劇場公開日 2013年11月23日

「1000年分の女の子の悲しみ 大胆な再構築」かぐや姫の物語 hyvaayota26さんの映画レビュー(感想・評価)

5.01000年分の女の子の悲しみ 大胆な再構築

2022年8月12日
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あまりのすごさに息が詰まった。

高貴な人との結婚しか女性の「幸せ」の選択肢がなかった時代の女の子たちの悲しみが詰まっていた。脚本は高畑勲と坂口理子の共作。高畑勲のビジョンに驚く。10年早かったのでは。

あんなに慈しんだ子を、だんだんと交換する商品として扱ってしまう翁。かぐや姫の本当の望みと向き合うことはない。媼は同じ女性として理解して心を寄せる。

前半の翁とおうなの子どもと暮らす喜びの演出がほんとにいい!宴席を飛び出す怒りの描写、桜の下でくるくると廻る姿、捨丸と自由に飛び廻る流れなど、心情の演出も胸に迫る。

すばらしい時間もあったけれどもう、ここには居たくない、居場所もない。月に帰り、まためぐりめぐっていつか自由に生きられるといいね。

Disneyが王子様と結婚してめでたしめでたしの物語を紡いできた中で、結婚を拒み月へ帰る(伝承では悲恋の扱い)物語が語られてきたことと、それを大胆に解釈したことのすごさを思った。

かぐや姫はナウシカみたいでもあり、ナウシカになれなかった私たちの姿でもあった。

hyvaayota26