け、という某国の
実態を思い切り皮肉っているのは一目瞭然だが、それで儲ける
英国出身の博士が巻き込まれていく今回の事件とは、果たして…。
注目は、またも出ているチで始まってムで終わるC・テイタム。
と思ってたら、彼にはあっという間に災難が降りかかりました(苦)
主人公・バンクス博士の患者、エミリーの夫マーティンなんですが。
この妻であるエミリーという女性、あの凄い出で立ちで盛り上げた
「ドラゴン・タトゥーの女」リメイク編でリスベット役をやった人ですね。
普通の化粧で見てみると、けっこう地味で。けっこう可愛い。
だけどねー、この人、これからこんな役しかこないんじゃないの?
っていう(日本でいうと二階堂ふみ)のような難怪演技力持ってます。
上映時間106分があっという間。
とくに後半のどんでん返しなどは、どうなるのかお楽しみに。
という感じで、日本でいま流行の「倍返しだ!」っていう台詞が
なんだか今作でも活き活きと感じてしまうタイムリーな作品。
まぁ…災難率としては、バンクス博士がダントツ!なんですけど、
今作の最も怖いところはタイトルにもなっている「副作用」。
最近じゃ、新薬の開発が進み(被験者が必要なので)どんどんそれが
患者に処方されているみたいだけど、新薬って何回も試さないと、
その薬の真の副作用の実態なんて分からないものだと思う。
重症患者には一か八か!の思いで医師も処方するのだろうけれど、
受け容れる患者側の方もしっかり把握していないと、今回のような
恐ろしい「副作用」による事件が起こってしまうかもしれない…!?
そうなれば今度は責任問題。どこに、誰に、一番の責任があるのか。
というわけで、そういうことはしっかり把握しておくんだぞ!
訴えられてからじゃ、遅いんだからな!
というのが、ソダちゃんからのラストメッセージになるのかな。
しかしこの作品は、後半でとてつもない仕掛けを展開させる。
新薬を巡る製薬会社や医師や患者絡みの社会派作品だと思わせて
あら、なんなのこれ!的などんでん返しを後半に持ってくるのだ。
ここがとっても実験的な見せ場^^;
私的にその様変わりする部分の繋ぎが若干しつこく感じたんだけど、
このしつこく嫌な感じがJ・ロウの苦悩を思わせていい感じなのだ。
もう一人の博士シーバートを演じるゼタ姐さん(最近頑張ってるね)
と合わせて、ずーっとビンタ食らってる感じの怒号の後半戦を是非。
風邪薬は効き目で選びたいところだけど、なんだかそれも怖いぞ。
(ソダちゃん処方の今作の副作用はなんだ!もっと観たくなるのか?)
急展開の大どんでん返し!
題名が英語で、どんな映画か解りづらい映画です。
日本語に訳すと、『副作用』です。
内容は、夫が、インサイダー取引で刑務所に4年間入り、鬱になった妻の病気が、刑務所から出て来たばかりの時に再発し、ジュード・ロウ演じる精神科医の与えた新薬で夢遊病となり、夫を包丁で刺し殺してしまい、薬の副作用に悩む真面目な話に途中まで見えました。
あまりにも真面目なNHKのドキュメンタリーみたいだったので、前半まで全く面白く無く、途中で映画館を出る人もいました。
ところが、後半から話が急展開の大どんでん返しをします。
実は、夫が刑務所に入っていた時に受診した女医と妻は、レズビアンの関係になっており、刑務所から出て来た夫が邪魔なのと、鬱病の新薬の悪影響を考えた株の暴落とライバル会社の株の値上がりを予想した女医の金儲けの計画だったのです。
残念なのは、あまりにも、前半の真面目な薬の副作用を考えさせられるシーンが長いため、間延びした映画になっています。
前半部分を短くして、女医の登場時間を長くすれば、最高の映画だったんですが。
それにしても、精神科で妻と女医がレズビアンに目覚めて、夫を躊躇なく刺し殺すシーンなんて、不気味でした。
ソダバ-グらしい映画
実にメリハリの無いソダバ-グらしい、作りの映画でスカッとしない。結局、狂気を装った復讐だった。天国から地獄を味わったのだから仕方ない。でも、人生なんてこんなもの波乱万丈なのだから。
↓でも前情報がないと、謎解きが難しい作品。
