劇場公開日 2013年7月20日

風立ちぬのレビュー・感想・評価

全553件中、521~540件目を表示

4.0淡々として、しかし壮大である

2013年7月21日
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鑑賞方法:映画館

知的

少なくとも子供向けではありませんね。なので小さいお子さん連れの方はモンスターズユニバーシティとかのほうが良いでしょう。

内容について。全体としては特にぱっとせず、劇的な展開などはあまりありません。終わった時は、え?もう終わりなの?と思ってしまうほど物足りない感があります。そこは視聴者の想像に任せるところなのかは分かりませんが、もう少し厚みのあるストーリーがほしかったです。
 しかし、音、背景、アニメーションなど、細部へのこだわりはやはりジブリだなと思いました。非常に良かったです。特に設計図を書いてるところなんかは神がかっていました。

あと、この作品は男性には結構受けると思います。男たちのものづくりにかけた情熱がかなり印象に残るので、理系の人や、ものづくりが好きな人などは好きになる人が多いでしょう。主人公も、まじめで、勇敢で、ユーモアのある好青年ですのでやはり男性受けはいいでしょう。個人的にはアシタカさんの次くらいに好きです。庵野さんの声は意外といい感じでした。ああいう落ち着いた感じの声は今作の主人公にはかなり合っているとおもいます。

恋愛パートはイマイチでした。もっと時間を割ければよかったのですが、話がトントンと進みすぎて、全然感情移入ができなかったです。

まとめると、プロジェクトXにおまけ恋愛パートを追加した感じです。

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ゆむで

1.0意味不明

2013年7月20日
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鑑賞方法:映画館

難しい

過去、酷い作品だと思いました。子供が見ても意味がわからないでしょう。これほど見終わったあとにモヤモヤが残ったのもいままで記憶がないです。良かった点は映像、音、は素晴らしいですね。

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ハプニング

4.0数年後にまた見てみたい

2013年7月20日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

難しい

観てきました!!

最初に言っておきますがトトロやラピュタなど過去の作品を大好きな方、ファンタジーを期待していた方は観ない方が良いと思います。
時代背景も難しいですしお子様を連れて行くとお考えになられている方は一人で行くかDVDを待ってゆっくり観るのをオススメします。

率直な意見を言いますと、物足りなさを感じます。
アニメのキャラクターとは違って実際に生きた人物を元に作られた作品だからこそ想像がしにくいなとも感じました。もっとお勉強をして行きたかったな・・・

今の時代、当時のお話を聞ける機会も少なくなってきたので、火垂るの墓とはまた違った題材のアニメで今に伝えるというのもひとつの手だと思います。

観終わった後は素直に涙が止まりませんでした。
もう少し大人になり、いつか守るべきモノができた時にまた観てみようと思う映画でした。

宮崎作品にこういうアニメが一本あってもいいのではないでしょうか!!!

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山と風

3.5「天才の人生」をのぞき観る映画

2013年7月20日
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楽しい

興奮

知的

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PEN

1.0昭和初期の人々を映す記録映画

2013年7月20日
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鑑賞方法:映画館

これだけのスタッフを使い この素晴らしい技術を発揮して作らなければ
ならない話だろうか 映画を見てエンターティメント性は少しも感じない
ただ淡々と進むストーリィに眠気も忘れるくらいの見事なアニメーションがついてくる 話は記録映画並みだがアニメは100点でした
話題作りの為の庵野さんの声優起用はプロデュース的には良かったかも
しれんが内容は映画の質を落としただけと感じた

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くつした屋

4.5大人の映画。激動の時代に生きた男のロマン。

2013年7月20日
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泣ける

悲しい

知的

少なくとも戦前の歴史を知った人向けの映画です。時代背景を知らないと理解が困難と思われます。男(宮崎監督)の甘いロマン性が強く印象に残った大人の恋愛映画(宮崎映画では珍しくヒロインに女性フェロモンを感じた)でもあり、戦前の窮屈な時代に理想の飛行機作りを夢見て全力で生き抜いたひとりの技術者の物語でもありました。特に今回の映画はどの画面も美しく生き生きとして迫力があり、絵を見ているだけでも楽しめました。戦前の時代の悪いところはきちんと静かに批判し、天災の恐ろしさや人災(戦争)の空しさが映画を見終わって静かではあるけれど強く伝わってきます。1946年生まれのかって計算尺を愛用していた元研究開発従事者としてはすごく共鳴できた感動作でありました。

