「初めて映画館に2回見に行きました」風立ちぬ よんしんさんの映画レビュー(感想・評価)
初めて映画館に2回見に行きました
映画って、結局その内容と自身のそれまで経験や思想などと共感出来る部分があるかどうかで好き嫌いがわかれるものだと思います。
そういう面で、私には素晴らしい作品でした。
正直、前半は退屈で仕方なく、何度も眠りそうになりました。
ですが、長野での奈穂子さんとの再会以降、ストーリーはグググッとラブストーリーになってからはひたすら涙、涙、涙、でした。ただ、一緒に見に行った同僚は完全に冷めていました。
この感動がどうしても忘れられなく、今度は一人で観に行きました。
2回めは最初から楽しめましたが、見終わって整理してみると私は奈穂子が喋るたびに涙を流していたように思います。正直二郎の飛行機づくりに関してはどうでも良かったようです。
奈穂子は初めの出会いで二郎にひと目惚れし、「本郷」で学んでいるという言葉を頼りに、二郎を探し続けます(なぜか2年もかかりますが・・・)。その後連絡をとればいいものを、控えめな性格のためかそれ以降の交流はありませんでした。ただお金持ちだったので、ずっと二郎の動向はチェックしていたのだと思います。
二郎が仕事で失敗し、長野に保養に行くという情報を得た奈穂子は、おそらく父親に頼んで自分の療養地に長野の同じホテルを選んだのだと思います。奈穂子の父親は、病弱で恐らく嫁に出すのも難しい娘のほのかな恋心を叶えてやりたいと、娘の期待に答えたやったのでしょう。
偶然を装い奈穂子と二郎は再開を果たし、二郎は父親に奈穂子との交際の申し込みどころか結婚の申し込みまでします。それを奈穂子の父は涙を流して喜びます。
もし、単なる偶然の再会だったら、どこの馬の骨とも分からない男の申し入れに、父親が涙を流すはずもありません。父親は二郎の人となりを予め知った上で、この薄幸の娘を受け入れてくれた感謝と、娘への想いから涙を流すのです。
といった奈穂子の身の上に思いを馳せると涙が止まりません。
「千と千尋」は観客が舞台の背景を読み取ることのできる情報を極力抑えていました。そのためこちらの想像力を掻き立てる内容でした。
「ポニョ」に至っては観客がその世界観を読み取れる情報を一切くれませんでした。ただ目の前に起こっていることを受け入れるしかない映画でした。
そういう面でこの作品は観客が劇中の映像に現れていない部分を読み取ることができる絶妙な情報量だったと思います。
ただ、好き嫌いはかなり分かれる映画だろうなとは思います。
奈穂子という女性はやはり男性から見た理想の女性像ですよね。