小さいおうちのレビュー・感想・評価
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20210324再見 私長く生きすぎたの、という苦しい思いの吐露に...
20210324再見
私長く生きすぎたの、という苦しい思いの吐露には、奥さまを守るために恋人への最後の逢瀬を阻んでしまったという後悔と、もしかしたらタキも板倉へ恋心を抱いていて、嫉妬のために犯した小さな罪に対する後悔ととらえることもできる。それをなんとなくぼかしているところが、情緒があっていいなと思った。
「小さいおうち」を観て・・
中島京子の直木賞受賞作品を山田洋次監督にて映画化。戦時中の女中のいる少し裕福な家庭のきれいな奥様の恋愛事件を中心に描く。赤い屋根のモダンな家の中での幸福な生活・・女中タキの黒木華の演技がいい。松たか子の若く美しい奥様の着物姿もいい。日本が戦争に向かった中で国民がどう対処したかよく分かる。小さいおうちは東京大空襲で爆撃機のB-29の投下した焼夷弾で焼失した・・
小さいおうち
赤い屋根の家に住み込みで働き始めた女中さんが親切にしてくれた奥様の不倫を終わらせるために嘘をついてしまい、田舎に戻った後も老女になるまで秘密にしていた話。老女となった女中さんが回想録を書き、それを読んだ親戚筋の若者が関係者と会って秘密が明らかに。最後は、なぜかグッときました。
昔の面倒くささ
こういう映画って「どうせ昔は良かったモノだろ」的な偏見があったのですが、むしろその逆を行ってくれていて勝手に嬉しくなってしまった。
つまり上司から部下への過干渉だったり家父長制だったり、そして生活に影を落とす戦争の足音だったり。時子らの浮気・不倫の外的な要因としてこれらが横たわっているのだろうけど、現代と一味違う息苦しさがあって、「昔の人もこういう面倒くささを抱えて生きていたのだなあ」とちょっと嬉しくなった。
黒木華も松たか子も倍賞千恵子も勿論素晴らしかったけど、個人的MVPは片岡孝太郎です。あのイラッとくる感じがたまらない笑
戦争中の不倫話
総合75点 ( ストーリー:70点|キャスト:80点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
昭和初期の日本らしい控えめな不倫と当時の人間模様の話であり、それほどたいした主題でもないのに、描き方がしっかりとしていた。大きな波乱万丈の話でもないから登場人物たちをどう演じるかはとても重要だが、心の内側がしっとりと伝わってくる演技だった。原作は未読だが直木賞受賞作品だそうなので、そちらもしっかりとしたものなのかもしれない。
時子を演じた松たか子は流石で、板倉を訪ねた後で友人睦子の前で動揺する姿を隠そうとする場面は見物だった。布宮タキ役の黒木華も、役柄上はたいした見せ場がないわりに地味に良かった。一番幸せだった時代に残した罪悪感を表現した倍賞千恵子も安定した演技だった。室井滋等の脇役たちも丹念に周りを固めていた。
まるで節制と抑圧というこの時代を反映したかのような慎ましい演出は、不倫の姿をはっきりと見せることが無く淡白。濡れ場は一切無い。でもそれはこのような時代背景を踏まえてるし、肉体関係よりも心の動きを中心にしているのだから、この作品にはそう悪くもないと思う。だけど雷の音をきっかけに使って不意打ちの接吻をするのは、その瞬間の顔や唇を引き伸ばして撮影するくらいの演出はあってもいいのではないか。
『小さいおうち』は秘密の不倫の恋の話に隠された秘密の悲恋の話ですって話
劇中の妻夫木聡が「イマドキの若いやつはこんなしゃべり方しねぇよ」と批判されたりしていた作品なんですけど、僕にはその妻夫木聡のしゃべり方こそが「昔の映画ザ・ライド」的な効果を出してたんじゃないかと思って好印象でした。
お話もなかなかおもしろかったですよ。
僕はこの映画、「3人の人間が6つの愛に苦しんで、1つも成就しなかった話」だと思いました。
時子は「板倉」と「夫≒家庭」への2つの想いがあって、どちらも成就できなかった。
タキは「時子」と「板倉」への2つの想いがあって、どちらも成就できなかった。
板倉は「時子」と「タキ」への2つの想いがあって、どちらも成就できなかった。
不思議ですね、この映画のど真ん中は時子と板倉の恋のお話なのに、その後ろで板倉とタキの悲恋物語が完璧なまでにきっちりとコントラストを描いてますよ。
違う言い方をすれば、「時子の秘密の恋の話に隠された、タキの秘密の恋の話」ってことですね。
観客に対してすら、秘密を残している「小出し感」が切なくてよかったです。
ついでに坊っちゃんは「時子という母親」と「タキという仮の母親」への2つの想いがあって、タキとは戦争で生き別れ、時子には不倫で裏切られた悲しみがありました。
またついでに旦那さんは、「仕事」と「戦争」の話ばかりだったけど、戦争は出兵もできずに負けて、仕事は戦争のせいでダメになった。
人間はいつの時代も、なかなか思うようにうまくは生きられないし、最高ではなくてもそれなりの幸せを良しとして生きていかなきゃいけない。
そんなことをちょっと考えさせられる映画でした。
それぞれ
奥様、たきちゃん、板倉さん、息子さん、それぞれの胸にいろんなしこりを抱きながら、それでも人生は過ぎていく。
激動の時代だったからこそ、諦めもあるし、諦められないこともある。そんなことを感じさせられたよい作品でした。
いい人たちが巻き込まれる
日本映画はDVDで済ますことが多いのです。
なぜか?そのスケール感なのかな。
でも、この映画は物語としての面白さや現代日本への教訓
いろんな意味でよかったです。
まず、登場人物全員がいい人なのです。
奥さんや彼氏、たきちゃんや旦那にしても悪い人はいません。
それなのに、なぜ日本が戦争に巻き込まれたのか?