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chakurobee

5.0美しい

2013年7月20日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

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い

5.0心にしみるすばらしさと美しさ

2013年7月20日
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泣ける

幸せ

いいか悪いかでは判断できないです
すきか嫌いかも、見終わった直後は、わからなかったです
おもしろいかどうかもわからなかったです

ただ、終わった瞬間に、鼓動が激しくなり、
涙が止まらなくなり、何も言えなくなり
帰宅してからも様々な思いが、映画のシーンと
ともに湧いてきます

久しぶりに感動しました

とても美しくすばらしい映画です

生きていく上で見ておくべき映画のひとつでは
ないでしょうか

もし、今見て、おもしろくないと思ってしまった
人も、いつか必ずこの映画のすばらしさがわかる
日がくるでしょう

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yunoji

4.5セリフで表現されていない部分に感動

2013年7月20日
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泣ける

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リノア

5.0素晴らしい!作品

2013年7月20日
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泣ける

楽しい

知的

トトロや千尋などのような作品を期待していた人にはガッカリでしょう。今回は、宮崎監督がこれまで子供向けのイメ一ジを払拭して、大人の世界に思い切って踏み込んだドラマ仕立だと思います。アニメの動画としても、人や物の日常生活の何気ない動作のディテールが凄いし、なにより演出と脚本全体の構成が素晴らしい。ラストシーンは、下手に説明も入れず想像のなかで、戦争の悲惨やイノベーショシとの矛盾を皮肉り、希望をもたせてくれる演出には、感動しました。ラストシーンが一番好きです。宮崎監督にありがとうと言いたい。

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taken

4.5現代に必要な映画

2013年7月20日
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泣ける

難しい

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まろちゃ

1.0何でこんなにつまらないんだろう?

2013年7月20日
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どうしてこんなにつまらないんだろう?が率直な感想だ。もっと主人公の飛行機に対する思いを掘り下げてほしかった。悪いけれども恋愛部分や震災部分はカットしてほしかった。初めて実際に生きた方をアニメで描くのならもっともっと掘り下げるべきだし、そうでないなら恋愛部分をもっと大幅に増やしてそれなりの恋愛アニメにするべき。全部中途半端。全く泣けないし感動しない。よっぽど「ちびまるこちゃん」の方が回によっては友情や家族愛で泣ける。宮崎監督の自己満足映画。いい年してこんな感動できない映画しかつくれないのかねえ??

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おばさんだよん

5.0心ふるえる作品でした

2013年7月20日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

涙が流れました。
いろんな思いが、込み上げ
心を震わせ、ラストまで主人公と共に
歩みました。
ラストのセリフに、これからも、
頑張ろうと勇気をもらえる作品でした。
ただ、お子さん、映画に娯楽性を
求める方には、理解が難しい作品に
なるかと思います。

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ロッキーSpro

3.0終盤急ぎすぎ

2013年7月20日
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知的

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コロ星人

1.0本当につまらないな映画でした

2013年7月20日
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鑑賞方法:映画館

単純

難しい

今迄、宮崎駿監督の映画は殆ど見てきましたが、一番つまらない映画でした。宮崎監督の作品は、見ている人々に 夢、希望、感動 等等 を様々なものをプレゼントしてきてくれましたが、今回の作品は 宮崎監督が自分自信にプレゼントした作品では無いでしょうか?声優のクオリティー等お構いなしで、好きな人間を配役したりやりたい放題ですね 凄く期待して上映初日の初回を見ましたが、終わった後に「えっ!これで終わり?」と思ってしまったのは僕だけでは無かったです。周りの人の声も同等の反応を多く聞きました。「友達に何と感想送ろー?」 「とりあえず面白かったんちゃう? って言っとけば察しはつくんちゃう?」 と話してる人もいました。本当に残念で仕方ありませんが、酷いコメントを書いて申し訳ありませんでした。