ソダーバーグ監督作品の印象としては、後味の苦い社会派で、観客を突き放し、オチを親切に説明しない、ちょっと構えて見てしまうものというイメージがありました。
ところが本作は、薬害の副作用(Side・effect)を告発する社会派に見せかけて、実は「ポストモダン・ヒッチコック・スリラー」ともいうべき、本格派のサスペンスを作り上げたのです。しかも、監督としては珍しいハッピーエンドで終わるのです。
今回で監督を引退するソダーバーグとしては、今までにないチャレンジがしたかったのではないでしょうか。
全体の印象としては、鬱病患者のエミリーが、新薬抗鬱剤の副作用で、無意識に夫を刺し殺してしまうという序盤のヤマ場までの展開が、やや長すぎたと思います。加えて、『ボーン・アルティメイタム』の脚本を担当したスコット・Z・バーンズの脚本は、いかに観客を欺くかということが徹底されて、ラスト近くまで観客がミスリードするような書き方なのです。だから真相がネタバレされたときの驚きは感じたものの、あまりにラスト近くまで引き付けすぎたため、いささか謎解きのスピードが急すぎるのです。もう一回見ないと、エミリーの心境の変化がイマイチよく分かりませんでした。
当初長々と、エミリーの病状と治療風景が描かれるシーンでは、すっかり副作用を隠そうとする製薬会社の陰謀を暴いていくのかと誤解してしまいました。ところが、追及の矛先が、新薬を処方した主治医の精神科医バンクスに向けられるに従い、本当の主役はバンクスだったのかと戸惑ったのです。もっと手短に、マスコミがバンクスの処方ミスを追及し始めるシーンに繋いで欲しかったです。
バンクスの登場は、脇役もいいところで、エミリーを患者に持つカウンセラーに過ぎませんでした。問題の薬を勧めるところでも、あれこれ試して効果がなかったエミリーが藁にもすがる思いで飛びついたのに過ぎず、自分が矢面に立たされ、主役になっていくなんて、聖天の霹靂だったでしょう。
ただバンクスの描き方として、医療ミスの冤罪のレッテルを引きはがそうとする正義のヒーローとしての強さだけでなく、自らも過去に患者との性的な接触を疑われた過去を持つ設定はいいと思います。それがあるから、ひょっとしたらバンクスは、昔と同じくエミリーにも興味を持って、邪魔な夫の殺害を意図したのではないかと思わしめる微妙なニュアンスが生まれました。
物語は、やがて法廷で精神薬の副作用で夫を殺したエミリーの有罪性を問いかけながら、バンクスは社会的にも家庭的にも追い込まれていく姿が描かれます。
仕事も家族も失ったバンクスは、倍返しだとばかりに、事件そのものを洗い直す調査に乗り出します。
そして僅かな手がかりから、エミリーは本当に副作用で夫を殺したのか。そして、彼女は果たしてそもそも鬱病だったのか疑い始めるのです。
その疑いの対象は、エミリーの前の主治医であるシーバート博士にも向けられました。果たして、医療事故だったのか、殺人なのか全く混沌とした中で、ラストに突入するのでした。
ルーニー・マーラーが演じるエミリーは、華奢で虫一匹殺せない感じ。だから、薬の副作用で夫を無意識に殺してしまったのという言い分は、凄く説得力があります。彼女に夫を意図的に殺す動機もありません。彼女を疑うのは、追い詰められたバンクスの妄想にしか見えないのです。それでも、恐ろしい一面持ち合わせているとしたらルーニーの演技力はたいしたもんだと驚きたくなりますね。
作品中夫のマーチンとのベッドシーンをオールヌードでこなす体当たりの演技も披露しています。
また、目立たない役柄のシーバート博士も、バンクスの追及で、化けの皮が剥がれたように豹変します。その追及シーンも見どころで、ジュード・ロウのゼタ・ジョーンズの演技合戦が見物でした。
いやはや、女は化けるものだと、女の怖さを思い知らされた作品でした。巻き込まれてしまったバンクスに思わず同情。
とにかく、あっといわせる結末は一切ネタバレできません。ぜひ劇場で。
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