「地井さんをはじめ、声を担当された俳優の皆さん方の尊い努力に対して1点、映画としての点はゼロ」かぐや姫の物語 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
地井さんをはじめ、声を担当された俳優の皆さん方の尊い努力に対して1点、映画としての点はゼロ
私は、高畑監督の「母をたずねて三千里」や「アルプスの少女ハイジ」を学校の休みのシーズンには、親にオネダリして、よく映画館へ連れて行って貰った世代である。
それなので、子供時代は高畑監督作品の映画には大変お世話になった訳である。
今の子供達もきっと、アニメ映画を映画館で観たいと親にオネダリするのは同じだろう?
しかし、この映画は、そんな子供の期待に応える事が出来る作品だろうか?
私は、きっと子供にはいささか無理な作品だと思うのだ。
音楽はとても綺麗で、歌声も良いし、アニメの動画自体もとても綺麗で、画的には楽しめるのだ。
されど、2時間17分と言うこんなに長尺映画では、とても子供は集中力が続かないのではあるまいか?
更に、言うならば、太古の昔から、親が子供へと大切に語り継いで来た民話とも言える我が国の大切な無形文化である「竹取物語」。
誰も、語り聴き親しんできた、かぐや姫のお話を、かぐや姫の犯した罪と罰として描くなど、何と大胆な試みをされたのだろう?と驚き、注意深く本作を観てみる。
しかし、何の事も無い、かぐや姫の捨丸への淡い恋心が描かれる事が無ければ、後はどれもこれも、昔の「竹取物語」と変わりはしない。
これでは、誇大広告で有ると同時に、我が国の大切な古くから語られている、伝承文化の価値を汚すようなキャッチコピーは、どのような解釈をすれば良いのだろうか?
何故、高畑監督が、数十年間の長きに渡り、この作品を制作したいと願っていたのか理解に苦しむばかりであった。
この夏超大ヒットした「風たちぬ」もそうだが、スタジオジブリに対して個人的な敵意や恨みは無いけれども、スタジオジブリでは、何故2作品も続けて自国の文化や慣習を否定するような作品を制作し続けるのか、その意図が理解出来ない。
アニメ映画は、今では我が国の一つの大切な文化産業であり、未来を生きる我が国の大切な宝である子供たちが映画を観て、未来に希望と夢を持つ事が出来る大切なツールの一つが、日本のアニメ映画であるはずなのに、何だか残念だ。
昔話や、民話や神話には、色々な社会風刺や、人として有るべき理想の姿などの、大切な道徳文化を、自然な形で子供達に伝えて行く大切な文化なのだから、わざわざ否定する事でもあるまい。
こう言う口伝の物語の数々は、我が国ばかりではなく、世界至る処に有り、それぞれの国々が、みんな自国の文化を大切に護り受け継いでいる民衆文化である。
「かぐや姫」を映画にするのなら、是非60分から80分程度の尺で、もっともっと幼児や子供達が観ても楽しめる作品にして欲しいものだ。
難しい理屈は別の作品で描いて欲しいものだ。