「心意気がすごい」かぐや姫の物語 えりんこさんの映画レビュー(感想・評価)
心意気がすごい
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かぐや姫の物語は、予告なんかを見たときはイマイチ惹かれずにいたもの。
この絵のタッチもあんまり好きじゃないし、何より今更なぜ竹取物語を映画化したのかわからなかった。
でも、やっぱり竹取物語の映画は見ておくべきかなと思ってた。
そんな感じでぼんやりとした興味を持ってるところに、宇多丸さんの絶賛評価を聞いて、急に見たくなった。
結果として、おもしろかったというか、心に残る作品になった。
アニメだし、結末ももちろん知ってるんだけど、月に帰っていくかぐや姫が単純に悲しくて。
赤ちゃんだったころから、本当にかわいがって育てて、姫のために都に行って、婿探しをして。
でも、それが原因になって手放さなくちゃいけない悲しさ。
しかも、天女の衣を着たかぐや姫は、もうこの世のことを忘れてしまっている。
映画自体は150分あって、長いんだけど、その長さがラストの登場人物たちの気持ちへの共感につながっていると思う。
帰ってきて解説を調べたら、高畑監督は登場人物の気持ちが書かれていない「竹取物語」を読んで、
気持ちをすべて自分たちで想像してこの映画を作ったそう。
実はハイジのときもそうだったらしい。
これは本当にすごいことだと思う。
全体に流れているテーマは、「何もない無の世界(月・都)は美しく完璧だけれど、
汚くても醜くても不完全でも何かある(この世・山)の方が生きている実感があって良い」というもの。
このテーマも素晴らしい。
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