「大衆向きじゃない」ジャッキー・コーガン いずるさんの映画レビュー(感想・評価)
大衆向きじゃない
ジャッキーコーガンは、ハリウッド風の映画じゃない。
良い意味か悪い意味かは人によるでしょう。
実に単館上映向きの映画で、間違ってもシネコンで大々的に宣伝して人を集めるような映画じゃない。
ハリウッド流脚本と言えば、一つ一つの会話に意味があり、また意味がなくても何となく上を向くような洒落た会話を中心として構成する。ジャッキーコーガンの会話と言えば、ストーリーを促すもの以外はすべて蛇足。女の話、失敗話、金の話。もちろんハリウッドでも少しは入るでしょうが。
だけど、すべての会話がそれでは……映画なの?って感じ。日常生活がそんなもので形成されているのは疑いもない事実だけれども、映画という仮想でその現実を見せつけられても萎える。
良い意味では大衆向きではない。
この映画にブラピが出演していることでシネコン作品にランクアップしたのでしょうが、それが作品にとって良かったのかは分からない。単館の方が正当な評価を得られたでしょうに。
ブラピは確か自分で脚本を読んで出演を決める、まあ大抵の役者はそうだと思うけど、と聞いていたのでブラピ好みの映画が知りたい!と思ったなら見に行けばいいです。私はシネコンに見に行くものだから、大衆映画用のスイッチを入れて見始めたので面食らった。
出だしはかっこいいんです。カッコいいスタートを切ったはいいけど、それに引っ張られすぎて映像美に偏りすぎ、芸術思考すぎ。ドラッグシーンにトレインスポッティングみたいなトランス映像をいれてきて、映像指向高い、とそれはいいけど、途中で入る前述した蛇足の会話で冷めてしまい、映像美に振り切るわけでもない印象。
おい脚本!
脚本家が登場人物に不満を言わせて、それが透けて見えるようでは幻滅だよ!
映像指向なの?それともメッセージ性があるの?なんなの?って感じ。
例えば、追う側のジャッキーとミッキーのコンビと追われる側のフランキーとラッセルのコンビはどちらもダメな奴としっかりした奴の組み合わせ……つまり対比になっているな、ってことにピンと来ても、この映画じゃ自慢げに語れないんだよ!
そんなことわかっても……ねえ。
フランキーが小娘みたいにジャッキーに丸め込まれるシーン。
ここだけ必見です。
かわいかった。