劇場公開日 2013年7月20日

風立ちぬのレビュー・感想・評価

全392件中、381~392件目を表示

4.5‘生きねば’ピッタリな一言でした。

2013年7月20日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

どれだけ予告編を見せられたことか…どこの映画館でもどの作品でもひたすら4分間の予告編見せられていいかげんにしろ!っと思っていましたが…
この作品、いい作品でした。感動しました。泣けました。しばらく涙が止まりませんでした。
絵面は誰もがご存知のようにどれをとっても素晴らしい。
久石譲さんの音楽がこれまたいい。
エンディングの荒井由実の主題歌もマッチングしていました。
フィクションではあるけれど、生きるのに辛い時も、時代が大変なときも、夢を追いつ続ける人がいるから時代はきちんと進んでいくんだな、ってことを痛感。主人公二人が再開してから結ばれるまでがやや唐突な気もしますが、この二人のお互いを思いやる気持ちも、また快く響くのでした…。
夢と現実が交差するお話展開も宮崎アニメにはピッタリですね。
とにかく、いいです、この作品。よかった。

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peanuts

4.5誰もが羨む存在の挫折

2013年7月20日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

誰もが羨む存在の挫折が心に刺さる映画。
文学小説にも似た、「誰が何を描いているのか」を踏まえて観る映画。

宮崎駿監督は、日本人なら誰もが知る、国民的アニメ映画監督。
飛行シーンにこだわり続けた監督が、飛行機設計士の物語を描く。
しかもただの設計技師ではない。日本を代表する設計技師だ。

これを宮崎駿監督に重ねずに見ることはできないし
なにより、誰からも羨まれる才能と地位にいる人物として共通する。
そんな「憧れの人」の「人生を賭した先にある挫折」が描かれる。

以下、ネタばれを含む。

作中主人公は、「ただ美しい飛行機を作りたかった」と繰り返し発言する青年。それが彼の唯一単純な夢。

しかし、戦時下にある日本で「飛行機」は
「戦闘機」としてしか存在を許されない。
現実と折り合いをつけながら「美しい戦闘機」を作る主人公。

早い段階から頭角を現し、才能を認められ、プロジェクトを任され、失敗し、そして傑作と呼べる作品を残す。しかし、その作品によって、「国が滅びる」。

私は、今年30歳。
小学校時代、教育の中にジブリがあった。
ジブリの歌を合唱で歌い、吹奏楽ではラピュタやトトロを何度も聴いた。

当時、公害問題から社会現象となっていた自然環境保護の精神を
ジブリの『ナウシカ』『となりのトトロ』や『もののけ姫』から学んだし
言ってしまえば「水の旅人」なんて最たるものだった。

つまり、積極的に教育現場に浸透していったことからもわかるように
ジブリは国民的映画になる過程で
日本国民がとるべき行動や感受性の指針を背負っていた。

毎年8月に『火垂るの墓』がテレビで放送されることも象徴的だ。
ジブリは日本の国民性を作るミッションを結果的に担っていた。

これは、ただ「美しいモノを作りたい」という青年の葛藤に重なる。

つまり、宮崎駿監督はただ「美しいアニメを作りたい」と考えてきた。
しかし、ただ美しいロマンを突き詰めるだけでは、映画は存在できない。
商売であるし、お金が絡むし、国民的映画監督となれば、社会的責任も背負う。

そのロマンティシズムを監督自身が否定していたわけではない。
「美しい戦闘機」は傑作で、監督の夢が形になったものでは確かにあった。
ジブリの送り出した価値観は、監督の信じるロマンであったことは確かだろう。

ただし、結果として「国を滅ぼした」。
「だれも帰ってこなかった」。「悪夢かと思ったよ」。

監督は、現実を魅力的に描くことができなかった。

言いかえると、
平均的に働き、子を育み、死んでいくという
現実的な人の営みを魅力的に描くことができなかった。

監督の作品は、冒険や不思議な存在、魔法の力など
現実には存在しない、ロマンティックな力や心の優しさを
物語のクライマックスシーンでの、「解決策」に描き続けた。

『魔女の宅急便』が象徴的だ。
魔女の少女が、街に出て特技を生かして働く物語だが
最終的には、働くこととは関係のない、飛行船に友人が吊下げられるという大事件を、魔法の力で解決し、彼女は街のヒロインになる。