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まぁ~ぼぉ~

4.5ロマンを感じる

2013年7月20日
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楽しい

男として、エンジニアとしては心揺さぶられる作品でした。
作画が本当にすごい。スタッフの努力とドヤ顔がスクリーンに現れるほどのすごさ。演出や表現がなんだかありそうで無い、でもなぜかゾクゾクしました。とにかく自分は大好きです。ジブリ最高傑作だと感じました。

また、映画が終わった後に拍手が起こりました。少なくとも子供はあんまり面白くないかもですが、大人は楽しめたようです。

と、鑑賞後すぐは手放しに良かったと思ってましたが、今思うとストーリーはやはり微妙だったかも。
声優は相変わらずなので慣れてれば問題なし。主題がなんなのかとか前情報が無いほうが話には入り込めると思う。
年令問わずに楽しめる作品ではないのでそこは注意。伴って宮さんの趣味を理解できない人は退屈かも。
ただ私には結構滾るものがあり、ロマンを大いに感じ取れたので楽しめました。
はっきり言ってラブロマンス的要素は要らなかったです。主人公の淡々とした性格故に起伏のある作品ではないですが、作品全体の雰囲気としては清々しく、まさに”風立ちぬ”ような空気感があります。
宮さんの趣味道楽がすぎるという意見もあるかもですが、私はこの人の好き勝手やった作品が好きです。

好みによると言ってしまうと元も子もないですが、ジブリの中でも毛色が少し違う作品と思われますので、そこは寛容に受け取ってみる事で楽しみやすくなると思います。

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エロス

4.0考える事を放棄した人には無理

2013年7月20日
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泣ける

まず第一に
「娯楽映画ではない」
見たもの、聞いたものをそのまま受け止めても何も何も残らないでしょう。
恐らく、勝手に生きて勝手に挫折して~視聴者置いてけぼりの作品、みたいな共感も何も無い作品と思われるでしょう。

考える事を放棄した人間には何も得られない映画

だと思います。
観る側がいかに思考し、洞察し、読み解くか
その先に大きな大きな「セリフにはないメッセージ」がある。

早い話が昔の日本人はみんなこうだった。
言葉の裏側で会話をしていた。

「すいません」の裏側に「ありがとう」があるように
日本人独特の心理表現が随所にみられる

全編を通してこうした理解があれば大いに感動し、
表題の本当の意味も理解出来ると思います。
かなり観る側にスキルを要求する映画だと感じました。

私のような古い人間にはとても理解しやすく「古き良き日本人」を久々に感じることが出来た、と思えたけれど・・・

現代の日本人にどれだけ訴えられるのか
現代の日本人は以前の日本人がもっていた感受性をどれだけ残しているのか

携帯電話が無かった時代に青春を過ごした日本人には衝撃があると思います

今後の評価がとても気になる作品でした
良い映画をありがとう!

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yuipapa

4.5‘生きねば’ピッタリな一言でした。

2013年7月20日
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泣ける

幸せ

どれだけ予告編を見せられたことか…どこの映画館でもどの作品でもひたすら4分間の予告編見せられていいかげんにしろ!っと思っていましたが…
この作品、いい作品でした。感動しました。泣けました。しばらく涙が止まりませんでした。
絵面は誰もがご存知のようにどれをとっても素晴らしい。
久石譲さんの音楽がこれまたいい。
エンディングの荒井由実の主題歌もマッチングしていました。
フィクションではあるけれど、生きるのに辛い時も、時代が大変なときも、夢を追いつ続ける人がいるから時代はきちんと進んでいくんだな、ってことを痛感。主人公二人が再開してから結ばれるまでがやや唐突な気もしますが、この二人のお互いを思いやる気持ちも、また快く響くのでした…。
夢と現実が交差するお話展開も宮崎アニメにはピッタリですね。
とにかく、いいです、この作品。よかった。

