劇場公開日 2013年11月23日

「現世とあの世」かぐや姫の物語 xtc4241さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0現世とあの世

2013年11月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

幸せ

かぐや姫がなにかに向かって疾走する、そんな予告編を
見たとき、なんかぼよんとした絵のタッチに違和感をもった。
だから、もしピカデリーの特典でみることができなければ、
そのままスルーしていたかもしれない。

でも、その映像も5分もするとなんともいえない幸福な気分
になった。竹の子の成長していく姿、鳥や虫や獣といっしょ
になって生きていく姿、お兄さんに淡い恋心を抱くところも
水彩画のような映像が実に瑞々しく描き出す。

ストーリー的には、僕が知っている「竹取物語」のアウトライン
には違いはないのだが、なぜ、こんな現実離れしたシュールな物語を
昔の人は創ったのか、すこしわかったような気がした。それは現代の
僕らも同じように感じることではあるのだが。

地球(現世)は混沌としている。金や権力に埋もれてしまう可能性も
ある。だけど、生きものがいて、春夏秋冬があり、恋もある。
つまり、悲しみもあり、そして、大きな喜びもある世界なのだ。
月(あの世)には混沌も混迷もない。実にハッピーな状態だけが
ある。それが常態化した世界。つまり、悲しみがない代わりに、
大きな喜びも感じることがない世界なのだ。

かぐや姫はその両方を見てしまったのだ。
だから、揺れ動く。そんな罪と罰。
瑞々しい映像と共にそんな哲学的、宗教的な映画だと感じた。

xtc4241
nonnonさんのコメント
2013年11月25日

私も、予告編見た時は、こう言う絵ってどうなんだろう?と思っていたし、誘われなかったら行ってなかったかも知れない。
ところが、この絵が動き出した途端、惹き込まれてしまった。
日本の自然の、古来の生活の描写の美しさ。
赤ん坊の成長の描写の、可愛さ細やかさ。

そしてダイナミックな動き、スケールの大きさ。

予想をはるかに超えていました。

nonnon