魔女の宅急便として頑張った先ではなく、本人がもともと持っていた彼女にしかない資質で、誰にも出来ないことをやって、ヒロインになる。

監督の「美しいと思うモノ」はそのロマンの中にあった。
その生き方は、多くの人には真似の出来ないものだ。

しかし、子どもたちは「その自己実現」を衝撃的に受け取った。

自分の才能を信じて街に出て、例え一時は認められずスランプに陥っても
信じて続けることでいつか大きな花を咲かせる。この生き方だ。

結果として、
働くことを描いたアニメで、才能による一発逆転を賛美してしまった。

エンターテイメントとしては最高の映画だし
細部まで拘りきった映像伏線が張られていて何度見ても感動する。
ただ、働くことそのものを、魅力的に描くこと
物語のクライマックスに持っていくことに失敗したのだ。

宮崎監督はロマンの人だったために
普通に働いて生き、そして死ぬことを、魅力的に描けなかった。

結果、日本の子供達が
「普通に生きること」に魅力を感じない一因となった。
仕事をして生活することに魅力を感じない若者が多数生まれた。

夢を追うことに人生を賭すフリーターや
生きることに魅力を感じないニートを多数生み出した。
自殺者年間三万人も無関係ではない、
監督はそう感じているのではないか。

その反省が『千と千尋の神隠し』で見てとれる。
真正面から、「働くこと」を描いた。
子供たちに、働くことの素晴らしさを伝えようとしたのだ。

しかし、この千尋を魅力的に見せることに、監督は失敗している。

作中、働くことで親を取り戻した千尋はトンネルをくぐり現実に戻る。
トンネルをくぐり、異世界へ来た時と同じように、親の腕にしがみついて。
魔女の宅急便のキキのその後と違いすぎて、悲しかったのを覚えている。

監督は信じていない美しさを描けなった。
普通に働いて死ぬことに、ロマンを描けなかったのだ。

思うに、この挫折は相当だったろうと思う。
自分の作る作品が、弱い若者、現実で生きることが出来ない若者を生むとして
自分は映画を作っていいのか。

そこで『ハウルの動く城』では
動く城という表現の面白さをつきつめて取り組んだ。
また、老いて生きること、人の美しさの本質を描こうとした。

物語の整合性はかなぐり捨てた。
あるいは、あえて捨てたのかもしれない。恐ろしくて。

そしてこれもやはり、挫折だったろうと思う。
普通に老いた女性ではなかったし。

もう、何を作っていいのか、わからない。
そこまで来ていたのではないか。

その監督が『風立ちぬ』を描いた。

もはや普通の人の普通の生活を魅力的に描くことは自分にはできない。
どうすれば、「生きる」ことを肯定的に描けるだろうか。
答えは出なかった。

そこで、自分を題材に取ることにした。
特殊な仕事とはいえ、宮崎監督自身も精一杯働いてきた。
そして、人から羨まれる立場にあり、成功を収めたと言っていい。

「男は仕事をしてこそだ」というセリフが作中にあったと思う。
これは、真実、監督がそう感じていると思う。

だから、仕事をしながら輝かなければだめだと
その思いに嘘はないから、表現は踊り始めた。

そして、嘘をつかなかった。
仕事に打ち込んで、それだけの結果を残しながら
監督自身は今、言い知れない上記のような挫折を感じている。
それを最後に描いた。

「ただ美しい表現がしたかった」という本音と
時代の流れの中でやむなくやった部分もあるという懺悔
そして、たしかに「美しいモノ」を生み出したけれど
それが招いた結果に実は愕然としている。

夢をかなえた先に、待っていた挫折。
この先、どこに向かっていいのか、途方に暮れる感じが滲み出ている。

また、創作者としてのピークは「10年」だと
何十年も作ってきた監督が描いている。

自分はもう、純粋な気持ちで映画を作れない
もう長い間作れていない、本当は作っていていい人間ではない、
監督のロマンチシズムがそう言っているのではないか。

その監督が、そんな自身のロマンチシズムに否定され続けながら
苦心して描いた「風立ちぬ」。

夢を叶えた先の挫折を描くことで、
ジブリを見て育った若者に、生きることを問う。
働きながら輝くことの尊さと限界を描き
そこから何を感じるか、どう生きるかは、もう君たちに任せる、と。

