風立ちぬのレビュー・感想・評価
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従来とは違う
ジブリ作品はいつも観ていると
ワクワクする感じを心の中に持っている。
しかし、この作品はそれがなかった。
ジブリ好きの私がまさかの好きになれないジブリ作品、
それに当たってしまったかと懸念するくらい。
でも見続けていくと、
ワクワクはないが、心の何かに触れてくるものがあった。
大人のジブリ、そう言った意味がよくわかる。
そして、いつもの鈴木プロデューサーの字で書かれた、
「生きねば」
この言葉の意味もよくわかる。
実在の人物を扱いながらも、
その扱い方、戦争の扱い方への違和感があったが、
風立ちぬ原画展で鈴木プロデューサーが語った宮崎監督の想いを読み、納得がいった。
良くも悪くも期待を裏切る新しいジブリ作品。
そんな気がした。
いや〜、これは賛否両論出るだろうな。としみじみ思う。
これもファンタジー
前評価は色々あったが、やはりこの『風立ちぬ』も、従来の宮崎駿作品と同じくファンタジー映画だと言った方がいいだろう。ナウシカやラピュタ、ハウルを観て本気で戦争や文明社会のあり方を考察されることがないように、この作品も戦争や当時の日本の社会問題が本気で考察されるものではない。風立ちぬの詩にあるように、見えぬものを周辺の木々のざわめき感じ取るというコンセプトがあるようだが、当時吹き荒れていたのは暴風雨だったはずなのに、それを描くにしては今作はあまりにもそよ風ぎた。過去の作品としては、現実の大和朝廷のある日本を舞台にし、マイノリティへの差別や自然と人との相容れなさといった多くのテーマを詰め込んで、そして一言「生きろ」ととてつもなく真っ直ぐなテーマを投げかける『もののけ姫』がこれに近い。
しかし一方で、この作品にはこれまでの宮崎駿の作品と大きく異なるところがある。それは彼がインタビューで度々言及していた「失われた可能性」が存在していない点だ。これまでジブリの主人公たち、特にヒロインは圧倒的なシステム、権力の前に立ち向かう勇敢な女性ばかりだった。立ち向かい、乗り越え、そして些細であっても世界に変化をもたらし「失われた可能性」を取り戻すような、そんな健気で強い女性たちだったが、今作のヒロインの菜穂子は彼女たちとはまるで違っていた。彼女が選択したのはいかに立ち向うかではなく、いかに受け入れるかだった。彼女にとってすでに死が避けられぬなら、あとは死に方の問題だったのだ。死からの抵抗から死の受け入れ、いきなりこんな趣旨替えをされては、宮崎駿に長年連れ添った鈴木プロデューサーがプロモートとはいえ「宮さんの遺言だ」と発言してしまったのも仕方がないと言える。そしてこの「抵抗」するのではなく「受容」するという物語のあり方が、この作品の評価を大きく二分してしまっている大きな点ではないだろうか(庵野の声に関しては言われすぎているので自分はスルーするとして)。
なぜなら生き物にとって「抵抗」することは自然なことで、生命が脅かされたならどんな虫けらであってももがき「抵抗」するという、そこには無条件の必然性、リアリティが存在する。しかし一方で「受容」するということには無条件の必然性は存在しない。ゆえに観客がそこにリアリティを感じるためには、なぜ彼らがその選択をしなければならなかったのかという文脈が必要となってくるのだが、この物語にはその主人公たちが選択した「受容」にリアリティを持たせる文脈が不足していたのではないか。彼らが最後まで病気と戦う選択をしなかったのはなぜだろうか?結核は当時致死率の高い病気だったが、この病気から生還した人間もまた存在した。しかし彼ら、いや宮崎駿はそうしなかった。抵抗し続ける選択であっても、美しい人間の生き方を描けるにもかかわらずだ。確かに愛しい人と最も濃密な時間を過ごしたいという欲求は文脈の一つになりうるが、それが全てではあまりにも感傷的すぎるのではないか。結果として、宮崎駿の用意した文脈の一本に上手く乗ることができたならば、その人はこの物語にとことんハマることができるが、その網目からひとたびこぼれ落ちた人にとってこの作品はとんでもない駄作となってしまっているのだ。都合よく男女が再会し結婚し結核で死にかけで美しいという使い古されたツールを前面に押し出した根拠ない健気さを持つ女の横で好き勝手やっているメカマニア、そんな構図に落ちかねないのである。
