劇場公開日 2013年7月20日

「静かだけど激しい。」風立ちぬ ベッラさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0静かだけど激しい。

2013年7月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

難しいことは言えませんが、素晴らしかったです。泣いてしまいました。
あの不自由な時代の真っ只中で夢を持つということ、仕事をするということ、人を愛するということに意味を持たせる余裕など無かったと思います。ただひたすらに働き、愛し、生きる。今のように自由に選べなかった時代ですから。私の亡くなった父もそうでした。戦争を体験し辛い経験もしたようでしたがそれを語らず黙々と働き妻を養い、子を育てあげ、愚痴もこぼさず静かに生き抜きました。派手な人生ではありませんでしたが立派で熱い生き方だったと思います。真面目にちゃんと生きることを教えてくれました。
この映画も何と言うかそういう意味で無声映画のように静かです。時代の流れの中で正面から生きている人達を描いてゆく。だからこそ夢を追うことが人を殺す兵器なることに通じてしまうことや、命を縮めてしまうことがわかっていながら愛する人のそばにいることを選ぶ、生きることへの情念、人間の業が伝わってきました。静かだけど激しい。与えられた生をひたすら
に生き抜くということ、監督のおもい、「生きねば」、ちゃんと届きました。何度も観たくなる映画だと思います。

ベッラ