「Bye Bye, Jackie...」ライジング・ドラゴン gsacraさんの映画レビュー(感想・評価)
Bye Bye, Jackie...
ジャッキーチェンのアクション引退作、しかも大好きな「アジアの鷹」シリーズ!
これは良い出来に違いない!と勇んでみてきました。
が
まさかこれほどにジャッキーチェンの映画作りが劣化していようとは・・・マイナスの意味で衝撃でした。
最初は良かったんですよ。まずチームメイトの女性が素晴らしい足技を披露し、、、次いで予告編で流された全身に車輪をつけたシーンにつながり、、、「これが最初に来るとは、どれほど気合を入れて作ってるんだろう!!」と期待が膨らみました。
が、その後しばらくは、最近の007やミッションインポッシブルに追随したような最新メカ以外は特に見るものもなく。
アクションといえるのは、ちょっとした段差の上り方など。ジャッキーらしさを出してますが、これまでに何度も作られてきたシーンの焼き直し程度。新鮮さはありません。
終盤に来て、ようやくカンフーバトルが始まりますが、物語の流れとして必然性が無いため、どうにも気持ちが盛り上がりません。「とりあえずカンフー入れとけ」ということなのかなぁと思ってました。
「アジアの鷹」は、シリーズの中でキャラを確立していたはずが、私の記憶ではガムが2回しか登場せず、しかもただ口に放り込むだけ。更に口に入るところは直接見せず編集でごまかし。これまでは、ガムを食べるシーンだけでも楽しかったのに。
そして最悪にテンションを下げたのが、やたらとクサイ政治臭。
中国は被害者だ!とやたら強弁するので、「まさに今、他国の文化を破壊してるくせに」としらけてしまいました。
確かに、ここのところ政治面でのジャッキーの発言は一方的に愛国的でした。でも、それをアクション娯楽作にまで盛り込んでくるとは。
昔のジャッキー作品は、何よりエンタテイナーであろう、という意識がガンガンに伝わってきたものです。
この作品からは、「もう体辛いからCG派手にしてごまかそう」「新しいアクションとか考えるのかったるいし、引退作ってことにして昔のアイディアをもってきちゃえ」「笑いは入れとかないとね。間とかは気にしない」という声しか聞こえませんでした。観客の視点ではなく、自分の都合最優先で制作したんだろう、と感じました。
私のような者が、ジャッキーの映画への期待を今後持たないようにしたい、という狙いなら大成功です。ホント、もう作らなくて良いですよ。
ジャッキー、これまでありがとう。さようなら。