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peanuts

4.5誰もが羨む存在の挫折

2013年7月20日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

誰もが羨む存在の挫折が心に刺さる映画。
文学小説にも似た、「誰が何を描いているのか」を踏まえて観る映画。

宮崎駿監督は、日本人なら誰もが知る、国民的アニメ映画監督。
飛行シーンにこだわり続けた監督が、飛行機設計士の物語を描く。
しかもただの設計技師ではない。日本を代表する設計技師だ。

これを宮崎駿監督に重ねずに見ることはできないし
なにより、誰からも羨まれる才能と地位にいる人物として共通する。
そんな「憧れの人」の「人生を賭した先にある挫折」が描かれる。

以下、ネタばれを含む。

作中主人公は、「ただ美しい飛行機を作りたかった」と繰り返し発言する青年。それが彼の唯一単純な夢。

しかし、戦時下にある日本で「飛行機」は
「戦闘機」としてしか存在を許されない。
現実と折り合いをつけながら「美しい戦闘機」を作る主人公。

早い段階から頭角を現し、才能を認められ、プロジェクトを任され、失敗し、そして傑作と呼べる作品を残す。しかし、その作品によって、「国が滅びる」。

私は、今年30歳。
小学校時代、教育の中にジブリがあった。
ジブリの歌を合唱で歌い、吹奏楽ではラピュタやトトロを何度も聴いた。

当時、公害問題から社会現象となっていた自然環境保護の精神を
ジブリの『ナウシカ』『となりのトトロ』や『もののけ姫』から学んだし
言ってしまえば「水の旅人」なんて最たるものだった。

つまり、積極的に教育現場に浸透していったことからもわかるように
ジブリは国民的映画になる過程で
日本国民がとるべき行動や感受性の指針を背負っていた。

毎年8月に『火垂るの墓』がテレビで放送されることも象徴的だ。
ジブリは日本の国民性を作るミッションを結果的に担っていた。

これは、ただ「美しいモノを作りたい」という青年の葛藤に重なる。

つまり、宮崎駿監督はただ「美しいアニメを作りたい」と考えてきた。
しかし、ただ美しいロマンを突き詰めるだけでは、映画は存在できない。
商売であるし、お金が絡むし、国民的映画監督となれば、社会的責任も背負う。

そのロマンティシズムを監督自身が否定していたわけではない。
「美しい戦闘機」は傑作で、監督の夢が形になったものでは確かにあった。
ジブリの送り出した価値観は、監督の信じるロマンであったことは確かだろう。

ただし、結果として「国を滅ぼした」。
「だれも帰ってこなかった」。「悪夢かと思ったよ」。

監督は、現実を魅力的に描くことができなかった。

言いかえると、
平均的に働き、子を育み、死んでいくという
現実的な人の営みを魅力的に描くことができなかった。

監督の作品は、冒険や不思議な存在、魔法の力など
現実には存在しない、ロマンティックな力や心の優しさを
物語のクライマックスシーンでの、「解決策」に描き続けた。

『魔女の宅急便』が象徴的だ。
魔女の少女が、街に出て特技を生かして働く物語だが
最終的には、働くこととは関係のない、飛行船に友人が吊下げられるという大事件を、魔法の力で解決し、彼女は街のヒロインになる。

魔女の宅急便として頑張った先ではなく、本人がもともと持っていた彼女にしかない資質で、誰にも出来ないことをやって、ヒロインになる。

監督の「美しいと思うモノ」はそのロマンの中にあった。
その生き方は、多くの人には真似の出来ないものだ。

しかし、子どもたちは「その自己実現」を衝撃的に受け取った。

自分の才能を信じて街に出て、例え一時は認められずスランプに陥っても
信じて続けることでいつか大きな花を咲かせる。この生き方だ。

結果として、
働くことを描いたアニメで、才能による一発逆転を賛美してしまった。

エンターテイメントとしては最高の映画だし
細部まで拘りきった映像伏線が張られていて何度見ても感動する。
ただ、働くことそのものを、魅力的に描くこと
物語のクライマックスに持っていくことに失敗したのだ。

