小さいおうちのレビュー・感想・評価
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冒頭から超ショック。国民の妹、さくら(倍賞千恵子)が、死んでしまっ...
冒頭から超ショック。国民の妹、さくら(倍賞千恵子)が、死んでしまったおばあちゃん役だなんて!みんな歳をとっていくのですね。
そのおばあちゃんの若き日を演じるのが黒木華。この黒木華がいいんです。とびきりの美人というわけではないのですが、一つ一つの所作が古き良き日本女性を感じさせます。さあ、彼女は果たして新国民の妹となれるのか。
お話は黒木華が女中奉公をした一家との生活を描く自叙伝。山田洋次監督ならではの人情劇です。とある事件が起きますが、正直今一つなにかが足りない気がしました。なんだろう(笑)
想像してたのと違った
山田洋次のいつものお気楽な映画を想像してたら、結構シリアスな映画だった。
山田洋次くらいになると、映画の魅せ方を熟知しているというか、映画ならではの映画だった。この世界観は2時間ドラマでは無理だ。
あの時代の素敵な部分と暗黒な部分を魅力的に表現してた。羨ましくもあり、絶対にその場に居たくないような奇妙な気持ちになった。
松たか子と黒木華はベストなキャスティング。
空気が最高。
山田洋次監督が描き出した戦前から戦中にかけての日本に流れていたであろう独特の雰囲気というものがとてもよく描かれている映画でした。
何回見ても飽きない映画です!山田洋次監督の最高傑作はこれだと思います。
「長く生き過ぎた」
面白い。まったりとした邦画は苦手な私が最後まで目を離せない作品でした。展開の早いドタバタ劇というわけではなく日常的な現実味のあるドラマを飽きずに魅/観せる山田監督の味が深く味わえる作品だと思います。「長く生き過ぎた」というせりふがとても印象的でした…
帯のお太鼓が…
原作で書かれている重要ポイントが完全に削ぎ落とされていて、非常に勿体ないと思いました。奥様=松たか子の行動の理由も子どものことも、映画ではまるで分かりません。だから単なる不倫というか、よろめき夫人の話になってしまい、あーあ、でした。年配の監督の限界なのでしょうか。
夫役が歌舞伎女形の孝太郎というのはいいキャスティングだと思いました。その点が唯一、原作にあって映画になかった重要点のヒントになっていました。昔の洋風のお家は素敵です。懐かしい。
松たか子は、演技力あり器用で美しい。男だったら歌舞伎役者になれたのにと、彼女も寺島しのぶみたいに思ったのかな。
おまけ
原作でも映画でも、奥様の帯のお太鼓の柄の位置が外出前と異なっていることにタキちゃんが気がついてドキッとするシーンがあります。私もドキッとしました。でも今さらながら落ちついて考えると、これは有り得ないことだと思い至りました。帯の巻き始め(テ)の左右は人によって異なりますが、帯でお太鼓になる箇所は名古屋帯であれ袋帯であれ同一です。でなければお太鼓にシワがついてしまうし、ここが「お太鼓」と帯の職人さんなり作家さんがお仕事するからです。だからあり得ないんです、原作も映画も!映画ではお太鼓の柄位置違いの帯を二本作ったんだと思います。でもこれがフィクションの面白さで、タキちゃんの心配が妄想として本当にそう見えてしまったんだろうと思いました。
THE映画 いい映画でした 俳優とは思えない。こういう人らがいるん...
THE映画 いい映画でした
俳優とは思えない。こういう人らがいるんだと思ってしまう。
20210324再見 私長く生きすぎたの、という苦しい思いの吐露に...
20210324再見
私長く生きすぎたの、という苦しい思いの吐露には、奥さまを守るために恋人への最後の逢瀬を阻んでしまったという後悔と、もしかしたらタキも板倉へ恋心を抱いていて、嫉妬のために犯した小さな罪に対する後悔ととらえることもできる。それをなんとなくぼかしているところが、情緒があっていいなと思った。
「小さいおうち」を観て・・
中島京子の直木賞受賞作品を山田洋次監督にて映画化。戦時中の女中のいる少し裕福な家庭のきれいな奥様の恋愛事件を中心に描く。赤い屋根のモダンな家の中での幸福な生活・・女中タキの黒木華の演技がいい。松たか子の若く美しい奥様の着物姿もいい。日本が戦争に向かった中で国民がどう対処したかよく分かる。小さいおうちは東京大空襲で爆撃機のB-29の投下した焼夷弾で焼失した・・
小さいおうち
赤い屋根の家に住み込みで働き始めた女中さんが親切にしてくれた奥様の不倫を終わらせるために嘘をついてしまい、田舎に戻った後も老女になるまで秘密にしていた話。老女となった女中さんが回想録を書き、それを読んだ親戚筋の若者が関係者と会って秘密が明らかに。最後は、なぜかグッときました。
戦争中の不倫話
総合75点 ( ストーリー:70点|キャスト:80点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
昭和初期の日本らしい控えめな不倫と当時の人間模様の話であり、それほどたいした主題でもないのに、描き方がしっかりとしていた。大きな波乱万丈の話でもないから登場人物たちをどう演じるかはとても重要だが、心の内側がしっとりと伝わってくる演技だった。原作は未読だが直木賞受賞作品だそうなので、そちらもしっかりとしたものなのかもしれない。
時子を演じた松たか子は流石で、板倉を訪ねた後で友人睦子の前で動揺する姿を隠そうとする場面は見物だった。布宮タキ役の黒木華も、役柄上はたいした見せ場がないわりに地味に良かった。一番幸せだった時代に残した罪悪感を表現した倍賞千恵子も安定した演技だった。室井滋等の脇役たちも丹念に周りを固めていた。
まるで節制と抑圧というこの時代を反映したかのような慎ましい演出は、不倫の姿をはっきりと見せることが無く淡白。濡れ場は一切無い。でもそれはこのような時代背景を踏まえてるし、肉体関係よりも心の動きを中心にしているのだから、この作品にはそう悪くもないと思う。だけど雷の音をきっかけに使って不意打ちの接吻をするのは、その瞬間の顔や唇を引き伸ばして撮影するくらいの演出はあってもいいのではないか。
それぞれ
奥様、たきちゃん、板倉さん、息子さん、それぞれの胸にいろんなしこりを抱きながら、それでも人生は過ぎていく。
激動の時代だったからこそ、諦めもあるし、諦められないこともある。そんなことを感じさせられたよい作品でした。
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