「素晴らしい」かぐや姫の物語 Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしい
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穢れ多き地球。生きとし生けるものは、限りある命を変化させながら、春夏秋冬を巡り回る。
穢れなき月。永遠で変わらない清浄な世界。そこに苦しみはない。まるで「死」の世界。
月の天女が、地球を想いながら歌う哀歌。それを聞いた姫は、不浄な「生」の地球に憧れた。(姫の罪)
憧れていた地球が、穢れと苦しみでまみれていることを悟り、「帰りたい!」と念じた時点で、姫を送り込んだシステムは終了。
姫は月に戻され、記憶消去システムで、すべてを忘れてしまう。(姫の罰)
地球への憧れを捨てさせるマインドコントロールは成功することになる。
月(清浄)の父は、地球(不浄)への憧れを捨てるように強いる。
地球(不浄)の父は、里山(清浄)への郷愁を捨てるように強いる。
愛と束縛について深く考えさせられた。
妻子持ちとなった捨て丸とのラブシーンは、危うくやるせない。
かつての天女のように、月に戻った姫もまた、地球を見ながら「待つとし聞かばいまかへりこむ」と歌うのだろう。
記憶は消えても、感情は残る。
ラストの赤ちゃんの笑顔が忘れられない。
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