それだけではない。果たして、この物語は堀越二郎と堀辰雄という二人の人間を組み合わせた形になっているが、その必要性はあったのかという疑問も残る。片方だけを重点的に描いたほうが、より説得力を持って描けなかっただろうか。飛行機製造のシーンは間違いなく美しかった。設計図から飛行の様子、事故へ至るビジョンを二郎がイメージする演出からは、きっと並外れた天才の風景はこんなふうに広がっているに違いないと思わせ、観客にその二郎と同じ天才の視点を共有させる演出のワクワク感は、決して飛行機マニアだけでなく楽しめたに違いないし、宮崎駿の独りよがりなどでは決してないエンターテインメント性があった。だが、その天才が作り出した美しい零戦が人を殺すという苦悩もより深く描けたはずなのに、それを最後に「一機も戻ってきませんでしたが……」と片付けさせているのが、この作品が他でもない「そよ風」に落ち込んでしまっているところだ。この作品のことをファンタジーだと前述したのは、ファンタジーならば許される文脈の不足と、戦争を「そよ風」で描いた現実感の無さがあったからだ。それが結果として、間違いなく美しく崇高なものと隣り合わせになりながらも、そんな文脈の不足から物語に乗れない、遠くで風でざわめく木々を眺めながらも、自分の体には風が一向に吹いてこない人たちに対し、ひたすらな後味の苦さを残す作りになってしまっているのである。
この『風立ちぬ』は時代と人の成長によってこれからも評価が変わり続けるだろう。受け手にも文脈があり、そしてそれは常に変化していくからだ。ある人は後々に素晴らしい作品だと言い、ある人は一時の自身の熱狂に首をひねるかもしれない。評価が良い意味で変動しないナウシカやラピュタと違い、そいういう点ではやはり宮崎駿の最高傑作だとして記憶されそうな作品ではある。
なぜ素直になれないのだろう
さっき見てきて、この映画のエンターテイメント性の高さに感動しました。
他のレビューを見て思ったんですが、びっくりするような低評価を付けている人。
退屈だった、何が言いたいのかサッパリだ、病人の前でタバコを吸うな、監督のオナニーじゃないか、兵器作りを肯定するな・・・etc
こういう事を言う人たちは、なぜもっと純粋に映画を、ひとつの体験として楽しめないのでしょうか。
冒頭に出てくる、空に浮かぶ壮大な雲の隙間から差し込む太陽の光の描写の美しさに何も思わなかったのか。さまざまな飛行機が物凄い迫力と轟音でエンジンを回して飛んでいるような、見たことも無い映像に何も思わなかったのか。突然の電報に、涙を飛び散らせながら家を飛び出す次郎の表情に、何も感じなかったのか。
だいたい、ジブリ作品に酷評を付けてるひとは、自分の常識や知識と映画を照らし合わせることしかしてなくて、理屈ばかりこねくり回して、非常に頭でっかちで、読んでいて悲しい気分になります。
メッセージ性とかテーマとか、倫理などは、映画を見る上では僕にとってはどうでもいいです。この映画のストーリーがたとえ作り物だとしても、瞬間、瞬間の人の表情や、セリフや動きに、とても感動しました。
例えば、次郎が愛する人のために死に物狂いで支度しているときに畳で滑ってずっこける動きとか、必死さが伝わってきてもうそれだけで泣いちゃいました。
ラストシーンも、ハッキリと答えを出さず余韻を残しつつ、しかしさわやかにフィニッシュしていて、もう文句の付けようがありません。オススメです。
彼の決意に泣けました。
生きていると大なり小なり理不尽なことに出くわすことはあります。でも、その最たるものが、戦争なのだと思いました。美しい飛行機を作りたい、その思いだけだったのが、結局、戦闘機の開発になってしまう自己矛盾を抱きながら、二郎さんは、生きたのかもしれませんね。最愛の妻の死も、戦争の片棒を担いでしまい、たくさんの人を死に追いやってしまったことも、もしかしたら、二郎さんにとっては、死にたくなるくらい苦しいものだったのかもしれません。でも、最後に、彼は「生きねば。」と結んでいます。どんなに辛くても、現実をしっかり受け止めて、自分の命を全うしようとする静かな決意が感じられました。その決意の重たさに、私は、心が震えて、泣けました。この映画は、限られた時間の中で、お互いを思いあった美しい夫婦愛の物語として捉えることもできるのでしょう。実際、ほのぼのとしたシーンや、胸キュンの素敵なセリフもたくさんありました。また、具体的な戦争シーンもあったわけでもありません。零戦の開発される様子を淡々と描いていました。それでも、なぜか、私は、見終わったとき、絶対に、戦争はいけないと思いました。自分も、子供たちも、できうるならば、世界中の人々が、こんな理不尽な思いをしてはいけないと思いました。だから、この映画は、私にとって、反戦の映画なのです。
どうしちまったんだジブリ . . .
庵野秀明の声はまったく堀越二郎のイメージと合っていないと思う。(なぜこの人?)
この映画全体に対して夢のシーンが多すぎて、現実と夢が分かりにくい。
今の時勢で観てはいけないのだろうけど、タバコのシーンがやけに目につく。
生きねばと言うキャッチフレーズだが、本当の意味は深いと思うが、単純にみると主人公はそんなに死に切迫しているか?