敢えて、主人公、ヒロインを強く美しく描き
自分と切り離す理想を描いたように見せてロマンチシズムを鼓舞し
素直な心根を描ききった。

「風が吹く限りは、生きねばならぬ」

宮崎監督にしか作れない、傑作だと思う。

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ナス

4.0愛、夢、飛行機、生きる意味…宮崎駿の心を感じた

2013年7月18日
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鑑賞方法:試写会

泣ける

知的

幸せ

宮崎駿。
新作を作れば100億を超えるメガヒット。作品も支持され、まさに国民的映画監督。
しかしその分、観客の期待は厳しいほど高い。毎回毎回過去作品と比べられ、気の毒でもある。映画監督にとって、過去作品と比べられるほど嫌なものはない。
前作「崖の上のポニョ」は、歌もキャラデザインも観客に媚びている気がしてあまり好きになれなかった。(つまらなくはないが)
宮崎もそろそろ…と最近よく聞くが、それでもやはり新作は期待してしまう。
そして5年振りとなるその最新作は…

同時代を生きた零戦設計者・堀越二郎と文学者・堀辰雄。二人の実在の人物をモデルにした主人公の物語。
まず、ファンタジーではない所に興味惹かれた。
得意分野を離れ、実在の人物を主人公とし、現実をどう描くのか。
宮崎作品としては異色ながら、宮崎作品の精神は息づいていた。空、飛行機、夢、ロマンス、生きる意味…。
ヒューマンドラマでありながら何処となくファンタジックな味わいも感じさせ、夢の中でカプローニと会うシーンなどは巧い。

また、観客に考えを委ねる演出も印象的だった。
自分の作った夢が戦争の兵器として使われる。その苦悩は当然あったハズだが、抑えて描いて観客に感じさせる。
菜穂子との死別も直接的に描いた訳ではないが、ラストシーンでそれと感じさせる。
説明過多より“見る”醍醐味がある。

主人公、二郎の人物像がイイ。
勤勉で実直。菜穂子への愛の伝え方やプロポーズもストレート。
自分の夢が戦争の兵器として使われると分かっていても、“美しい飛行機”を作りたいとただひたすら夢を追いかける。
真面目でロマンチストな好青年。
庵野サンの声は上手いか下手かは別として、徐々に馴染んできた。

いつもの宮崎の作品を期待すると肩透かしは食らうだろう。
ファンタジーでもないし、冒険も無いし、ユニークなキャラクターも出てこない。
飛行機作りの専門的な話や異例の複数回のキスシーンなど、大人向けの作品であって、子供には退屈に感じるかもしれない。
でも、アニメ=子供が見るもの、という考え方自体、嫌いだ。大人が見るアニメがあったってイイ。

躍動感には欠けるが、主人公の愛と夢をじっくり堪能。
大傑作!…とまでは言わないが、上質な佳作。
宮崎駿の心を感じられた。

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近大

1.0曖昧な挫折

2013年7月16日
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鑑賞方法:試写会

単純

カントクは最初に言ったはずですね。
「この映画は挫折を描く」んだと。
主人公は祝福された才能のある男じゃない。
恋人を亡くし、仕事で失敗し、全てを失う男の話をつくるんだと。
そこで震災後を生きる我々に響く話ができるんだと。

冗談じゃありませんよ、なんですかこの映画は。
祝福された才能のある主人公が、好き勝手に生きただけの話じゃないですか。

挫折なんて最後の数分でチラと出るくらい。
ほぼ全編が夢とも現実ともつかない描写のなかで
身勝手で中身が子供のままの男が周囲に甘やかされながら自分の好きなことをやる話です。
誰が共感します?

それでも彼の挫折がキチンと描けていれば見方も変わったでしょう、でも肝心なそれがない。

宮崎駿もさすがに耄碌したなという感じがします。
職人を標榜しながら後継者の育成に失敗してきたツケが今頃回ってきたんでしょうかね。

あ、それでも作画の細部の動きは面白かったです。そこはさすがジブリ、ていうかそれくらいしかこの作品は見どころがない。

あとアンノ監督の声は最初から最後まで違和感しかありませんでした。

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5st

1.0忍耐力が必要

2013年7月16日
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鑑賞方法:試写会

難しい

今日試写会でした。1時間見ましたが意味不明。その先を見る気になれず途中で帰りました。大人の私でも内容が理解できないんだから子供は絶対無理でしょう。子連れの親子も子供が愚図りだし途中で抜け出し休憩したり帰る人も居ました。宮崎駿監督といえば子供から大人まで楽しめる夢や希望にあふれた作品で有名、今までもたくさんの作品があり私も大好きで今日の試写会も楽しみでしたが本当に残念。とても身銭切っては見たく有りません。試写会で救われました。もうナウシカやラピュタ、もののけや千と千尋の神隠しのような作品は出てこないんでしょうか?ジブリもついにネタ切れなんでしょうか?5年ぶりの作品がこれとは本当に残念でした。金曜ロードショーで十分な作品でした。

