嘆きのピエタのレビュー・感想・評価
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ラストが秀逸
自分でも意外だったが、本作が初キム・ギドク作品。
エグい作品は特に好んで観たいとは思わないが、韓国映画の『チェイサー』や邦画の『冷たい熱帯魚』『凶悪』など、観てみたら意外に良い作品は結構ある。(一度観たら忘れない。でも二度は観たくない的な…)
それらの作品にはエグい描写が必要なのだと思っている。
残忍さや非道さ、または異常な様を臨場感たっぷりに描くことで観客に刻み込んで行くのだろう。
エグさが売りだった洋画の『ソウ』を観た時の衝撃は凄かったのを思い出した。
それに比べれは本作はまだマシなのかも知れない。
とは言え本作はエグさが売りの映画では無い。あくまで話の流れのなかでの描写である。しかしそれはかなり歪んでいる。これがキム・ギドク監督の作家性なのだろう。
ひとつひとつのシーケンスを掘り下げていくとかなり変なとこや有り得ないとこがあるし、決してスマートな作品では無いが1本の映画として観ると意外に気にならなくなり、むしろ良い感じになるから不思議だ。
本作の衝撃はズバリ!ラスト。
この唯一無二のラストシーンは秀逸だ。
まぁ良く考えついたものだ。
これも一度観たら忘れない1本になりました。
作品の性質上もう一度観ると新たな見方が出来て良いとは思うが、でもやっぱり二度目は勘弁かな…。
観るとしても少し時間をあけてからだな…。
もう一声、
鬼才(まさに文字通り!)キム・ギドク監督の、久々の長編劇映画。
いやはや…相変わらず情け容赦一切無し!の一本でございました!涙
「孤独」そして「復讐」。「信頼」と「罠」。と書いたところで、作品の根っこは「さよなら渓谷」と兄弟みたいなもんですな。
でも、こちらの兄弟は容赦がない分、より凶悪!!
激安人生の顛末とそれが巻き起こす復讐と恨みの連鎖を、激痛バイオレンスで激辛に仕上げております。
その描写と「楽」の部分との落差で、作品の深みを増すのがギドク・マジックですな…
とにもかくにも「痛くて胸に刺さる、でも分かる」…まさに大人向けの寓話作品です。
いいんじゃない
物語の持っていきかたが荒削りでちょっと飛躍しているところがあるけど、主題があっていい映画だと思う。現代版グリムのようだ。残酷で背徳的で、構図や心理描写が単純化されている。故に直球で心に訴えかけてくる。サスペンス的な見方をすると先が見え見えでガッカリするから、そういうのは期待しない方がよい。
期待値が高かったので、残念!
カルチャーマダムが集う渋谷bunkamuraの中にあるル・シネマにて6月18日に鑑賞。
ここは火曜日が1000円とかで、朝一番の回を目指していく。席は取れたが、上映前に満席。すごい賑わいだった。この映画館、カッコつけてるくせに前の席にちょっと背の高い人間が座るととたんにスクリーンが見えにくくなる、要注意の劇場。行きたくない劇場だ。
それでも客が多かったのは各紙誌でも高評価で、昨年のベネチアを制した作品だからかな。
それなりに期待して見たが、僕の評価は上記のとおり。
分かりやすくいえば、「韓国の北野武」とも言うべき人で、10本ほど作品を見てきた、自称ファンの僕としては★4つはつけたかったが、世評ほどできがいいとは到底思えない。
去年公開されたドキュメンタリー「アリラン」のほうがずっとよかった、胸を打った。
ただ、考えてみれば、彼の旧作でも、僕にとってよかったのは「春夏秋冬そして春」(2004年日本公開)くらいで、以降の作品はそれほどの感動は覚えていない、と思う。
さて、本作は…
孤独な借金の取立て屋の男と、その母を名乗って押しかけてきたなぞの女がめぐる世界を描く。
この設定は非常に興味を引かれたが、韓国社会の暗部、「韓国の汚いところ、貧しいところばかり撮って世界に発信している」的な部分もいいにはいいんだが、もうそんなものに頼らずとも、韓国は立派な国なのである。
別のほうから光を当ててみてもいいのではないか。
その部分がどうにもしつこくて、もっと描くべきものが描かれていないような気がした。
基本、ファンタジーなんだし、もうちょっと笑える、クスリとさせる味付けもほしかった。
ベネチアで賞を取れたというのは、まだ韓国が後れた国と思われているからではないか、とも思ってしまう。
暗い、暗すぎるのである。
惜しい、とも思う。
キム監督が脚本・制作を担当して脱北者を主人公にすえた「プンサンケ」なんかはみずみずしい演出でよかった。
ああいうのを見たいが、それができないなら、「春夏秋冬」的な映像詩か、ドキュメンタリーのほうを見てみたい。
監督は僕とほぼ同世代。お互いに枯れるにはまだまだ早い、がんばろう!
ご都合主義の脚本。
ル・シネマにて午前11時10分の回を鑑賞。客の入りは7割程度でした。
韓国映画にありがちな、暴力シ―ンが頻繁に登場します。すなわち、くどいくらいのビンタの応酬です。私に韓国人の知己はいないので、本当のところは判らないのですが、かの国の人々は挨拶代わりにビンタをするのでしょうか。かなり、嫌な気分になりました。また、途中で男の主人公が夢精をするのですが、なんと母親と名乗る女性が手伝ってやるのです。勿論、後で手を洗いますが・・・。これには気分が悪くなりました。それから、あまり、詳細に書くとネタばれになりますが、人間の体にはあれほど大量の体液は含まれていないだろうということが観終わった後、大きな疑問として、頭の中に残りました。また、終盤、母親と名乗る女性が、「サング、サング」と連呼していましたが、この「サング」って、一体、誰なんですか。どなたか、教えて下さい。私、余り集中力が長く続かない方なのです。多分、土の中に埋められていた土色の顔をした男性だと思うのですが、この埋められていた男性と母親と名乗る女性の関係が判りませんでした。もしかしたら、私、途中で眠ってしまったのかもしれません。評価を☆2.5にしたのは、暴力描写こそあったものの残酷な描写をうまく避けていたからです。レビューの題名の意味は、困ったときになると、かつての登場人物があざといくらい偶然にひょっこりと画面に現れることがしばしばあったからです。全体的に登場人物が多く、私には完全には理解できませんでしたが、ここ数年の韓国映画のなかでは上出来の部類に属すると思います。ヤン・イクチュンの「息もできない」よりも出来は良いと思います。まぁ、そうは云っても、この監督の代表作「春夏秋冬、そして春」には遠く及びませんが・・・。
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