風立ちぬのレビュー・感想・評価
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風立ちぬを楽しく見るための6つのポイント
この作品はジブリということもあり入口は広い。しかし、他のレビューを見るとかなり極端に評価が分かれているようだ。
私はとても楽しませてもらったので、これは何故なんだろうと考えてみた。
悪い評価の方の多くは、ジブリ作品が好きでそれに対しての自分なりの概念がしっかりと出来上がっている人が多いようだ。今回の作品は、今までのジブリ作品のように受け手の目線に合わせた表現方法を執っていない。そして淡々と物語りは進行していく。低い評価の方はそこに違和感を覚え拒絶してしまったのではないだろうか。
また、大正から昭和初期の風情を実写やCGよりある意味リアルに描き出している故、現代の社会を是とし過去は暗黒であるという考えの方もこの作品に良い評価を与えないだろう。その匂いだけで辟易し拒絶反応を起こしてしまうだろうから。
そして、これは主題にも絡んでくるので最も重要だと思うのだが、自分で夢を持ったことが無く、ゼロから何かを創り上げたことが無く、その楽しさと成功後の寂莫とした感覚を知らない人は、主人公に感情を移入することは難しいかもしれない。
そこで、これから見られる方にアドバイス。”風立ちぬを楽しく見るための6つのポイント”
1、見る前に、これから見るのは”ジブリのアニメ”ではなく単に”作品”という目で見ることを自分自身に言い聞かせましょう。
2、大正、昭和にかけての街の風情、匂い。障子の桟までぬくもりが感じられる実写を超えたリアルな感触を楽しみましょう。
3、他国の場面ではその国の においまで感じられます。その技術力と製作者の粋を楽しみましょう。
4、カプローニがでてくる夢は夢、そこに現実との空間的連続性を求めてはいけません。教条的象徴的意味合いを考えて見ましょう。
5、当時の家屋、道端の木々、草花、トタン屋根等の、これでもか!どうだ!というまで書き込まれたスタッフの方々の心意気美意識を感じましょう。
6、主役は堀越二郎です。彼に感情移入できるかできないかが非常に大きなポイントです。もしそれができれば、他の登場人物たちの立ち位置が芋づる式に理解できます。
以上。もっとあるかもしれないが、とりあえず今書ける事を書いてみた。
そして、変な色眼鏡をかけずに、まっすぐに、とりあえず見て、聞いて、感じてみれば、きっと感動して、泣いて、元気になれると思う。
商業的に成功するかしないかは、その作家活動の持続性に影響はするかもしれないが、その作品の本質とはまったく別の物であろう。
創造されたものの意義は、万人が理解できるかできないかに左右されるものではない。難解なものでも素晴らしく永久に賛美されるべきものはあるし、万人に理解されても陳腐な即座に消滅してしまうものもある。
そして、本当に感動したければ、感動できるような作品を感動できるように、自分自身に準備をさせるべきであろう。それが、作品を味わう作法である。
本来そこまで大上段に構えなくても、これは十分にやさしい作品なんだが....。
祭りの後の寂しさを知っている方、自分が書いている図面に涙の跡が付いた事がある方、世の理不尽さに涙しそれでも一歩でも前に進もうと気力を振り絞ったことがある方。
そんな方は、この作品をなにも意識しないで楽しめることと思う。
自分にとっては最高でした
ジブリファンが見ると評価が分かれているのが良くわかりました。実際映画館でも面白くないや、がっかりしたという声が聞こえてましたし、レビューでもあまり良い評価がついていないサイトが多い様です。
しかし自分には最高の映画でした。
時代背景や設定を有る程度知っていて、飛行機やこの時代に興味のある方であれば最高の映画になると思います。知っていなくても登場人物を描いたストーリーとしても良作です。
楽しめないという意見もわかります。でもそれはこの映画がだめなのではなくてその方にとって面白くないというだけのことだと思います。
ジブリの中でといった何位といったような先入観をのけてみればとても良い映画、良作に違いないと思いますし絶対に映画館で見る価値があると思います。
