「もっと観たかった、その勇姿。」GODZILLA ゴジラ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
もっと観たかった、その勇姿。
日本の名怪獣「ゴジラ」が、またハリウッドで製作された。
もうやめておけばいいものを…(爆)なんて初めは思ったが、
かなり前から何度も流されてきた予告に少なからず胸が躍る。
今回は日本から渡辺謙も参戦している。
じゃあこれは原版をもう一度観ておかなければ!なんて思い、
劇場鑑賞をするつもりが…観逃してしまった(涙)
仕方なくBSで観直した感想は、やはり良くできている!
当時の特撮映像に、市民は本当に怪獣がいるんじゃないかと
恐れ慄いたそうだ。今観ると笑える箇所も初めてじゃ相当怖い。
自分が物心ついた頃のゴジラは既にカラー映像で、原版以降の
怖いゴジラからコミカル路線に移行しつつある頃の怪獣だった。
可愛いゴジラを(モスラに引き摺られたりする)笑って観ていたが、
原版を観返せば、とてもそういう娯楽ムードの作品じゃない。
空襲の恐怖、原爆の悲劇、様々な戦況を乗り越えてやっと、
日本人が復興を遂げようとしていた矢先の米国の水爆実験。
最近の原発事故や津波の恐怖と合わせ、どうして日本はこんな
悲劇にばかり見舞われるんだろう、と思ってしまう。
今回のハリウッド作は、そんな過去を取り入れながら、新しい
ゴジラ映画を築いた、との宣伝に頷ける部分は多いのだが…。
ゴジラの姿も鳴き声も(今までより)遥かに良いと思った。
ただ、なかなか出てこない。いつまで待っても、姿を見せない。
もったいぶってんなー。と思いながら、あの夫婦怪獣ムートーの
造詣がどうも気に入らない私は、早く出てこいよ!と思っていた。
俳優陣も頑張っているけど(しかし渡辺謙の影が薄過ぎ、彼は
芹沢博士なんだぞ!)やはり主役は怪獣なので、その恐ろしさが
存分に描かれる中盤以降がいちばんの見どころ。J・ビノシュが
あれだけ!?という出番にも驚いたが、キックアスの成長ぶりと、
あのオルセン姉妹の妹エリザベスが出演しているところも嬉しい。
(お次は兄妹役をやるんだっけ?)
観所、キャストも盛り沢山で、迫力映像も素晴らしいんだけど、
やはり物語の内容は…米国軍隊主導の怪獣映画で新味はない。
十分に日本をリスペクトしてくれているのは分かるんだけど、
(自分を含め)恐怖を味わっていない者にはゴジラの存在意義を
示す重厚なメッセージを描くことはやはり難しいのかな、と思う。
(音楽もかなりリスペクトされていて最高♪でもあれが聴きたい~)