劇場公開日 2013年9月6日

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「自分が知る自分と、人から見える自分と」サイド・エフェクト くりあさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5自分が知る自分と、人から見える自分と

2013年9月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

知的

「未来を取り戻そう」がコピーの薬、アブリクス。
鬱に処方されるこの薬を軸として起きた殺人事件を中心に据え、関係者それぞれの思惑が絡み合った混沌が描かれる。
何かおかしい。仕組まれているように見える。しかし、それは誰が。何を。
見失った未来は取り戻せるのか。
取り戻すこと叶わず失われてしまうのか。

登場人物のほとんどが精神の薬を服用もしくはその経験があるというのは、アメリカならではのリアルなのだろう。
「イギリスでは精神科にかかると病気だと思われる」と劇中で語られるのは、その点について逆説的な皮肉もしくは警鐘にも思える。

そしてこの話、何が怖いかというと、「事実とは自分が体験したものではなく、他者が自分を見て妥当と判断したもの」という現実を淡々と突きつけるところだ。
裁判でも、何故犯行が起きたのかを突き詰めるよりも、周囲の人間にとって適切と思われる落としどころを探す方が重要視される。
立場が悪くなるとき、それは真実がどうだったかよりも、他人にどう見えるかが問題なのだ。

最後にオチはつく。
収まるべきところに収まる。
しかし、後味悪くすっきりしない。
そういう映画。

以下余談。
先月、ホワイトハウスダウンで大統領を救ってた時には、こんなことろでぶっすりやられる姿をみるとは思わなかった、チャニング・テイタム。

くりぽん