自分には衝撃の、そして最高の映画でした
あなたを生かす風となる
宮崎駿の作品に対しては幼少の頃ちょっとしたトラウマがあって、
『ハウルの動く城』あたりからようやく観られるようになった自分。
そんな訳で宮崎駿作品は半分程度しか観たことがないし、
その他のスタジオジブリ作品となると、驚くなかれ、皆無です。
なので過去作との比較などというおこがましい真似は
決して出来ないのだが、本作を観終えて感じたのは、
『なんて美しくて優しい映画だったろう』という気持ち。
確かに子どもと一緒に楽しめる映画ではないかもだし、
堀越二郎という人物の事をさらっと予習しておかないと
理解の難しい部分もある。
また、二郎の心情描写は丁寧だが、時代背景を巡る描写は淡白だ。
現代に通じるテーマであるという事を示すためにも、
大震災や不況の描写にもう少し時間を割いて欲しかった気もする。
歴史の流れについても軽く予習しておいた方が良いかな。
けど、それらの敷居の高さを乗り越えてでも
本作は観る価値はあると思う。
柔らかく温かな色遣い、
しゃしゃり出ずに物語に寄り添う優しい音楽、効果音。
個性も表情も豊かなキャラクターの数々に、
画面の端から端まで生き生きと躍動する背景。
この映画には手作りの温もりがある。
物語と、この世界と、そして登場人物への深い愛情がある。
ついでながら二郎役の声優さんについて色々意見あるようだが、
そこまでこだわりの無い自分としては、むしろ素朴で素直な声は、
作り込まれた声を当てるよりも人間の体温を感じる。
真っ直ぐな心を持った二郎、夢に対して快活なまでに貪欲な
カプローニ、魅力的な笑顔で辛辣な皮肉を飛ばすカストルプ、
終始しかめっ面だが実は部下想いで情熱家の黒川さん等々、
キャラの魅力を挙げればきりがないのでここではやめる。
二郎が夢に向かう姿から受けた感銘についても、他の方に譲る。
「飛行機は呪われた夢」というフレーズも非常に興味深いが、
文章が長大になるのでやっぱりやめておく。
ここでは別の事について書いてみたい。
映画の冒頭で引用される言葉。
『風立ちぬ。いざ生きめやも』
(風が吹いている。生きようと試みなければ)
妙な言葉だ、と鑑賞中にずっと引っ掛かっていた。
風が吹いたら、なぜ我々は生きようとしなければならないのか。
観終えてから思い出したのは、終盤の菜穂子の姿。
彼女が無理を押して二郎のもとへと向かったのは、
二郎に逢いたいといういじらしい想いが第一だったと思うが、
菜穂子は彼の夢の妨げになりたくなかったからこそ、
彼の傍にいたかったのではないかとも思える。
けれど何より……自分が傍にいれば二郎の力になれる
という自覚が彼女にはあったんじゃないだろうか?
病床の菜穂子に生きる力を与えたのは二郎で、
挫折した二郎を再び浮き上がらせたのは菜穂子だった。
互いが互いにとって必要な存在だと彼等は知っていた。
自分に生きる力を届けてくれた人への深い愛情と尊敬の念があった。
最後、カプローニは菜穂子のことをこう呼んだ。
「まるで美しい風のような人だった」と。
二郎が飛行機を空へ飛ばす為の風だったなら、
菜穂子は二郎を空へ飛ばす為の風だったんだろう。
風立ちぬ。
風とは、あなたを空へ飛ばそうとしてくれるもの、
あなたの夢を後押しし、「生きて」と願ってくれる人、
あなたに生きる喜びを与えてくれた人。
だから生きねばならない。
風を届けてくれた人への感謝を込めて。
ポール・ヴァレリーという作家が語った言葉の
元の意味なんて知らないが、本作から感じたのはそんな事。
僕らも後ろに色々なものを遺してきた。
愛した人、いつか見た夢、数多くの見知らぬ人たち。
けど消えてなお彼らは、僕らに今を生きる力をくれる。
僕らは遺してきたもの達の為に、前に進まなければ。
「少年よ! まだ風は吹いているか?」
立ち止まって、耳をすませ。
あなたに向けて、風はいつでも吹いている。
暗く重たい今の時代を生きる僕らにエールを送り、
前進する力を与えてくれる、清々しい風のような映画だった。
この作品を作ってくれた方々にも、感謝と敬意を感じずにいられない。
〈2013.07.20鑑賞〉
なぜ褒める人がいるの?