ジブリ作品は、大きなテーマの中に単純明快な子供も大人も楽しめるアニメ映画でないといけない。(今回のは少し難しい!)
とは言ってもさすがジブリ、背景とかの描写は素晴らしいが、もう一度映画館で観ようとは思わない。
レビューで5点とか付けている人、難しく観てない? まあ、観方は人それぞれだが、自分にはなぜそんな点が付くのか分からない。
後味が程よい映画
予告からずっと気になって、夫と観に行きました。
館内は、ご年配のご夫婦が意外と多かったです。
最初から最後まで単調で、余白を読ませる映画、まるで昭和の邦画です。今にも李智衆さんでも出てきそうな感じがします。主役の二郎が、李智衆さんのような単調な喋り方ですね。そういう懐かしい白黒邦画の世界観をわざと出しだのではないかと思いました。
賛否両論あるようですが、私は嫌いじゃないです。
見終わったあとは、ほっこりした気分にさせてくれました。
何だろう?
今ココにある幸せを大切にしていこう、
精いっぱい生きてみようかな、
そんな気分になりました。
なんと言っても、主人公がうちの主人に似ていたのが笑えました。
ボソボソ喋る喋り方も、ボーッとした感じも、ちょっと天然?っぽいノンビリした感じがソックリでした。
本人も、見終わったあとに俺に似てたと言った程。
ノンビリ屋の優しいご主人をお持ちの方は、ご主人と観に行くとそんな楽しみ方もあるかもしれません(笑)
私は、タバコのシーン好きです。
タバコ吸いたいんだけど…と、手は奥さん握りつつ反対の作業してる手で吹かす。
ところどころ、そういう細かい愛情表現の描写が上手いなぁと、思いました。
全体的に、純粋な青年と病弱な少女の純愛ラブストーリー、夫婦愛のような印象を強く受けました。
思い切り感情移入をするでもなく、ギャラリーとして一歩引いて観て、作品として読む小説のような映画だと感じました。
ご夫婦で観に行くと、新婚時代の初々しさやウブな感じが懐かしく思えるかも…。
ちょっぴり胸がキュンとなりますよ。
話の展開や人物の感情の動きが強引でなければ◎
あらかじめ、観る予定でまだ観ていない方は先入観入ると思うので読まないことをオヌヌメします。
全体として、ドロドロとした描写はことごとく排し、できるだけ綺麗な部分を描写している印象を受けました。
やっぱり日本を代表するポジションにいるジブリだけあって、「地震」「貧困」「戦争」「不況」など、現代のキーとなるテーマはきちんと押さえてきているなと思いました。
地震で避難する人たちの群像シーンはすごく丁寧に描かれていました。
テーマに関しては、もう一つ、日本のエンジニアにスポットを当てるのは良いなと思いました。
ただ多くの人がエンジニアである主人公の、あの無表情なしゃべり方に違和感を感じたんじゃないかと思う。明らかに置かれている状況と、それに対する主人公の反応に、見ている方としては感情が乗っからない(笑)
「おい、そこでそのリアクションか!」と。
そのくせ駅でヒロインと再会するシーンなど過剰とも感じる久石譲の壮大なオーケストラが流れたり…。エンジニアはとかく無表情なものだし、無表情だからといって薄情ではないという意図が込められていると良い方に解釈することにします(笑)
そう、単に天才エンジニアとして描くのではなく、あまりヒロイック過ぎない姿で描くというのは必要なことなのかも知れないなと。
「真夏の方程式」みたいなイケメン技術者なんていねーだろという(笑)
宮崎アニメって個人的に、ダサい男たちと、無垢な子供の描写は上手いと思うのですが、それ以外の人間を描かせると淡白で面白みに欠けるなぁと思います。
出来事の多さを考えると二時間程度の映画で描写できる内容ではなかったのではないかという気もします。出来事が淡々と過ぎていった感が否めない。主人公と友人技術者との関係、妹の関係など…。その中にあっては、上司の黒川との関係は良く描かれていた様に思う。
堀辰雄の恋愛小説と堀越二郎の偉人伝がモチーフになっていたということだけれど、その二つが上手く噛み合っていたかといわれると疑わしい。エンジニアとしての主人公、ヒロインと主人公、夢追い人としての主人公がぶつ切りで流れていくため、戸惑った人は多いのではないかと。
でも全体としては面白かったです。
結婚式のシーンは感動的でした。あとユンカースの製作所見学のシーンや技術者としての天才ぶりを発揮する主人公のカッコいいシーンは良かったです。
こういうジブリもいいと思います
魔女の宅急便以降のジブリ作品に物足りなさを感じている私には、今作は近年まれにみるヒット作だと思いました。
