劇場公開日 2013年4月20日

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「サンダンス映画祭」ハッシュパピー バスタブ島の少女 Editing Tell Usさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0サンダンス映画祭

2018年11月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

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サンダンス映画祭という映画祭を知っていますか?
今年引退を発表したロバート・レッドフォードによって設立され、名前は”明日に向かって撃て”の彼が演じたキャラクター、サンダンス・キッドからきています。

この映画祭は、インディペンデント映画を対象としており、新人監督たちの目指す最高峰の映画祭になります。ここでグランプリを受賞した作品は映画好きにはたまらないような、先進的なものが多く、時代の最先端を行く映画祭といってもいいでしょう。

この映画祭で受賞したのちに、ハリウッドでキャリアを確立し、今では大物となった監督には、コーエン兄弟、スティーブン・ソダーバーグ、ロバート・ロドリゲス、ブライアン・シンガー、デヴィッド・O・ラッセル、デミアン・チャゼルなど、名だたる大物監督ばかり。

今作も、アカデミー賞まで上り詰め、監督から、撮影監督、役者までがキャリアを作り上げています。

サンダンス映画祭で受賞する作品というのは、興行成績で数億円を売り上げるような作品ではなく、もっと実験的で、今までにはなかったようなユニークな作品が選ばれることが多いです。

この作品もそうで、予算は1.5億で、300億を費やしたアベンジャーズに比べると、めちゃくちゃ少ないことがわかります。監督のベン・ザイトリンはこの作品が初長編作品。

ストーリーもかなりトリッキーで、見たことのないような設定。さらには多くのシーンで出てくるメタファーはとてもユニークで、最初は「ん?どういう意味?」ってなるような感じです。

しかし、90分を見終わると、そこに浮かび上がるのは、映画全体がメタファーとなっていて、それなのに物語自体も完結し、決まった型をちゃんと追っているから、視聴者を突き放すこともない。

映画は90分だとか120分だとか180分だとか、決まった長さがあるんですが、やはり印象に残るのはクライマックスの残り30分ぐらい。そこで感情の浮き沈みが最も大きく、クライマックスと呼ぶに値するようなものです。

しかし、映画がその30分だけではなく120分あるのには、物語を伝える以外の美しさがあるのです。
それは、視聴者の印象に残るようなものではなく、その映画の色合いだったり、トーンだったり、キャラクターのセリフの言い回しだったり、その映画のブランディングとなるようなものが120分にはあります。

特に序盤から中盤にかけては、その映画を組み上げて行く上での監督の才能が顕著に現れるところでしょう。成功する映画の多くは、クライマックスがすごかったというよりも、クライマックスに持って行くまでに視聴者を虜にし、映画の中に引っ張り込んでいるから、クライマックスで感動することができた、ということがほとんどです。

この映画もそうですが、序盤から中盤にかけてのバスタブ島の設定、キャラクターのバックグラウンドや性格などを視覚的に描き出すことに長けていたため、その後のメタファーにも思いをはせることができたし、そこのスペースを空けてくれた編集のおかげでもある。

これを、スマホの小さなスクリーンで、電車に乗りながら見ても、映画の世界に身を投じることはできません。そういう人はこの映画を「意味がわからない、ただの天邪鬼な映画」とでもいうでしょう。
ちゃんとリラックスできる状態で大きなスクリーンと大きな音が出せる環境で、ポップコーンとコーラ片手に(自分の場合はコーヒー)映画と勝負するように見れば、映画の世界に足を踏み入れることを許されるのでしょう。

やっぱり映画はそうやってみるのが一番楽しめると思います!
海外ドラマとかは、全然電車の中で見てもいいんじゃないでしょうか?

Editing Tell Us