私は好きです
実在の人物が登場してるファンタジー映画
美しい夢の先を、生きねば。
この作品は、あのころと今を比べさせて説教臭く語るものではない。題材にされた人物を褒め称えるためのものでもない。夢を追い求めることの素晴らしさを描いたものでもない。この映画が描いているのは、美しい夢に憧れ、最大限の努力と才能を振り絞って美しい夢に生き、その美しい夢のある到達点を迎える人間の物語だ。つまり、夢に生きた一人の人間の人生。ただそれだけなのである。
しかし、それだけではあまりに悲しい。美しい夢に生きた人間にとって、その夢を描ききったその先に待ち受けているのはあまりにも残酷な生だ。とりわけ、クリエイタ―と呼ばれるような夢を形にする仕事の人間にとって、その想いが純粋であればあるほど、夢の到達点の先というのは、身体とインスピレーションの老いで思い描く美しいものを創れないことに絶望しながら生きていくしかないことは想像に難くない。劇中、夢の中でカプローニが若き堀越二郎に対してしきりに話していた「10年で何ができるかだ」という言葉は、正にそのことを指しているように思う。
そこで現れるのがヒロイン里見菜穂子という存在だ。彼女は、出会うまで美しい夢に関すること以外にまったくの無頓着であった堀越二郎が惹かれていく存在として描かれている。つまり、彼女の存在は美しい夢と同じほどに彼を夢中にさせる存在であったのだ。そして彼女はそれを理解していたことが、彼女が黒川邸を去るシーンで明らかにされる。決定的なのは黒川夫人の「彼女は美しいところだけを見せていたのよ」という言葉だ。そのシーンに合わせるように現れる、冒頭の夢と同じ飛び方をするゼロ戦試作機のテスト飛行の美しい映像もすべてを物語る。
そして、ラストシーン、おそらく最後になるであろう夢の中で彼と再会した彼女はこう告げて、風になる。「生きて」と。
美しい夢に生きた主人公が、他の誰でもない、夢のように美しい彼女に告げられるこの言葉こそ、堀越二郎、そして監督宮崎駿含めすべてのクリエイタ―への救いの言葉なのだ。
Le vent se lève, il faut tenter de vivre.
「風立ちぬ、生きなければならない」
この言葉は堀越二郎と里見菜穂子が劇中はじめて交わした言葉であり、そしてこの言葉は、すべてを表わしているのではないだろうか。
長文、駄文失礼いたしました。
・・・
欲張りすぎた作品
映画を見て共感できなかった者です。ジブリをもう見たくなくなるくらい
怒りを感じました。
・大人な映画 ・文学的 ・傑作
どうしてこうなるのか理解できません。
古典小説・映画を通過してきた人ならば、ストーリーの薄さや
恋愛描写の陳腐さ、主人公のロボット化したような感情表現・・・。
ハーレクイーンのようにある筋書きにそってアルバイトが書いたような
小説や、好きなものだけとにかく詰め込みましたという同人誌を
見たような後味でした。
堀辰雄か、堀越二郎のどちらかに集中したストーリならまだしも
堀辰雄の世界をベースに、堀越二郎を無理やりくっつけたような
話にいささか怒りを覚えました。
菜穂子の描写も「男性の理想像の塊」としか思えない。
若い、きれい、従順、守ってあげたくなるような病気もち。
とくに病気で居候の身なのに、のんびりお散歩ときたところに
「???」でした。いくらお嬢様育ちでも、嫁に行った女性なら、
同じ母屋で働いている女性に気を遣いませんか?
結末も「まさかこのまま適当におわらせるんじゃ」と思ったそのとおりに
終わりました・・・
総じて「美しい」作品でしたが、美しいだけで
汗のにおいも、埃っぽさも、オイルのねばっこさも、血のにおいも感じられない。
自分は絶対にこの作品が文学的とは認めたくないです。
「必死になって生きて」
がメッセージなら、他の文学作品・映画作品にいいものが
たくさんあります。
高校の文学史掲載作品を読むだけでもこの映画より
はるかに「人が生きること」へのメッセージを受けとることが
できます。
☆2つにしたのは、風景の描写と、音楽が良かったこと。
その点はさすがだなあと思いました。
<追記>
公開から1週間経ち、いろいろ考えたことを少し追記します。
・大人不在の映画?
