劇場公開日 1980年4月26日

「CG技術が到達点を迎えた今、リアルの良さを再発見、こういった大掛かりな撮影ができる日本映画にお目にかかる機会はなさそうですね。」影武者 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0CG技術が到達点を迎えた今、リアルの良さを再発見、こういった大掛かりな撮影ができる日本映画にお目にかかる機会はなさそうですね。

2025年4月18日
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鑑賞方法:映画館

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惜しまれつつ25年7月27日(日)閉館を迎える丸の内TOEIさんにて「昭和100年映画祭 あの感動をもう一度」(3月28日(金)~5月8日(木))と題した昭和を彩った名作42本が上映中。本日は黒澤明監督『影武者』(4K版)を鑑賞。

『影武者』(1980/180分)
黒澤明監督が『椿三十郎』(1961)20年ぶりに手がけたスペクタクル巨編時代劇。

CG技術の進化で何でも自由に表現できる昨今、本作での数千にもおよぶ実在の足軽や騎馬隊の軍勢の動きはコンピューターで計算された動きではなく、実在する兵の一人ひとり、馬の一頭一頭が自由に躍動、リアルな迫力で思わず画面に惹き込まれてしまいます。
CG技術が到達点を迎えた今、リアルの良さを再発見、こういった大掛かりな撮影ができる日本映画にお目にかかる機会はなさそうですね。

撮影方法はワンシーンワンカットの数分にもおよぶ長回しですが、画面奥に微かに映る人物や天候、小道具など徹底的に細部までこだわった構図は絵画のようで180分の長編にも関わらず緊張が途切れることがありません。

キャスト陣も武田信玄と影武者の二役を演じきった仲代達矢氏は圧巻、傑出。
途中降板した勝新太郎氏の代役として急遽登板したとは思えないほどはまり役でしたね。
黒澤組常連の山崎努氏、大滝秀治氏の円熟味を増した演技のなか、諏訪勝頼役の萩原健一氏、土屋宗八郎役の根津甚八氏のフレッシュな演技、特に織田信長役の隆大介氏が信長らしいギラギラした面構えが実に良かったですね。

矢萩久登
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