「今かっこいい髪形はハゲ」PARKER パーカー 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
今かっこいい髪形はハゲ
(映画秘宝で紹介記事を書かせていただいて、ネタバレしないように描いたらネタバレしても大丈夫だそうで書き直した。ネタバレなしの方をこちらにUPします)
今一番かっこいい髪型はハゲ!常識を覆すかっこよさ!ジェイソン・ステイサムが、あれ?髪がふさふさ、一体どういうこと?と思ったらズラ……冒頭からかまされる最新作『パーカー』では強盗の天才かつ仁義を貫く男、「オレをなめんじゃねえ」という精神を原動力にどんな困難もものともしないタフな姿で今回も痺れに痺れさせる!
今回のステイサムはとにかく痛そうだ。冒頭から銃で撃たれて走行中の車から転がり落ちて、その後でまた銃で撃たれ、瀕死の重傷を負って病院に担ぎ込まれる。治療を終えてICUで気がついて、看護師の服を奪って病院から救急車を勝手に乗って逃亡、農道に止めて救急車の中にある点滴や痛み止めでどうにか回復します。
普通なら起きれる状態ですらないわけです。実際こんなことあるかって話なんですよ。オレは両足骨折の経験があるので断言しますが、大怪我するともう本当にやる気を失います。痛いってだけで相当疲れるし、ちょっと体を動かすだけでもすごい負担で、なんにもやりたくなくなってしまう。しかしパーカーは痛みや怪我など、ものともせずに復讐にいそしむわけです。相当痛いと思います。しかし彼には、なめられて黙ってられるか、絶対に取り分をきっちりいただくという執念があり、そのためには偶然出くわした強盗を襲って彼らが奪うはずだった金を取ったり、次々車を勝手に乗って乗り捨ててまた勝手に乗ったりする。そして更に襲われて肩や手のひらをナイフで刺されてビルから落ちそうになってますます大怪我するけど、不屈の執念でじわじわと迫っていく。なんという並外れたタフネスそして執念! 大怪我していてもステイサムならやるでしょう。『アドレナリン』のあの男ならむしろアドレナリンがビンビン出ているかもしれない。
先日、吉野家で、空いている席に座ろうとしたら見知らぬおじさんに「並んでんだよ!」と怒鳴りつけられました。すっかり面食らってこんな無礼極まりない人と同じ空間で飯なんか食えるかと、相手の顔も見ずに店を出た。バカに付き合う必要はない、大人の対応ってやつでね……一歩あるくごとに、はらわたが煮えくり返ってゲロ吐きそうでした。ステイサムならこんな時どうするか? おじさんの顔面を吉野家のカウンターに叩きつけて鼻血だらけにして、手の甲に箸を突き刺して、正面のガラスをブチ破って外に放り出しているはずなんです。そして吉野家のバイトのジェニロペ似の女とディープキスをする。
さて、この映画ではジェニファー・ロペスが非モテのアラフォー女として登場します。彼女もパーカーの魅力にすっかりメロメロで、盛んに誘惑します。草食系だなんだと男がなめられっぱなしの世の中で、果たしてパーカーはジェニロペにどう対処するのか? ジェニロペはアラフォーと言っても相当な美熟女ですよ。女優ですからね。このケースは現実に置き換えた場合どういうことでしょう。皆さんの周りのアラフォー女なんか大変なただのおばさんですよね。その恐ろしさをリアルに想像してみるべきなんです。緻密な構成、リアルかつハードですこぶる痛そうなアクションでハラハラさせながら、非モテのアラフォー女という危険な物件にもハラハラさせられる!