みんな味方、叱る人いない。唯一反抗したのは大人ではなく「少女」。
・最初から最後まで「Look at me」を主張する菜穂子
※これはあくまで一女性の感想としてみてください。作品中で少し不自然に思った点をいくつかピックアップ(ひねくれた考えかもしれませんが(^^;))
・女中にこともができたことをわざわざ二郎に告げる(二郎は興味のない話をわざわざしている?)→女中は恋愛対象外と言いたい?
・二郎と菜穂子の父が婚約について話をしてるときに割ってはいる →結核を理由に二郎との縁談を絶対に壊したくないエゴの現われ?
・結核なのに二郎と床を一緒にしたがる →仕事よりも自分だけをみてほしい
・黒川邸から突然いなくなる →結局仕事の方を優先した二郎への反抗。黒川婦人の「美しいところをだけみてほしかった」は外見のみならず、女のエゴの部分が出る前に去ったことを含めている?
・エンディングでの再登場 →飛行機が飛んだのは私が風をおこしたのよ、といいたい?
・・・総じてやっぱりここ、あそこを無理やりくっつけて解釈しようとしても
材料がいまいち手がかりがもやっとしててつかめないですね・・・
この作品の主人公を実在したのと違う名前にしたらよかったのかもしれない。実在する人物名だから現実の史実に囚われる。それでいてこれはファンタジー作品と言われると、夢オチの肩透かしをくらう。堀越二郎を見たかった人でがっかりした要因のひとつではないか。
(30代女性、既婚、会社員(ものづくりエンジニア経験あり)の感想です)
風たちぬと中国、韓国そして日本
昨日の読売新聞に日本が太平洋戦争に向かっていく状況がリットン調査団の行動とともに記事になっていました。今この記事を振り返ってみると、あの時日本が満州国を放棄していれば、あの時国連を脱退していなければ、などと若輩者の自分は思うのですが、今、宮崎監督のこの提言(慰安婦問題等々)はどういうことだろうかと思案してみた。なぜか宮崎監督の提言を聞くと安堵する思いもある。このまま維持の張り合いをしていればいずれ太平洋戦争前の日本とかぶりはしないだろうか?あの時の日本人もなぜ自分たちが悪いのかと思っていたのだろうと。そしてどんどんナショナリズムを強くして日本は太平洋戦争に向かっていくのであった、、、 子供たちに希望のある未来を大人は残さなければならない。決して同じ轍を踏んではいけない。先人が残してくれた歴史を、現代を生きる私たちは知っているのだから。
生きるって切ない。
なんだかなぁ・・
大人の宮崎映画
堀越二郎物語
あー感想は一言で言えば宮崎監督らしい映画かなと
やっと大人の映画作ってくれたんだなと思いました。
まぁ題するなら「堀越二郎物語」ってのほうがコテコテの邦画らしい題名で
ある程度理解して みなさん観れたかもしれませんね。
水の流れ、機関車風景の陽炎など 日本のアニメは世界一ィィィィって
細かい箇所もみてあげてくださいwやっぱ技術は凄いね。
突然ですけど!
私の子供は高校生なんですけれど、私より早く「風立ちぬ」を観賞して
面白かったよ!
って評価でした 評判悪いって聞いてたので、
私としては あれ? そうなの?ってw
っで どこよかったんだよ?って聞くと 「最後は感動するよぉ」って。
そして、本日 鑑賞した私の感想はと言うと ラストはたしかに
泣けました 感動ってか 複雑な思いの感動でした。
子供が高校入学したての時、2人だけで知覧に旅行したことがありました
(知覧という所は戦時中に日本各所で訓練された青年パイロットが((国を背負い家族や愛する人を一番に想う、そしてとても優秀な青年達だったと思います)) 最初で最後に特攻の為に飛び立つ地です、ここから飛び立っていく飛行機は故障などの特別な理由以外では二度と戻ることができません)
映画 風立ちぬの話しが進むにつれて
そうか この堀越二郎って(映画を見るまでまったく無知識)多分あれだな
あの飛行機を設計した人かなと なんとなくよぎり
映画のラストでは息子と行った知覧で見たことや散っていった青年達の思いがフッと湧きだし 映画のストーリーと重なり
普段からあまり泣いたことがない私の眼から涙がw
そうか子供も知覧でのバックボーンが映画と重なったな と
宮崎駿のおっさん やってくれたわぁ。
私の高校生の子供にも夢があって いま一生懸命 夢を叶えるべく
必死で毎日勉強をやってます 我が子ながら誠実なところがまた堀越二郎と
ダブって 余計に泣けたわw
最後に、困難な夢を、かなえるってのは大変ですね 辛く、厳しく、そして人を傷つけることになるかもしれない
夢というものは目標だけで本当は叶えるものではないかもしれない
そんな思いもした映画でした。 もう一度観たいと思いました
お子さんいる方は、一度一緒に知覧に連れて行ってあげてほしいなぁ