声の出演に素人(プロ声優ではないという意味で)を多用するのが個人的には好きではなく、今回も「またか~」とあまり期待せずにいたのですが、皆さんいい意味で裏切ってくれました。
庵野さんも思っていた以上に良かったです。
確かに棒読みではありますが、あれも「味」だと感じました。
「製作の裏側」をテレビ番組で見てしまったせいで、飛行機の音やアルパートさんの歌では笑いそうになってしまいました。あれは見なければ良かったな…
観る人によっては評価が分かれる作品だと思います。
「ジブリなんだから大人から子供まで楽しめるファンタジーな作品を」
…と思っていらっしゃる方にはつまらなく感じるかもしれませんね。
しかし。
作中、過去のジブリ作品のキャラがチラッと登場していたところはジブリらしいなあと思いました。
評価に満点を付けなかったのは、中だるみになるのを感じたからです。
展開に波がなく、淡々と話が進んでいく部分は少し退屈でした。
個人的なことですが、昨年に仲間が急死する経験をしましたので、
「君は生きねばならない」というラストのセリフは、遺された者として心に突き刺さり、涙が溢れて止まりませんでした。
全ての先入観を捨てて見る
じわじわと感動が湧いてくる作品です。文学小説のように、行間を読む映画です。
今時の映画は説明が多く、見る側も頼ってしまいがち。でも、たまにはこういう不親切なまでに省略されて、そこからみた側に様々な思いを読み取らせる映画もいいと思います。
Yahoo評でもそうですが、ジブリだからこうじゃなくちゃいけない、とか、ジブリファンだけどこれは酷いとか、戦争シーンがないとか、話しが突然飛ぶとか、結核患者のそばでタバコはあり得ないとか、一つの今の価値観でしか見ないと全くわからない、盛り上がりのない駄作となってしまう。ひいてはジブリは終わったとか、じいさんの独り言となってしまうのです。
この作品はそんな表面的なことに縛られたら良さを見つけることができません。ジブリの美しい絵に乗せた壮大な文学を読み取って欲しいと思います。庵野さんの声もそれを読み取れば、声優には出せない味を感じられます。
歳とりぬ。
今作の予告を通算100回は観たんじゃないかと思う^^;
それくらい、かなり以前から、劇場で流されていた。
直前には例の4分間映像。初めは終映後だったけれど、
それだと客が帰っちゃうもんだから(爆)前にしたみたい。
当時不安になったのは、皆さん御承知の通りで
「だぁ~れが風を見たでしょう…」のあのくだり(爆)
え?この声優(じゃないけどね)でいくの?と思ったのと、
飛行機の機械音が人間の擬声(気になる)だったこと、
これはどちらも、聞けば聞くほど(そこに拘ってしまうほど)
非常に気になって仕方なかったことである。
が、本編。実際に観てみると(予告ではない分)
そこまで気にはならなかった。最大の難所、庵野監督の声も
慣れてくると気にならず。決して巧くも聞き易くもないけれど。
主人公の稀有な性格に合わせ、彼にムリにやらせたんだから、
どちらかというと、気の毒な役回りだったと思う。
その他の俳優が出す声優演技には、ほとんど文句なし。
可も不可もなく普通に過ぎゆく叙情詩のような話の流れは、
なんでわざわざアニメでやったんだろう?と思うほどだった。
宮崎駿も歳をとったんだな、と思う。
ファンタジーといえば、妄想と現実を行き来する主人公の夢
くらいのもので、あとはリアルな時代感に重点を置いている。
堀越二郎と堀辰雄の半生や作品を合わせ、フィクションで
ラブストーリーまで継ぎ足し、その時代がこうだったことを
十二分に観客に見せつけている。
いい話ではあるし、理解もできるが、特に心には残らない。
素晴らしい映像センスと、躍動感あふれる飛行機の疾風感、
まるで今作のために書き下ろされたようなテーマ曲といい、
魅せるための選択に狂いはなく、プロの仕事だなと実感する。
だけど、纏まり過ぎて狂いのない物語には面白さはない。
こちらが感動に震えるようなドキドキ感が感じられなかった。
なんだアレは?と思うような変な生き物(爆)も出てこない。
過去の何作かには、まだそれ(挑戦)が感じられたので、
やはり宮崎駿が人生を振り返り、纏めの段階に入ったかなと。
本人が何をどう考えているのか、私には分からないけれど…
二郎と菜穂子のラブシーンには、ちょっと驚いた。
物語が現実的であれば、ラブシーンまでも現実的(爆)
あまり宮崎作品でこういうのを見たことがなかったことと、
(大変申し訳ないが)この場面を50を過ぎた監督とあの女優が
演じているんだ…なんてことが脳裏をよぎってしまい、
