「恐怖の午前3時7分……A級のお化け屋敷ホラー!」死霊館 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
恐怖の午前3時7分……A級のお化け屋敷ホラー!
オーソドックスなお化け屋敷ホラーをハイテンション&超怖く仕上げた『インシディアス』のジェームズ・ワン監督が
今度は実話を基にしたお化け屋敷ホラーに挑戦! 全米で大ヒットを飛ばした作品。
ムチャクチャ楽しみにしてたのに東海地方では名古屋でしか演っておらず、鑑賞料より高い電車賃を払って鑑賞。
アホっすねえ。
いや、けれども、さすがの怖さで大満足!
顔が怖すぎるアナベル人形で始まってからほぼ全編に渡って緊張しっぱなし!
(にしてもワン監督の映画って毎回気持ち悪い人形が出てくるね)
暗がりからの拍手、止まるオルゴール、遠くで戸口が開く音。
細かな音で『何かがいる』と感じさせる演出の巧さ。
頼りないマッチの灯火の先、ドアの裏側の暗黒。
完全な暗闇から何かがヌッと飛び出してきそうな気配の恐ろしさ。
怪異が襲い掛かる前の“気配”の演出がとにかく怖い。
劇中で語られる『出現→攻撃→憑依』理論(けっこう説得力がある)の通り、
最初はおとなしめの怪現象がじわじわボルテージを上げていき、
終盤ではもう手の付けようがないほどの暴れっぷりを見せる。
恐怖演出自体は決して珍しくないのだが、新たなアイデアの豊富さと
演出ひとつひとつの丁寧さでしっかり怖く仕上げている印象だ。
個人的に一番怖かったのは、終盤のあのシーン。
“ギギギギギ”っと縄の軋む音と共に、浮かんだ脚がゆっくりと……。
いやー……恐過ぎ。顔引きつらせながら観ておりましたよ。
またこの映画がユニークなのは、
心霊現象に脅かされる一家と同じくらいに、心霊研究家である
エド&ロレイン・ウォーレン夫妻にもフォーカスを当てている点。
夫エドはバチカン公認の悪魔研究家。妻ロレインは人間以外の存在が“視える”という変わった御夫婦。
なんとこの二人は実在の人物で、実録お化け屋敷ホラーの“はしり”として有名なアミティヴィルの屋敷を調査したこともあるそうな。
この手の映画の霊能者というと、映画の中盤くらいから登場して物知り顔で『ヤバいヤバいわ
アンタ死ぬわよ』みたいに若干上から目線の指摘をしてくるのが普通だが(普通か、それ)、
ロレインは“視える”こと以外は、1人娘と夫を愛するフツーの主婦。
被害者家族の奥さんに向ける眼差しは優しいし、
“視える”からと言っても心霊現象は怖い。
その能力ゆえに攻撃の的にもされてしまうし、
自分たちの仕事に娘が巻き込まれないかも心配でしようがない。
それでも悪魔祓いを行う夫と共に戦うという健気さに感動。
ここまで人間味のある霊能者の描かれ方は珍しいんじゃないかな。
それに、『霊能者が出たらもう安心』みたいな安堵感が無く、
むしろ恐怖を増幅させるような立ち位置として機能している点も巧い。
・『インシディアス』以上に心霊現象の科学的解明が語られる点
・悪魔という日本人には馴染みの薄い存在が関わってくる点
などから、残念ながら『インシディアス』ほどにアグレッシヴな恐怖は無いかもだが(あの映画には悪魔より怖い
バアさんがいた)、それでも並のホラー作品と比べて遥かにウェルメイドな恐怖映画。
70年代のややゴシックな雰囲気も不気味だし、最後の決着には不覚にも少しだけ泣いてしまった。
よくある題材をまたしてもオソろしくオモシロく仕上げていてグッド! A級のお化け屋敷ホラーですよ。
そしてワン監督の次回作は、既に全米公開中の『インシディアス 第2章』。
監督、ここのところホラーにくっつきすぎてる気もするが(笑)、今から日本公開が楽しみです。
〈2013.10.12鑑賞〉
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追記:
顔の怖すぎるアナベル人形について。
パンフレットには実際にウォーレン夫妻が保管していた人形の写真が載っていたのだが……
実物はこのまま映画に出てたら笑っちゃうくらいにファンシーで可愛いぬいぐるみでした。
まあ、これが襲い掛かってきたらそれはそれで怖い。
なんか書きたいことが全部書いてあるんでレビュー書く必要がなくなりましたw
ラストで「アミティヴィルに…」というセリフ出たときはクスっとしましたが
あとでパンフ見たら本当に行っていたとかw
アナベル人形もそうですね、最初は「あんな人形よく買ったな」とか思っていましたが
パンフの人形見たら納得しました。