はじめのうちは、大したこととは思っていません。
みんな日本が勝つと信じていました。
でも、だんだん状況が悪化していくことがわかります。
そんな経緯を見事に描いていました。
もちろん、奥さんと彼氏が惹かれていったのかもわかるような気がします。
たきちゃんの悔恨の情を倍賞さんはうまく出していました。
そして、奥さんと旦那は手をつないで死んでいったのです。
哀しい物語ではあるけれど、この場面を想像して救われました。
なぜ今この映画を撮ったのかという事を考えながら観ました。まさに今だ...
なぜ今この映画を撮ったのかという事を考えながら観ました。まさに今だからこそ観る価値のある作品だと思いました。あと全部台詞で言ってくれたから分かりやすかった。
女中のタキが東京に出てきて働いていたモダンな赤い屋根のおうちの物語...
女中のタキが東京に出てきて働いていたモダンな赤い屋根のおうちの物語。年老いたタキが自伝小説としてノートに綴りつつ語っていく。昭和初期戦前の日本の在り方、主人公タキの想い、雇い主の奥様の不倫、雇い主の会社の部下との関係など、淡々としてはいるが細かくゆっくりと進んでいく。しかし飽くことなく自分もこの小さいおうちに住んでいるような、そんな感覚に陥った。日本が戦争へと一歩一歩近づいている最中、この小さいおうちでの生活がどれだけタキにとって思い出深かったのか、ひしひしと伝わってくる。
ゆったり
基本的にまったり進むお話でした。ハラハラとかそういう感じはあまりありませんが、タキちゃんがお婆ちゃんになるまで抱えていた小さな罪が最後には消化される流れはなんだかほっとしました。救われて良かったね、と思いました。過去と現在が交互に描かれる構造が好きなのでそれなりに楽しめました(^ー^)
演技が素晴らしいです。
松たか子さんと黒木華さんの演技が素晴らしかったですね。
内容は単純なようで複雑な話であったなあと思いました。
心理描写もさることながら時代の流れも感じることのできる作品です。
個人的には音楽がとっても好きです。とても切なくなりました。
テーマの割に静か
テーマの割には波乱がなく、静かにゆっくり丁寧に進むストーリーでした。
タキは時子奥様に思いを寄せていたように思いますが、そうではなくて板倉の方…?と最後は悩みました。
板倉もタキを何でこのタイミングでという所で抱きしめて、タキも時子も好きだったのかと混乱しました。
ですが、タキが時子の足をマッサージするときに緊張してる姿や時子の同窓生との会話から、時子を好きだったのに間違いないのかなと思います。
タキが手紙を渡さなかったことを、とても悔やんでいることに驚きました。
板倉を吉岡秀隆が演じていたことに疑問です。
色気漂う一目で惹きつけられるような色男の俳優が演じた方がよかったように思います。
なぜ惹かれたのか理解出来ないので、奥様の恋にハラハラしなかっなので、物足りなかったです。
最後、坊っちゃんに会えたのは以外でよかったです。
でも、その流れで板倉とも会えると思っただけに残念でした。
時子が板倉の絵を持っていたこと、タキが女中としてかはたまた自分のために手紙を渡さなかったのか、真相は闇の中で考えさせられました。
私は板倉が戦争から戻ってから、タキは板倉を好きになり恋人同士になったので、あんなに後悔しているのかなと想像しました。
優しさ
黒木華さんの存在感がすごかった。火花が花火っぽくなるなど監督らしい演出も見えた気がする。
男はこなかったのではなくまず手紙を渡していないということ。この嘘が長い間心に重くのしかかっていた。でもその嘘は優しさではないか、この映画には人間の優しさがたくさん見えた気がします。
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