観ているこっちの方がこっ恥ずかしくなってきてしまった。
いやいや、感動場面でした。特に菜穂子のあの選択は…ねぇ。
当時の女性が(男性優位の中で)どう立ち振る舞ったか、
当時の言葉遣いや所作・動作の流れがいかに美しかったか、
今では忘れ去られてしまった美しい日本の姿が堪能できる。
会社ブランド名が先行して、
実際に観た人の感想が紆余曲折を辞さない有名作品と化した
ジブリ作品。良いも悪いも観た人の価値観に因るものだから
それはどっちもアリだろうと思うのだけれど、
観客たちも歳をとってその流れを振り返った時、あ~変わったな
と実感できるのが、映画を観てきたことの醍醐味かもしれない。
(どんな哀しみも乗り越えて強く生きる。人生のテーマだもんね)
こんな宮崎アニメも良いと思う。
ジブリとしては初めて(紅の豚もか?)大人向けのアニメ。ジブリ映画のいつもながら、しっかりと丁寧に演出、描き込みが好感触。主人公、二郎の葛藤や戦争に対する感情などを省いたため、共感出来ないなどの声があるみたいだが、それはそれでありかなと。
絵で魅せる
やはり宮崎監督の作品は絵が綺麗。人物の動き、キャラの顔がいいですね。
本作は男性からの評価が高いのではないですかね?仕事に生きる主人公の姿に共感するところがあるのではないかな。
私の感想しては、二郎の夢であった飛行機を作ることへの情熱はわかりましたが、途中少し中弛み感があり疲れました。恋愛部分については、なおことの再会から恋愛に至る過程が浅すぎて残念だなと…結婚してからもなおことの絡みが少なすぎて一日一日を大切に過ごしている感があまりなかったですね。いつでも仕事中心で病気のなおこに慰められている感じだったので、会いたさに療養所から来てしまったなおこへのいとおしさやいたわりを表すシーンがもっとあっても良かったのではないかと思いました。帰ってしまったなおこを追うとか看取る場面もなく、飛行機を完成させたのはなおこのおかげ、ありがとう、では女性の私的には感動にはつながりませんでした。
横やりですが、結核は昔はうつるため隔離された不治の病なので、他人の家であのような生活は難しいかと思いながら見ました。
また、なおこが一服するときも手を離さなかったことにシラケたとのご意見、私としては、愛する妻が肺病患者なら、手を握ってあげてここでタバコを吸うのはやめるよくらい言って欲しかったですね。
さすが。
近年の宮崎作品の中では一番
みてきました。
最近の宮崎作品をはじめ、ジブリ作品に対して
正直興ざめしていたのであまり期待せずにみはじめました。
最初の頃は庵野さんの声も気になりますが、どこかからか
あの声とキャラクターがぴったり収まってしまっています。
それは物語の中に自分を没入できているからなのかもしれません。
没入できる人と、そうでない人に別れる作品なのでしょう。
多少なりともモノづくりに関わったり、それに憧れを抱いた事が
有る人なのであれば、没入できるのではないかと思います。
当然没入できないと粗が色々とは見えてくるとは思います。
ゼロ戦がどうだ、戦争責任がどうだ、庵野さんの声がどうだとか。
自分は粗もあるけど、それ以上に入り込めちゃったから
問題無しです。
こんなのジブリじゃないと泣き喚く前に・・
5年ぶりの宮崎駿監督その人が手がけたジブリ新作!!ユーミンの名曲「ひこうき雲」の調べに乗って、手練れの電通ディレクターが手がけた予告編、日テレのいつもの宣伝にまんまと煽られ、いやがうえにも高まる我ら一般大衆の期待感!しかしそれが大きいほどに、裏切られたと思った瞬間の不快感や失望は深刻なイラ立ちへと変わり、ネット上では駄作だなんだと、こんなの私たちの好きなジブリじゃない!とそれこそ駄レビューと雑言が飛び交う。
そもそもジブリモノじゃなきゃ「風立ちぬ」なんて、どうやら名作らしいけど自分なんて5ページも読まないうちに寝ちゃいそうな、地味っぽい純文学の原作ベース、零戦と堀越二郎でもくっつけてなきゃマニアックな文学ファンしか観ないよな〜・・という自分で自分の知性を否定しといて、その後に気づいて憮然としてしまうような笑えない疑問もありますが、
ともかく、人の欲望はキリがないので、カネ払って来たんだからもっと楽しませろ!もっと感動を寄こせ!ジブリ作品だったら当たり前だろそれくらいは、とね。 それはもうジブリの提供してきたエンターテイメントにすっかり狎れちゃってるんですね。そしたらね、何か親しんだ味と違うじゃないかと。これは(ジ)ブリじゃなくてタダのハマチじゃないかと(おいおい( ̄◇ ̄;)!)