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itc43

4.0古き時代を生きた人のロマン

2013年7月14日
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鑑賞方法:試写会

泣ける

楽しい

萌える

とにかく、映像が綺麗で夢がある。ゼロ戦を作った堀越二郎の飛行機にかける夢。戦争を経験した監督が堀辰夫の風立ちぬと結び付けて作品を作った。結ばれることの無いなおことの恋のエピソード、とてもゆるやかな時間が流れていく。もしかしたらある時代の人間にしか受けいられないかもしれないがとても良い作品だと思う。ユーミンを初めて聞いた(紙ヒコーキ)もともと大好きな歌でしたが、この主題歌にぴったりで涙が出そうになりました・

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未散

2.0ユーミンの歌に救われた

2013年7月13日
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鑑賞方法:試写会

単純

試写会で観てきましたが、退屈でした。
一つ一つが絵になる画面は素敵でしたが、内容と声優が単調すぎて集中できませんでした。
最後のユーミンの「ひこうき雲」が流れたときだけ、うるっときましたが、この主題歌がなければ本当に駄作だと思います。
お子さんと見る映画でないことは確かです。
絵だけを楽しむ方にはオススメします。

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紳吉

4.0宮崎駿にメリケンサックで頭どつかれた。

2013年7月12日
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鑑賞方法:試写会

泣ける

幸せ

年齢30歳の男です。

すべてのジブリ作品を観ているのですが、私の好きなジブリ作品は1番は紅の豚、2番はラピュタ、次がもののけ姫、火垂るの墓、ナウシカ・・・この風立ちぬはラピュタと同率2位です。人によっては1番好きなジブリ作品と言う人もいると思います。

上映中は笑い声は一切なくボケた?所は寒い感じになっていました。しかし映画後半になると館内から鼻汁をすする音がたくさん聞こえてきました。映画上映後は泣き崩れて立てなくなっている人もいたし、あれっ?これで終わり?と言う感じの人もいました。

大衆受けせず好き嫌いが分かれると思います。支持する層はコアな男性受け、評論家受けすると思います。決して大傑作ではなく、かと言って秀作止まりでもなく怪作と言う言葉がふさわしいと思います。

メッセージ性が非常に濃い映画なので、観後感は宮崎駿にメリケンサックで、頭どつかれた気分でした。

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アマチュア映画監督

5.0親子でこそ観てほしい

2013年7月10日
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鑑賞方法:試写会

楽しい

興奮

幸せ

「子供向けではないよね」
エレベーターの中で、鑑賞を終えた誰かの声が聞こえてきた。

確かに「子供には退屈なんじゃないか」と大人には映る作品だったかもしれない。
かわいいキャラクターだったり、単純な優しさだったり、運動会の行進に使われるような主題歌といったものはない。
厳格な家庭では、テレビのチャンネルを変えてしまうようなシーンもないことはない。
PTA的には絶賛おすすめの映画ではないだろう。

でも、わたしには親子に、いや子供にこそ薦めたい映画である。

理由はみっつ。

ひとつめは「美しいアニメーション」にある。
宮崎駿監督のつくる映画の空は綺麗だ。
細部にまでこだわって動くアニメーションには迫力と躍動感がある。
色や独特の遠近感には、リアリティよりリアルな表現力がある。
子供の頃に目で見た世界は、その後の美的感覚に大きな影響を与える。
せっかく宮崎駿監督と同じ時代に生まれて、大きなスクリーンで見れるチャンスがあるのだから、逃すのはもったいない。
映画の内容がわからなくても、きっと子供の脳には無音でもしっかりとした映像が焼きつくだろう。
映画館を出て見る空が、前よりずっと綺麗に見えるはず。

ふたつめは「子供は大人が思ってるより、ずっと大人だ」というところにある。
子供は大人が思っているより、ずっと残酷で、スケベで、周りの人の顔色をうかがっている。
親がどう思ってこの映画を観ているか、どんなリアクションを自分がすればいいのか考えている。
「子供には難しだろうな」と思うことが、もちろんすべてではないが、子供にはしっかり届いていたりする。
ちょっとした背伸びの練習にもなるだろう。

