「若い人へ」風立ちぬ bkdmさんの映画レビュー(感想・評価)
若い人へ
夢想と現実が並列され、物語ることよりも作者の思いを視覚化することが重視されている。
フェリーニの「8 1/2」を連想した。
ボブ・フォッシーの「オール・ザット・ジャズ」やウディ・アレンの「スターダスト・メモリー」でもいい。
主人公は堀越二郎+堀辰雄ということになっているが、明らかに宮崎駿自身の夢想的自伝だ。
ただ、上に挙げた作品は自閉した芸術家のナルシシズムやマスターベーションの趣が強いのだが、
宮崎の「風立ちぬ」には、カート・ヴォネガットの「スローターハウス5」に近い社会への切実な思いがある。
この映画を深く受け止められるのは年配の観客だと思うが、若い人たちにこそ見てほしいと思う。
小学校高学年から中高生ぐらいまでの間に、こういう作品に触れることは意義がある。
こういう映画もあるのだ。
起承転結だの伏線だのといった語りのテクニックでは伝えられない思いもあるのだということ。
セリフに不自然な抑揚をつけて型通りのメロディーをつけることが決して「良い演技」ではないということ。
そういうことを知ってほしい。
よく分からないけど、何か深いものがある。
そう感じられた若いあなた、あなたのような観客の未来を祝福するために、宮崎駿はこの映画に精魂を込めたに違いない。
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鷹さんのコメント
2013年8月12日
うあああああああああああああ。
隅から隅まで一言一句、10000%同意(●_●)/
私が今まで言いたかったけど、言い切れなかったこと
明確に書いてくれた。
ありがとう、今日はすっきり寝ることができる。
この作品を理解しやすい層.....
横丁の小言オヤジになってやると最近決めた男より。