或る意味で今の世の中、それこそ人の心は、まさに大人としての均衡が崩れまくってますから、こんなにも知的に文学的に、生きるという事のテーマ出ししてこられても、おいそれと心には染みないし、理解できない自分の今に気づくことも出来ないのかなと。気づかないままにもっと手軽にそう言う事の周辺にある感動や幸福感だけを味わいたい、と。あぁそれは自分も含めてなんですが、もしかしてなんて不幸な事なんでしょう。
他のレビュアーの方も書いていたけど、5年後10年後の今よりは(多分)成長しているだろう自分の感性で、またこの途轍もないアニメ作品に向き合えるよう、今これからを一生懸命「生きねば」と、そんな感慨を抱きながら映画館を後にしたのでした。
地味だからこその名作
ジブリ映画のファンと言うわけではないのですが、予告編をみて気になったので劇場まで足を運んで見てきました。
客層は様々で、普段こういう感じの映画を見なそうな方も多かったです。
全体としては地味な構成。
山場といった山場もなく、途中でどこまで進んだのか分からなくなりましたが。
何というか、それがよかった。
元々「堀越二郎の半生を描く」とのことでしたので、伝記的要素が強そうだなとは思っていました。
実際は結構弄っているそうなので、オリジナルストーリーに近い様です。(これは見終わった後に知りました)
メインとなるのは零戦を作り出すところまで。
その後の戦時中の描写はほぼなかったはずです。
メインは堀越二郎さんなので、これくらいでよかったんじゃないかな。
零戦押しが激しいとメインが変わっちゃいますし。
別に零戦を製作する映画ではないので。オプションの一つだと考えると説明の薄さにも納得がいきます。ちなみに戦争を賛美するような映画でもないですし、兵器としての零戦を賛美するような映画でもないです。というか戦争ものだと思ってみない方がいいような気がします。メインはそこじゃないです。
全体的に今までのジブリのファンタジー色は薄いです。
対象年齢も高め(……と言っても今までのジブリも決して低くはないと思いますが)でした。
多少客層を選ぶかもしれません。他の方のレビューでも書かれていますが、結構男性的な映画だったと思います。
声優もジブリ安定の素人。これは毎回ですからマイナスにはなりませんね。
個人的には庵野さんの二郎、よかったです。監督は「昭和インテリの声」とのことでの起用だったと思いますが、まさにその通りな感じで好きです。最初は気になりましたが、集中していると気にならなくなりました。
作中で二郎がタバコを吸うシーンには少々ビックリしました。ジブリで主人公がタバコ!こんな絵あまりないぞ!なんか色気を感じました。ドキドキです。
二郎と菜穂子の恋愛描写も大人っぽい描写でしたね。
菜穂子は結核で先が短く、終盤には山奥の病院に戻っていってしまいます。
綺麗な所だけを見せたかった菜穂子。菜穂子は二郎の見ていないところで苦しんでいた様です。二郎が妹さんにそれをなじられるシーンもあります。
しかし、菜穂子はそれでよかったのでしょう。
二郎を薄情だとおもう方もいらっしゃるでしょうが、菜穂子自身が知られたくなかった。苦しんでいる姿も、青ざめる顔も見られたくなかった。そう思います。
結核の菜穂子の隣でタバコを吸うシーンがありましたが、先に外に出ようとした二郎を止めたのは菜穂子でした。少ない時間のうちにできるだけ隣にいようとする菜穂子の姿には涙がでました。
美しい飛行機を作りたいと言う二郎の願いは純粋でした。
しかし悲しいかな、誰も美しいだけの飛行機を許してはくれなかった。
零戦はツールでしかないのです。
武装していようがなんだろうが、ただの飛行機でしかありません。
人が死ぬと言うことが今よりももっと近かった時代です。現代の感覚では理解できないでしょう。あの時代のエリートのひたむきな姿。大切なもののためのまっすぐさが切ないです。
ラストで二郎が言った「一機も帰ってこなかった」。泣きました。
直接では描写されないたくさんの人々の死。
零戦の製作によって二郎はそこに関わってしまった。
しかし、彼は自らの夢の代償を知り、覚悟を持っていたから淡々と話す事ができました。
あの時代だから持ち得た人々の覚悟を感じます。
登場人物たちの行動を肯定するような内容でもありません。二郎は零戦を作らない方が良かったのかも知れませんし、菜穂子だって病院にいたほうが良かったのかもしれません。ですが、正しさなどは関係ないのでしょう。生きることを描いた作品でした。
描写されぬ裏側を感じてください。提示されたものだけを見るのではなく、ほのめかされたものを感じてください。
深い余韻を残す
とっつきやすいが、奥が深い。
宮崎アニメ・ジブリというと、おこちゃまからおじいちゃん
おばぁちゃんまで。まさにその通り。
観客の年齢層が幅広いのだ。
誠に失礼な話だが
本当は、この風立ちぬを見ようと思った最初のきっかけは、
庵野監督がヱヴァ放り出して何してるか
観てやろう、いや見ずにいられるわけがないと恨めしいもの。
前言撤回、事前知識を積めば積むほど、5年かけた思いを
汲み取れば汲み取るほど、そういう気持ちはかききえた。
作品に真摯に向き合う覚悟と、お勉強が必要。
最後までお行儀よく座席に座っておクチにチャックするくらいの
最低限度のマナーが必要だ、とくに大人。
おこちゃまのがきちんとおとなしく見てたぞ。情けない。
ヱヴァQとエンドロール付近を比べると、いかにお行儀のよい
訓練された観客に恵まれていたのかと痛感せざるをえない。
エンドロール後に次回予告がありうるヱヴァじゃぁ、みんな
お行儀よくおクチにチャックしてお座りしてるのが暗黙の了解で
当たり前だ。でも、
ジブリやほかの映画じゃ、ヘタするとエンドロールで立席
するお客がいるわけだ。だからこそ、余韻を楽しめず
潰されてしまう。これが悲しかったのだ。
きちんと最後まで向き合って、どう感じたか?