みっつめは「今わからなくてもいい」というところだ。
親子で映画館で映画を観る本数は以外と少ない。
その映画の中で大人になっても、じっくりと鑑賞できる映画はほとんどない。
「小さい頃に連れてってもらったな」なんて思いながら、レンタルショップで借りることもあるんではないだろうか(その時レンタルショップがあるかはわからないが)。
きっと、今と違った感想を持つはずだ。
「風立ちぬ」は星の王子様のように、この映画を見る歳、気持ち、経験などによって思うことは変わってくる映画である。
「なんで母さんがあの時泣いてたかわかったよ」「あの表情はこういう意味だったのかな」「退屈に感じたのは、自分の勉強不足だったんだ」なんて思ったり、思わなかったり。
子供の頃に連れてってもらってよかったなって、いつか思える日がくるはず。
たぶん。

70代や60代がこの映画を支えている。
どうしたって人には寿命がある。
いつかこの映画が失われた技術のようになる日が来るのだろうか。

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ナポリタン

2.5大人すぎる人向け?

2013年7月10日
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鑑賞方法:試写会

単純

寝られる

劇場試写にて鑑賞。

無料鑑賞でも少々辛い単調さ。
有料なら文句たらたらでの帰宅だったかも・・・

睡魔に勝てずかなりコックリしたにも関わらず
目覚めたらほとんど展開に違和感なく
話が飛んでなかった事にびっくりだった。

映画で語る思いはわかります。

一緒に鑑賞した。昭和一桁世代の母たちは
とっても喜んでの帰宅になっていたので
いい映画なのでしょう。

宮崎映画に自分がときめかなくなっただけなのでしょう。

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たむさん

4.0宮崎作品で一番切ない物語

2013年7月5日
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鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

風立ちぬを観た。

観終わったとき、「よかった」と「またか」という気持ちが7:3で入り混じった。

先に言っておくと、ナウシカ~もののけ姫(最後の20分前まで)までの作品はパーフェクトだと思っているが、またああいう「昔の作品」を観たい、という気持ちはさほどない。それよりも宮崎駿の「新たな作品」を観たい、と望んでいる。

千と千尋~ポニョに関しては、面白くないとは思わないが、好みの作品ではなかった。そして残念ではあるが、それはしょうがないことだとも思っていた。すべての作品が自分に向けられたものであるはずはないから。

今作に対しては期待が大きかった。「大人に向けた作品」だろうと感じていたからだ。
結果、想像以上に大人に向けた作品であり、子どもへの配慮はほぼ与えられていなかった。そういう意味では紅の豚に似ている。(どちらも雑誌に掲載した自身の趣味の飛行機漫画を原作にしていることもあるが。)さらにそこに、宮崎作品では初の試みとなる、純粋で濃密なラブストーリーが合わさってくる。

宮崎作品を観る場合、大抵の人は、僕もだが、どうしても「宮崎駿」というブランドを意識し過ぎてしまう。それは「風の谷のナウシカ」であり、「となりのトトロ」であり、「魔女の宅急便」である。子どもから大人までを魅了して止まない傑出したファンタジーワールドだ。
カリオストロの城、風の谷のナウシカ、天空の城ラピュタ、となりのトトロ、魔女の宅急便、紅の豚、もののけ姫。 世界中を探しても、一人の監督が、これだけの傑作を作り上げた例は他にあるだろうか?僕はないと思うし、毎回色眼鏡で観られてしまうのは、こんなことをやってのけてしまったための弊害に他ならない。

さて今回の作品。宮崎駿自身が「簡単にはファンタジーを作れない時代になってしまった」と述べていた通り、軸となるのは、大正~昭和の日本の実情だ。主人公は実在した戦闘機の設計者、堀越二郎と、実在した小説家、堀辰雄を足した架空の人物。作品自体もノンフィクションな要素は多いように見受けられるが、基本的にはフィクションだ。
物語は二つの骨組みに支えられている。ひたすら純粋に飛行機作りに励む二郎の夢物語と、菜穂子との悲恋のラブストーリーである。

