「謝罪のPV。」謝罪の王様 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
謝罪のPV。
観客が一番謝って欲しいのは最後のPVなんじゃないか?と
さえ思ってしまう(いつものことだけど)謝罪を描いたクドカン脚本。
面白いには面白いが、やはり長い。というか間延び感が拭えない。
前半~中盤にかけての畳みかける謝罪のあれこれは面白い。
電車V.S.車の「遅刻」に関する使い分けは確かに納得!だったし、
その他、大仰な被り物まで配する謝罪合戦には閉口するくらい。
今、日本で空前のブーム?になっている「土下座」なんだけど、
本来の使い方を履き違えているし、もはや一種のパフォーマンスに
なってしまった。あれが誠意を込めた謝罪だなんてとても思えない。
その元となったとあるドラマでの「土下座」は、まさに主人公がその
ために生きてきたような男だったので、あれはあれで面白かったが、
何でも土下座して円満解決だったら、金銭金品なんて飛び交わない。
本作の所長である阿部サダヲが拘り抜いた「謝罪」は、
あんなに簡単な(すぐその場で言えるような)すみません。だったが、
その一言が言えない人の多さに至極納得してしまうのだ、本当に。
おかしな技?が蔓延する今作。あれがマンタン王国を纏める技で
あることには途中で勘付くけど、じぇじぇじぇの次はアレ狙いか?と
半信半疑みたいな気分で観てしまった。まぁネタとしては面白いが。
俳優たちの魅力はそれぞれ大全開。役者の使い方は非常に巧い。
嶋田久作にあんなことをやらせ、岡田将生にセクハラまでさせて、
濱田岳のワクバルなんて、あり得る~と思うほど通訳っぽくてウケる。
禿げといえばこの男。みたいな高橋克実の使い方はありふれているが、
夫婦揃って被害者に土下座する光景は、親の在り方を見た気がする。
簡単なことだけど、相手に迷惑をかけたら、その場でゴメンなさい。
相手がお客様だったらすぐに、すみません。申し訳ありません。
わざわざ土下座だとか、金銭に頼るとかしなくたって(普通は)、
そういう謝罪で済むことがたくさんあるのに。ってことなんだけど…
ぶつかってきても謝らない人、最近増えたもんなぁ。
ラーメン屋が施すその後の謝罪方法には皮肉が満ちてて良かった。
(だからいちばん謝って欲しいのは、エンディングなんですって!爆)