「愛に理屈はいらない・・・」アンナ・カレーニナ 瑞さんの映画レビュー(感想・評価)
愛に理屈はいらない・・・
男と女、ただどうしようもなく魅かれあってしまうだけなのだ。誰にも止めることはできない。理性で抑えきれないものもある。アンナとヴロンスキーもそうだったのだと思う。キーラ・ナイトレイの作品としては「ある侯爵夫人の生涯」と似た話だなと思って、あまり期待せずに観たが、思いのほかよかった。アンナのほとばしる情熱が伝わってきた。カレーニンはあの作品の夫よりはましな感じで、男の子もいたので、退屈かもしれないが、それなりの生活を送っていたのにそれでも、感情を抑えられなかったのだ。グレタ・ガルボやヴィヴィアン・リーなどが演じてきた役柄を演じたキーラは臆することなく挑戦していた。また、ヴロンスキー役の男優は誰だろうと思って、終映後、プログラムで確認したら、何と「キック・アス」の主人公だった。わからなかった。こんな二枚目も演じられるなんて・・・ 残念ながら、旧作はひとつも観ていないが、これはかなり実験的な作りなので、だいぶ違った印象だろう。それでもこんなに心を打たれたのは、やはりトルストイの原作が優れているからだろうか? 原作とは少し違う部分もあるようだが、ほぼ同じで、やはりリョーヴィンとキティの愛の姿は対照的だが、私はオブロンスキーとドリーの愛の姿も気になった。単なるメロドラマにせず、いろいろな愛の形を描いているところが、この作品の魅力ではないかと思った。
コメントする