そこで子供は成長します、 自分自身も。
知覧の広告になってしもうたがなw
二郎はスーパーマン
観終わったあとに妻が「二郎はジブリ作品のなかで一番かっこいい」と言ってました。
そりゃそうです、あんな完璧な人間がいたら男でも憧れてしまいますよ。
二郎のスーパーマンっぷり
<幼少期>
・いじめっ子を一本背負いで投げ飛ばす
・小学校中学年(?)のときにイタリア語の本を読む
<青年期>
・足をけがした女性を背負って震災直後の混乱した街を歩く
・有名企業に期待の秀才として入社
・屈強なドイツ人に臆することなく意見を述べる
・入社5年後、戦闘機の設計をまかされる
・上司、同僚、部下から慕われている
やさしくて、行動力があり、秀才、エンジニアとしての才能も十分、家柄は裕福、おまけに顔も並以上です。
そりゃ惚れないワケがありません。劇中でも菜穂子と女中さんが「白馬の王子さま」と言っていますが、その通りです。
挫折といえば、幼少期に視力が悪いことでパイロットになることを諦めたことと、初めて設計した戦闘機の失敗です。
戦闘機の失敗は大きな挫折だったでしょうが、避暑地で数日たてば見事に復活!成功のためのヒントまでひらめいて、会社にもどってきます。
映画を観終わって「すごく良い映画だった」「今までのジブリで1番だった」とは口が裂けても言えませんでした。
この数日どこかモヤモヤが残っていたのですが、ようやく考えがまとまりました。
二郎がスーパーマンすぎて共感できないんです。まったく“生き抜くこと”に苦労していない。
「生きねば」がこの映画のメインテーマ(メッセージ)なのかもしれませんが、とてもこの作品でそれを感じることができません。震災や戦争も二郎にとっては、別の国で起こっているできごとであり(そう僕には見えました)、本当に精一杯生きているのは、菜穂子であり、二郎がシベリアをあげようとした子たちであり、出稼ぎのために線路沿いを歩いていた人達ではないでしょうか。スーパーマンで今後も普通以上の生活をおくるであろう“生き抜くこと”の苦しさが感じられない二郎にはとても「生きねば」と言ってほしくありません。
それと映画の宣伝について。ジブリ映画って「笑ってこらえて」などバラエティで特集を組み、制作風景や作者の考えをあらかじめ伝えないと何も伝わらない作品だったでしょうか?
恐怖すら感じた関東大震災の描写や、空や雲、昔の日本の風景など映像はとてもきれいだと感じました。
声優キャストも、瀧本さんと國村さんらとてもすばらしい演技でした。
映画の感想は人それぞれで当然です。僕はこう思いました。
まっすぐな純情にグッときます
純粋で悲しい愛の物語を下敷きに、幼い頃からの夢を追い続けた男の半生としても、しっかり見応えがあって良かったです。
堀辰雄の原作は、映画「風立ちぬ(1976)」に感化されて読みました。原作は、そこが持ち味ですが、主人公の文学青年のブルジョア臭がちょっとね、と当時の生意気な女子中学生は思ったものです。
この度の主人公は、当代屈指の天才・エリート、背筋の伸びた工学系日本男子。まっすぐな純情に、覚悟のある一言にグッときます、いいじゃないですか。
菜穂子さんも、たおやかに見えて凛として爽やか、魅力的でした。瀧本美織の声は気持ちよくハマってました。
美しい飛行シーンを堪能でした。夢の中のような大っきな入道雲に、道端のオオバコの、泣きたくなるような可愛らしさに見入りました。
残念なのは、他の映画を鑑賞する度、長い予告編を繰り返し、繰り返し、繰り返し見せられたため、肝心のそのシーンで「ああ、あれね」としか思えなかったこと。オカシイと思います、動画サイト等で見たい人だけ見られるようにすればいいのではないでしょうか。
観る者の知識が問われる
公開初日に観て来ました。
タイトルの通り、観る者の知識が評価に直接繋がりますね。
堀越二郎や堀辰雄、歴史や航空機に対してある程度知識がある人なら物語の辻褄が合い、理解でき、高評価を与えます。それがない人には全くと言っていいほどわからない。イコールつまらないとか理解できないということになる。子供には到底理解できない。そもそも子供向けでないのだからしょうがない。
ひとつ助言をするならば、せめてパンフレットでも読んでから観に生きましょう。
一度観た方ももう一度、ぜひ少しでも知識をつけてから観てみてください。また見方が変わると思います。
私はこの映画に最高の評価を与えます。今の大人が観るべき映画です。理解するには少し勉強が必要なことを含めて。この映画の伝えたいことが理解できた時、その意味がわかるでしょう。
実写で見たい
西島秀俊主演で滝本美織ヒロインで
実写で撮った方がずっと面白いだろうと思った。
なぜ二人は魅かれあったのか?ほとんど描かれることなく中途半端。
主人公の挫折はどこにあったのか?