それがすべて。
ゼロ戦について知識を積んでいない分、主人公次郎については
少なくとも好印象以外の感情を持たなかった。
弱き下級生がいじめられるのを放っておけなかったり、
ドアなどの開け閉めが丁寧で、所作や存在自体が
上品で凛としていて好感が抱ける。
混雑した列車で席を譲る。もう、数えきれないくらい
この人いい人だな描写だらけだ。
作品についてはテーマに直結するものが多すぎて
宮さんあんた頑張りすぎだよと
映像を見ていて痛感するものがありすぎた。
とっつきやすいが根深いテーマ。その奥深さはまるで底なし沼みたいだ。
それこそ他人がどう感じたかなんて関係ないのだ。
99人がこの風立ちぬをこきくたそうと、自分は100点をあげたい。
5年かけてこの作品を作り上げ、形にし世に送り出したこと。
もののけ姫で込められたテーマが重すぎるとさじをなげてしまった自分。
人間だけなく、風景が、風が、エンジンが、ネジひとつひとつが
脈打つ映像。お空の雲、青さ。そんなとりとめのない当たり前のもの
たちが作り出すあの空間と雰囲気。
こういうのは宮崎さんならではの味だ。
劇場でだからこその音響、映像の迫力。
ジブリファンだというのなら
せめて一度は宮さんが5年心血を注いだ映像を目に焼き付けるべきだ。
さばのほね、美しい、シベリア、あなたがこれを見て
残ったフレーズは何ですか?
余韻を深く残す作品です。
エヴァ好きとして見ると台詞の「2号機」とかドイツ語を話す庵野監督
などフワァッと浮き上がりそうになる自分を抑えるのが大変でした。
確かに現実的につっこみどころは多々あるけれど。
作品単体を極力事前知識を控えて作品を見て消化してみると
この作品を劇場で見て本当に良かったと言いたい。
一番なえたのはかぐや姫の予告。
上映予定を公言してきちん守れないアニメ監督というのは
自分の中でかなり評価をさげます。
風立ちぬの最後まで、余韻に浸ってみるべき価値のある作品でした。
小さな子供を決して置いてきぼりにさせない映像の工夫や
苦心がうかがえました。
エンドロールの最後の最後まで一般のアニメと接点のない大人の
興味をひく努力をしてほしいというのは
さすがにかわいそうだ。
手書きっぽいエンドロール。きちんと向き合って味わおうとする
気持ちさえ持っていれば、
5年間かけた作品に対して失礼な行動は慎めそうですがね。
作品は最高でしたが、同じ空間を共にする観客、雰囲気で
がっかりするところが多すぎました。
こころざしの高い主人公というのは見ていてすこぶる心地がいい。
今時なかなか見かけないからこそ余計そう思う。
DVDでもう一度、振り返りたいと思えるすばらしいアニメ映画でした。
宮崎監督の作る映像がまだまだこれから見たい。
悪いが、最高の映画だった
賛否両論あるが、純粋な個人の感想としたら最高の映画であった。
モノを作る仕事に携わっている人、自己を顧みず最前線で働いている人にとっては、いつの間にか自分を映画の中に落とし込んでしまったのではないか。
勉強会で上司に感動したと言わしめる姿。
うらやましいと感じ、明日からの仕事に少し意気を感じたのではないか。
エゴ・結果・趣味・責任
こういった物が溢れ出すのを、ぎりぎりの状態コントロールする。
何事でも全てをマネジメントできる人間は一握りだ。
その気持ちや感覚を理解出来ない人がいることは仕方がない。
まして子供の理解は困難であろう。
更に完全に男目線であることも女性の批判を受けているのでは。
ジブリは老若男女に支持されるあまりにも巨大なブランドが出来上がってしまっている。今回誰にでも共感出来る部分が軽んじられているのは明白であり、そのギャップにつまらいと感じるのであろう。
見てもらう対象ではない人も見てしまっているのだからしょうがない。
また、この内容はアニメでなく実写でも制作可能であろう。
ただ、アニメと実写との差はそこに役者という個人の判断が入ることにあり、すべてのエキストラのようなキャラクターも含めてコントロール出来る事がアニメと実写の違いだと考える。
そういった意味でもこの映画は宮崎駿監督の思想をストレートに表現している観客への手紙と考えるべきであろう。
見る側も登場人物の視線から、コメント、自然の描写、動き等映画の全てに監督の意図を想像するべきであり、それが出来る密度の映画である。
落胆!100歩譲っても厳しい!