前者はとにかく地味だった。派手さは極限まで抑えられ、あまりにも淡々としていて、あまりにもリアルだった。そのため、子どもや女性の中にはここで飽きてしまう方もいるのではないかと心配になった。
宮崎駿は元々戦闘機や戦車オタクであり、それらに関連した雑誌漫画を多々描いている。その宮崎駿からすれば、 別段知識をひけらかしたいわけでもなく、二郎の飛行機に対する純朴な想いを描きたかったに過ぎないのだろう。
ただ、一般人との感覚のずれは小さくなかったかもしれない。僕は一応夢追い人であるので、夢を追い続ける二郎の姿に、深く深く入り込んだ。「そうなんだよ。そうなっちゃうんだよ。」と共鳴した。また、二郎に宮崎駿自身の姿も重なり、思わず涙腺が緩んだ。
だがこれは「特定の人」に限定した効果であるような気がする。
二郎のキャラ設定も相まって、敢えて大げさな演出をしていないため、何か迫ってくるものに欠けていると感じてしまう人は多いんじゃないだろうか。そのため多くの人はそこで置いてけぼりになってしまう可能性がある。
業界内では非常に評判が高いと聞いたが、きっと二郎のように必死に夢を追い続けた人たちにとってはたまらない演出だろう。だが、そのギャップは否めない。

一方、後者の菜穂子とのラブストーリーは万人受けする内容であったと思う。
健気で一途で可憐でありながら、結核を患った女神のような女性、菜穂子。宮崎作品のヒロインに恋し続けてきた僕のような男性にとっては、今作の菜穂子もどストライクな女性であるはずだ。その菜穂子と二郎の純粋すぎる悲恋の行方は、正直、涙なしには追えなかった。
こんなよくある狙い過ぎたラブストーリーは、ふつうなら目を覆いたくなるものだが、それを宮崎駿が「ここ」でやったことに意味があり、宮崎作品の世界観及びクオリティーによって安さと気だるさをまったく感じさせない絶妙なバランスを保っていた。これは流石だと思わされたのと同時に「とても斬新な試み」だと感じた。

しかし、二時間の作品ではこの両者の融合が今一つ実現できていなかったように思う。飛行機作りと恋愛を、ただ平行に並べただけのようになってしまった。菜穂子とのラブストーリーは確か開始一時間を超えた辺りから動き始めたと思ったが、これが少々遅かった。逆にそこからはラブストーリーが大半を占めるため、零戦が生まれる過程が希薄になってしまった。また、合間合間が二郎の夢の世界で繋がれるのだが、これも今一つ効果が薄かったように感じた。

つまり、最近の宮崎作品の特徴でもあるボリュームに対する描写の少なさが、今作でもややしこりを残した。小説であれば問題はないのだが、アニメーションの場合は行間を読む時間が限られるため、頻発させられると少々苦しくなる。描写が多すぎる作品を僕は好まないが、最近の宮崎作品の描写の少なさは少々観客を信頼し過ぎているように思えてならない。それが結果的に観客を突き放すことになってしまっているわけだが。いずれにしてもストーリーに対して描写がやや追い付けていないように感じる。どこがどう足りないのかを僕は上手く答えられはしないが、このバランスというかセンスが「昔の作品」とは違うものになってきたように思う。三時間の大長編にしてでも、この部分が解消されていれば、より素晴らしい作品になっていたはずだ。

また、テーマの問題も大きかっただろう。
宮崎駿の趣味である飛行機漫画を無理矢理映画化したわけだが、きっぱり飛行機か恋愛のどちらか一方で勝負しても面白かったように思う。今回は、大震災、戦争、貧困、病気などの重い背景が付きまとう世界で勝負を挑んだわけだが、メインは二郎がひたすら純粋に夢を追い続けた部分であり、そのバックの背景にはなるべく目がいかないように配慮されていた。「時代の背景を気に留めることなく己の夢を信じぬけ」という現代の僕らに向けられたメッセージとも捉えられるが、それらの背景に対する描写の少なさに、軽い消化不良を起こした人は少なくなかったように思う。それはもちろん「敢えて」の演出だが、功を奏したのかどうかは少々疑問だ。

ところで、今までの宮崎作品では幼少期から青年期までを段階ごとに描いていった作品はない。幼少期がフィードバックで登場する作品などはあるが、今作のように10代後半から30代半ば?までを描きわけるというのは初の試みであったはずだ。ここでいつもは強みであるはずの飄々とした素朴なキャラデッサンが仇となった。場面変更の際、キャラの年齢がわからず、どの時代に移行したのかが一瞬わからなくなるのだ。これは主人公の声の問題にもよるが。

