小さいおうちのレビュー・感想・評価
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戦争中の不倫話
総合75点 ( ストーリー:70点|キャスト:80点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
昭和初期の日本らしい控えめな不倫と当時の人間模様の話であり、それほどたいした主題でもないのに、描き方がしっかりとしていた。大きな波乱万丈の話でもないから登場人物たちをどう演じるかはとても重要だが、心の内側がしっとりと伝わってくる演技だった。原作は未読だが直木賞受賞作品だそうなので、そちらもしっかりとしたものなのかもしれない。
時子を演じた松たか子は流石で、板倉を訪ねた後で友人睦子の前で動揺する姿を隠そうとする場面は見物だった。布宮タキ役の黒木華も、役柄上はたいした見せ場がないわりに地味に良かった。一番幸せだった時代に残した罪悪感を表現した倍賞千恵子も安定した演技だった。室井滋等の脇役たちも丹念に周りを固めていた。
まるで節制と抑圧というこの時代を反映したかのような慎ましい演出は、不倫の姿をはっきりと見せることが無く淡白。濡れ場は一切無い。でもそれはこのような時代背景を踏まえてるし、肉体関係よりも心の動きを中心にしているのだから、この作品にはそう悪くもないと思う。だけど雷の音をきっかけに使って不意打ちの接吻をするのは、その瞬間の顔や唇を引き伸ばして撮影するくらいの演出はあってもいいのではないか。
それぞれ
いい人たちが巻き込まれる
日本映画はDVDで済ますことが多いのです。
なぜか?そのスケール感なのかな。
でも、この映画は物語としての面白さや現代日本への教訓
いろんな意味でよかったです。
まず、登場人物全員がいい人なのです。
奥さんや彼氏、たきちゃんや旦那にしても悪い人はいません。
それなのに、なぜ日本が戦争に巻き込まれたのか?
はじめのうちは、大したこととは思っていません。
みんな日本が勝つと信じていました。
でも、だんだん状況が悪化していくことがわかります。
そんな経緯を見事に描いていました。
もちろん、奥さんと彼氏が惹かれていったのかもわかるような気がします。
たきちゃんの悔恨の情を倍賞さんはうまく出していました。
そして、奥さんと旦那は手をつないで死んでいったのです。
哀しい物語ではあるけれど、この場面を想像して救われました。
女中のタキが東京に出てきて働いていたモダンな赤い屋根のおうちの物語...
女中のタキが東京に出てきて働いていたモダンな赤い屋根のおうちの物語。年老いたタキが自伝小説としてノートに綴りつつ語っていく。昭和初期戦前の日本の在り方、主人公タキの想い、雇い主の奥様の不倫、雇い主の会社の部下との関係など、淡々としてはいるが細かくゆっくりと進んでいく。しかし飽くことなく自分もこの小さいおうちに住んでいるような、そんな感覚に陥った。日本が戦争へと一歩一歩近づいている最中、この小さいおうちでの生活がどれだけタキにとって思い出深かったのか、ひしひしと伝わってくる。
ゆったり
演技が素晴らしいです。
松たか子さんと黒木華さんの演技が素晴らしかったですね。
内容は単純なようで複雑な話であったなあと思いました。
心理描写もさることながら時代の流れも感じることのできる作品です。
個人的には音楽がとっても好きです。とても切なくなりました。
ほっこりするけど反戦映画なのがすごい
山田洋次は山田洋次
山田洋次作品は誰が見ても山田洋次作品だと分かる。キャラクターの配置だとか、演出なのだと思うけど、キスシーンでの雷や、爆弾が落ちて来て花火がプシューとなる演出は古い云々より、マジか⁈笑わせようとしてないよな?と自分の目を疑った。黒木華さんの女中として周りを立てて、尚且つ存在感を残す演技ってスゴイんだなぁと思った。自分てきには美人な奥さま=松たか子が最後まで腑に落ちなかったけど、今の時代にはわからない女性の生き方と、今ならそんな悩む事じゃないだろうに、そうだったのかと見せるのだから作品に力があるのだと思う。
僕なら、おばあちゃんが亡くなって、板倉さんが有名になった事を知り、息子さんが、生きてる事を知ったら、何で生きてるうちに調べてあげられなかったのか!と悔やむと思う。
優しい人びと
戦前をひとくくりにしか観られなくなっていることに、気づかされた。
戦前も、人びとは笑い、泣き、怒り、小さなおうちで、今のわれわれと変わらない生活を営んでいた。
決して、異常なひとびとではなかったのだ。だから余計に、戦争の悲惨さや、怖さがリアルさを伴って心に入ってきた。
いつでも、狂気の時代になる可能性があるのだ。
タキの遺した手紙を開けるシーンで、ハサミで切り取った後の紙くずを、捨ててあげる心遣いが、この物語に出てくる人びとの優しさを思い出させてくれた。
このドラマに出てくる人物は、歴史に名を残さない人々かもしれないが、みな優しさにあふれた愛すべき人だった。
この後も、優しい人びとが悲しまない世の中を続けていけるように、大人としてしっかりしなくてはいけないと思った。
やむなきこと
奥様の気持ち タキの気持ち
どちらも分かるから
観ていて 切なくなる。
どちらもやむなきことゆえに。
晩年のタキの独白とも言えるノートは
やはり誰かに赦しを乞いたかったのだろう。
当時の奥様と同じ年代になりやがて越えていくその月日に若い時にはわからなかったものが輪郭を浮き立たせて迫り彼女を自責の念に苦しめたのだろう。
松たか子が良い。
慕う男が戦地に旅立つ直前の溢れ出す想い、心乱される機微が艶っぽい。貞淑な人妻であり、良き母の顔の内に潜むそれを自分でも抑えることは出来なかった。
時代が戦争へとまっしぐらの先が見えないトンネルへ入りこんだ一家族の小さな物語。
「はじめたものは いつか終わるものよ」そうタキに言い放った時子の表情が印象的だった。
う〜ん・・。この手の作品、俺苦手だったんだな?ての見終わっ〜
家政婦は見た×NHK朝の連続テレビ小説?
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