「しあわせとよろこびと」ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区 etcetさんの映画レビュー(感想・評価)
しあわせとよろこびと
映画「ポルトガル、ここに誕生す」、好きだったのは3話目のビクトル・エリセの「割れたガラス」。2話目は歴史的文脈がわからず撃沈。
2002年に閉鎖された、1845年創業の紡績繊維工場の食堂だった場所で、かつての労働者たち一人一人に、工場での思い出を淡々と語らせていく。食堂の古い写真を見てどう感じるかに耳を傾ける。ただそれだけなのだけど、ここで働いていた無数の労働者の物語が地層のように層を成して行く。なんだか自分もその1人として連なっている気分になる。
そのうちの1人、70代のおだやかな顔をした女性が語る。「しあわせだったかはわからないわ。いまもしあわせが何かわからない。喜びならわかるし、あったわ。けど、しあわせだったかはわからない。」(セリフうろ覚え)
退屈だと感じる向きもあると思うけど、見てよかった。
日本とは全然違う、いや日本も30〜40年もたてば、こんな諦観の境地に立てるのか?、いや立っていいのか?・・・等々、なんだかいろいろグルグル考えてしまったのでした。ってぐらい、枯れてますわ〜ポルトガル。
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