劇場公開日 2013年7月20日

「風を吹き込む」風立ちぬ xtc4241さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5風を吹き込む

2013年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

先週の土曜日封切りだというのに、もうレビューは80を超えている。
これは宮崎駿という男の実績に対するものだろう。
ただ、その評価については賛否両論あることが注目される。
宮崎作品のロマンがない。独りよがりだ。
一方、こんな純愛を描けるのはさすがだ。
ヴィジュアルが美しく、素敵だ。
などなど。点数にすれば1と5が多く極端に分かれている。
でも、僕はそのとらえ方は間違っていると思う。
宮崎さんが言いたかったのは、戦争に巻き込まれていった時代と、
それに翻弄される二人の主人公ということではないか。
時代性は現在の日本と似ている、という。
僕もそう思う。
なにしろ、普通に戦争ができる国にしようとしている政権を選んだのだから。
そう、国連脱退の政治家を歓喜で迎えたのだから。
そして、次郎と菜緒子の純愛。
ここにはいいところだけを見せたいと思った。
できるだけ、不純なものを排除したつくりになっている。
そして、ゼロ戦開発者としての次郎。
これは宮崎駿の矛盾を描いている。
戦闘機が好きな自分と戦争反対の自分。どこで折り合いをつけるのか。
という問題。これは僕ら自身の問題でもある。
原発はやめたいと思ってるのに、再稼働するという政権を選んでしまう。
そんな矛盾・・・つまり絶対矛盾の自己統一的世界。
美しい青空にあこがれるだけでなく、人間の苦悩。
そして日本の将来は?
そんなものが描かれている映画だと思う。

xtc4241
きいさんのコメント
2013年7月31日

宮崎さんは賛否両論あるのは承知の上だったのでしょうね。

矛盾がなく生きていける人間っているのでしょうか…?
いないですよね(笑)
いるとしたらその人は何も苦労をしていない人でしょう。

私も戦争は反対ですが、戦闘機には憧れを抱いています。
戦闘機というのは人を殺さなければとても美しいものだとさえ思います。

きい