ゼロ戦の前に開発した飛行機が墜落したこと?
何もかも中途半端でどうせなら5時間ぐらいかけていいから
もっと細かな心理描写をして欲しかった。
スタジオジブリ宮崎さんと鈴木さんに物申す人はもういないのか!
だだ漏れのナルシシズムが逆に清々しい
いやー宮崎駿の「紅の豚」が苦手でねえ。
主人公=宮崎駿として観ると、強烈なナルシシズム、ヒロイズムに胸焼けして。
主人公が豚っていうオブラートに包んであるから何とか耐えられるわけだが…。
他の作品も宮崎駿(おっさん)の妄想(きれいな言葉で言うなら夢とか希望とか)を、主人公の「少女」というオブラートに包んで供されてるわけで…。
エンターテインメントとしては面白いけど、若干気持ち悪いと思っていた。
で、今回は動物とか少女とかそういうオブラートもなく、素の青年が主人公なわけで。
堀越二郎(青年)=宮崎駿って、ちょっと生々し過ぎるだろう。
素の宮崎駿を受け止められるのか?
怖いもの観たさで劇場へ。
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観たらやっぱりナルシシズムは全開で。
正義感があって才能があってフランス語の詩まで理解しちゃう優しいボク。
日本は貧乏と言いながら、優雅な軽井沢のホテルにも逃避できちゃうスノッブなボク。
それでいて性格はとっても素直で朴訥なボク。
そして何より美しいものが好きなボク。
なんつうか、どこから突っ込めば良いのか?思った以上にフルスロットルなハヤオ節。
今までの作品だったらもう少し計算してスノッブ臭を消すとかしてた訳だが、そんな小手先のごまかしもなく。
ナルシシズムのだだ漏れもここまでくれば立派なのかも。
逃げも隠れもせんと仁王立ちした宮崎駿が見えてくるようで。
なんの臆面もなくさらけ出すその様は、逆に清々しい。
そう、清々しいんですよ、この映画。脳内妄想だだ漏れ過ぎて。
そして賛否両論ある庵野氏の声。
観る前までは、庵野氏以外のキャスティングが巧い俳優ばかりで、何この罰ケーム?と思っていたわけだが。
ある意味、庵野氏の棒読み感がとても良かった。
巧い声優さんが堀越役だったら、生々しすぎて、もっと鼻持ちならない感じになっていたかも。
庵野氏の稚拙さが一種のオブラートになっていたような。
理系男子萌え的な仕上がりになったのも、庵野氏の功績といったら褒め過ぎか…。
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各パートごとにタッチの違う映像は、やはりさすがとしか言いようがない。
特にドイツパートの硬く精巧な感じが素晴らしい。オイルヒーターまで美しく描かれて個人的にはツボだった。
対照的な夢パートは昔のアニメ風で牧歌的、これも良かった。
そして菜穂子パート。
今時、結核堀辰雄なんていうベタなテーマを取り上げて許されるのも宮崎駿くらいなもんだろうと思うんだが。
それでもベタな展開、ベタな風の表現に思わずグっときてしまう。宮崎駿の強引な力技、見せてもらったような気がする。
個人的には、宮崎駿の世界観・思想は好きではないし相容れない。
嫌いなものでも、ここまで全力直球勝負で来られると、逆に好感、清々しい。
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