二郎の声に、僕は最終的には慣れていたが、やはりもっと適当な声があったように思う。
当然素人であるので、年代ごとの声色の変化などは皆無に等しかった。僕は声に関しても大げさなトーンの演出は好きじゃないので、俳優が役を務めることに対してはまったく気にならないが、それでももう少し演技のできる人物に任せてもよかったように思う。なお、主人公以外は非常によかった。とりわけ菜穂子は、その素晴らしい声のおかげで、よりダイナミックに彼女の繊細な質感を感じ取ることができた。

久石嬢の音楽は、やはり秀逸であった。多くを述べる必要はない。ただ最近の作品の中でもとりわけ、音楽がシーンを先導していくほどのノスタルジックメロディは聴こえなかった。その点がやや物足りなく感じた。

また、画のクオリティに関しては、もののけ姫~千と千尋の神隠しを頂点とすると、やや控えたのだろうか、と思うシーンがいくつか見受けられた。ただそれに関しては、今回も様々な実験の上で生まれてきたのだろうから、僕は文句を言えないし、文句を言うほどの批判もない。

総評として、「個人的に」とても好きな作品になった。なぜなら僕には作品全体を通しての淡泊さがとても適当な清々しさであったから。それは、晩夏の少しだけ涼しげな風のようだった。
とにかく切なかった。ここまで切ない宮崎作品は初めてだった。夢を追い続けることも、愛する人との短い旅も、すべて切なさに終着した。思い出すだけで込み上げてくるほど切ない。多くの人は、「切なさ」を大切にして生きていると思う。「切なさ」は人生の上でも非常に大切な感情だと思う。夢を追うことも、人を愛することも、やはり「切ない」。それを改めて思い知れた。だからこそ一吹きの風に愛しさと慈しみを込めて、「生きねば」と、背中を押された。

最後にひとつ。この「風立ちぬ」をもう一度観直した際には、おそらく僕は、今よりとても強くこの作品を愛しく感じることだろう。

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ry0123567

4.0宮崎駿のメッセージを素直にもらう

2013年6月28日
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鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

幸せ

6月某日、東宝試写室で鑑賞。

見終わって、エレベーターを降り、有楽町のガード下の飲み屋をすり抜けながら…涙が出てきた。

映画は、ゼロ戦の開発者の1人の半生を、タイトルにあるとおり、堀辰雄の「風立ちぬ」に重ね合わせながら描く。

主題歌は1973年リリースの、荒井(現姓・松任谷)由実19歳の時のファーストアルバム収録曲「ひこうき雲」。映画の主題に実に合った選曲。

今から70年ほど前の若者は、戦争と結核という死の入り口がすぐ近くにあった。20、30代でどれだけ多くの人が死なねばならなかったのか。

昭和、平成の平和な時代を生き、気づけば五十路の僕にとって、ただ馬齢を重ねるだけの日常が非常につらく感じられる日が続いている。

そんな自分には、宮崎作品が発する「生きる」ことへのメッセージが強烈に胸の底に落ちてきた。

本作は「生きねば。」がキャッチコピーとなり、映画の主題になっているが、物語終盤にそれを伝えられただけで、泣けた。

自分が生き続けることにもやはり意味があるということを認識させられた。素直に、宮崎駿のメッセージを受けようと思った…。

さて、映画では宮崎作品には珍しい大人の恋愛が描かれている。
一瞬、初めて「濡れ場」まで登場するか、という場面もあった。
大正の関東大震災から、戦前、戦中までの時代を描くには、実写ではどうにも陳腐になってしまう。莫大な金をかけて、セットを作りこみ、CGを駆使しないとだめだろう。
その点、宮崎アニメのタッチであれば、それがいとも簡単(?)に再現されている。
飛行機、艦船といった軍事ものだけでなく、街並み、景色などもうまく丁寧に描写されていて、見る価値がある。

主演の声を務めた、エヴァンゲリオンの庵野秀明はもちろん声優的な通る声ではないのだが、いい味を出している。違和感はない。よくできた、がんばった、と思う。

1997年の「もののけ姫」でも、「生きろ。」がキャッチコピーだった。
僕にとってはその後の宮崎作品では、「千と千尋の神隠し」と並ぶ名作、といいたい。

映画館でも、再度鑑賞したい、と思う。

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町谷東光