「まじめで固い視点で描く異常な事件。」凶悪 ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
まじめで固い視点で描く異常な事件。
見ながら、やっぱり園子温や北野武は才能があったんだ、と思わざる得なかった。
何を楽しみに観に行ったかと思えば、やっぱり恐怖とそれを超えた笑い、どっちにしろ強い刺激が欲しかったんだけど、初めて見た白石監督は真面目でいい人なんだろうな、と思った。
極悪非道過ぎて笑えてくるようなニュアンスの狙いは外していた。だけでなく、恐怖も感じなかった。記者の背後のドラマは凡庸過ぎて更に不発。狙って成功してないのはなんでだろう。
その前に、雑誌記者が死刑囚と会って回想における事件に突入していくまでが既に退屈。記者の背後としての“家庭の事情”もたいした同情を感じない。事実がどうかはしらないけど、描写が凡庸で緊張感がない。“事実”というのが枷になってるのか、フィクションとしては突き抜けてないし、リアリティドラマとしては装置も見せ方も芝居も驚きがない。ドラマとしては巻き込まれた記者視点で、それこそ「ほんとにあった呪いのビデオ」みたいに見せていったほうが、「怖く」はなったと思うけど、商業映画としてこういったキャストを配しているのなら、やはりフィクションとして突き抜けたかった。いいキャスティングがもったいない。
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