宮崎監督はロマンの人だったために
普通に働いて生き、そして死ぬことを、魅力的に描けなかった。

結果、日本の子供達が
「普通に生きること」に魅力を感じない一因となった。
仕事をして生活することに魅力を感じない若者が多数生まれた。

夢を追うことに人生を賭すフリーターや
生きることに魅力を感じないニートを多数生み出した。
自殺者年間三万人も無関係ではない、
監督はそう感じているのではないか。

その反省が『千と千尋の神隠し』で見てとれる。
真正面から、「働くこと」を描いた。
子供たちに、働くことの素晴らしさを伝えようとしたのだ。

しかし、この千尋を魅力的に見せることに、監督は失敗している。

作中、働くことで親を取り戻した千尋はトンネルをくぐり現実に戻る。
トンネルをくぐり、異世界へ来た時と同じように、親の腕にしがみついて。
魔女の宅急便のキキのその後と違いすぎて、悲しかったのを覚えている。

監督は信じていない美しさを描けなった。
普通に働いて死ぬことに、ロマンを描けなかったのだ。

思うに、この挫折は相当だったろうと思う。
自分の作る作品が、弱い若者、現実で生きることが出来ない若者を生むとして
自分は映画を作っていいのか。

そこで『ハウルの動く城』では
動く城という表現の面白さをつきつめて取り組んだ。
また、老いて生きること、人の美しさの本質を描こうとした。

物語の整合性はかなぐり捨てた。
あるいは、あえて捨てたのかもしれない。恐ろしくて。

そしてこれもやはり、挫折だったろうと思う。
普通に老いた女性ではなかったし。

もう、何を作っていいのか、わからない。
そこまで来ていたのではないか。

その監督が『風立ちぬ』を描いた。

もはや普通の人の普通の生活を魅力的に描くことは自分にはできない。
どうすれば、「生きる」ことを肯定的に描けるだろうか。
答えは出なかった。

そこで、自分を題材に取ることにした。
特殊な仕事とはいえ、宮崎監督自身も精一杯働いてきた。
そして、人から羨まれる立場にあり、成功を収めたと言っていい。

「男は仕事をしてこそだ」というセリフが作中にあったと思う。
これは、真実、監督がそう感じていると思う。

だから、仕事をしながら輝かなければだめだと
その思いに嘘はないから、表現は踊り始めた。

そして、嘘をつかなかった。
仕事に打ち込んで、それだけの結果を残しながら
監督自身は今、言い知れない上記のような挫折を感じている。
それを最後に描いた。

「ただ美しい表現がしたかった」という本音と
時代の流れの中でやむなくやった部分もあるという懺悔
そして、たしかに「美しいモノ」を生み出したけれど
それが招いた結果に実は愕然としている。

夢をかなえた先に、待っていた挫折。
この先、どこに向かっていいのか、途方に暮れる感じが滲み出ている。

また、創作者としてのピークは「10年」だと
何十年も作ってきた監督が描いている。

自分はもう、純粋な気持ちで映画を作れない
もう長い間作れていない、本当は作っていていい人間ではない、
監督のロマンチシズムがそう言っているのではないか。

その監督が、そんな自身のロマンチシズムに否定され続けながら
苦心して描いた「風立ちぬ」。

夢を叶えた先の挫折を描くことで、
ジブリを見て育った若者に、生きることを問う。
働きながら輝くことの尊さと限界を描き
そこから何を感じるか、どう生きるかは、もう君たちに任せる、と。

敢えて、主人公、ヒロインを強く美しく描き
自分と切り離す理想を描いたように見せてロマンチシズムを鼓舞し
素直な心根を描ききった。

「風が吹く限りは、生きねばならぬ」

宮崎監督にしか作れない、傑作だと思う。

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ナス

5.0二郎の生き様に、『風』を感じました。人の出会いはまるで風のごとく吹き抜けて、立ち止まることはないのですね。

2013年7月19日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

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流山の小地蔵