昨日、職場の女子三名で「風立ちぬ」を観て参りました。
ジブリ作品が大好きな私としては、かなり楽しみで、胸膨らませすぎたのかもしれません。
結論からいうと、、、
いまだかつてない、ガッカリ度!ため息がいまでも止まりません。
まず、率直なところ、エンターテイメントとして、全然楽しめませんでした。
もちろん、テーマは重いものは重々承知です。
しかし、ナウシカやラピュタの時のような、胸にキュンとくるピュアさや、
キラキラした感じがまったくなく、かといって、
千と千尋や、もののけ姫のような独創性やパンチもなく、単調きわまりない印象でした。
いつも効果的な音楽も、心にまったく響かず、
いつ感動がくるんだろう、、、
いつ泣けるかな、、、
と思っていたら、唐突に話が展開して、終わってしまう結末です。
たしかに、「夫婦愛」みたいな面では、
少し、心の琴線に訴えてくる気配はあったものの、
全体の運びとして、乱暴というか、現実味がない展開が目につきすぎて、
「ううーーん」と、ため息がもれてしまう状態でした。
特にラストの終わり方は衝撃で、
↓↓↓
僕(主人公)は、夢をかなえるために美しい飛行機を作りたかっただけなんだーー。
↓↓↓
でも、結局、それが日本を破壊したのだよ。
↓↓↓
でもでも、あなた(主人公)は、生きて!!!
(終)
・・・、みたいな状況で、
劇場にいた人みんなが、
ええええーーーーーー!
これで、終わるの!?
という、
戸惑いの声が続出の締めくくりでした。
唯一の救いは、西島秀俊さんの安心して聴けるいい声。
そして、すべての、ひっかかりの元凶は、
やはり、主人公の庵野さんの声。
エヴァも好きですし、
庵野監督も、本当に才能豊かな素晴らしい方です。
・・・が!
・・・が!
100歩譲っても、これは、やっぱりなかったです。
完全に、主人公の声が違和感があり、集中できません。
棒読みすぎて、感受性が豊かな私みたいなタイプには、
こわれた音楽を聞かされるようで、
スーーーっと、心にストーリーが入りませんでした。
涙もろい私は、たいてい、おきまりの泣きのシーンではウルウルするのですが、
この作品だけは、冒頭から中盤、終盤にかけてと、一滴も涙はでず、
率直に、感動作でもなければ、エンタメとしての壮大さや、メッセージさの低さに、
「駄作」としかいいようがない感想となってしまいました。
いまでも、ナウシカやラピュタ、ポニョなどは大好きですが、
ジブリ作品の一番の魅力であった、
夢や希望、ピュアさ、ユニークさが感じられなかったのは残念でなりません。
政治的な思想性を入れたかったのかもしれませんが、
どれも中途半端になってしまった印象です。
ディズニーや手塚治虫のような、
大人も子供も、深い感動で包んでくれるような作品がジブリから誕生することを、
祈ってやみません。
心に残ります
まるで、昔の名作と言われる美しい小説を読んでいるような感覚になりました。読者を置いてきぼりにしているようでとても心に残る作品だと思います。なので、小説読めない人にはオススメできないですね。子どもには難しいのでは。
女性からみて主人公はとても魅力的な人です。今の時代にはなかなかいないです。英才でありながら、情熱をもつ。恋愛に全てを捧げるのではなく、仕事に打ち込む姿はとてもかっこいいです。
時代背景として批判されている人もいますが、そういう生き方をした人がいたというだけのことだと思います。
戦争を美化させる要素は全くありません。実際に二郎も特高に追われ身を隠しています。むしろ、戦争のどうしようもない理不尽さを感じます。
時折二郎から感じる仕様がない精神?は日本人特有の精神だといわれていますし、ジブリ作品は日本人独自の精神•考えが根にあるものが多いですよね。今回もそれなのかな?
これから何回もみることで、新たな発見がありそうな作品です!伸びしろを考えて4にします。声優はすごくよかったです。
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