「映像は素晴らしいが長過ぎる(180分)上に、感動が薄い。」影武者 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
映像は素晴らしいが長過ぎる(180分)上に、感動が薄い。
1980年。黒澤明監督作品。
外国版プロデューサーにフランシス・フォード・コッポラとジョージ・ルーカス。
カンヌ映画祭パルムドール受賞した。
アカデミー賞外国語映画賞と美術賞を受賞した。
配給収入は27億円でこの年の邦画第一位をたたき出した。
黒澤明監督はこの作品の前に「乱」を監督したかった。
製作費が膨大で実現が難しかった。
そこに「影武者」の企画が来て、まるで「乱」の予行練習のように、
この作品を先に監督したのだった。
実は私も、数日前に「乱」を観ました。
たしかに合戦の映像は酷似してきます。
聞けば、鎧、甲冑、鉄砲・・・などを「影武者」で使った物をそっくり「乱」に使うと言う算段が黒澤の脳裏には初めからあったそうです。
素人の私が言うのもおこがましいですが、この映画、心打たれませんでした。
時代劇スペクタル。
たしかに2000頭の馬、エキストラ2000人とスケールは大きいのですが、
合戦・・・「馬を狙え!」鉄砲隊に敵将は告げます。
しかし馬を撃つ場面はない。
騎乗で侍が相対して刀を奮って戦うシーンがない。
地上でも兵士の兵士が刀を奮って殺し合うシーンは皆無なのです。鉄砲隊は一列に並び一斉に鉄砲を打ちます→馬から騎乗兵が落ちる→また落ちる。
そんな繰り返しです。
合戦は平面的で立体感はない、平板なのです。
人間ドラマとしても武田信玄の影武者の葛藤はそれなりに描かれますが、ドラマとして薄い。
ドラマティックな映画とは思えません。
良くも悪くも超大作。
黒澤明監督作品として、私はあまり感動がありませんでした。
底に流れるヒューマニズムなど、黒澤映画に流れるテイストが薄く残念な感じを持ちました。
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