「ディズニー映画としては傑作」アナと雪の女王 hormone29さんの映画レビュー(感想・評価)
ディズニー映画としては傑作
2D字幕で鑑賞
久々のディズニー映画だったが正直甘く見ていた。
ある王国の国王の娘である姉エルサは生まれつき雪・氷を操る能力を持っていた。ある日幼いエルサは妹アナにせがまれ能力を使い遊んでいる途中,誤ってアナに怪我をさせてしまう。能力の統制ができないエルサとアナの命のことを考えた両親は門扉を閉じ,アナのエルサの能力に関する記憶のみをけし,二人を合わせないようにする。月日が過ぎ,両親が事故で亡くなり,エルサが王女として戴冠式を迎えることとなった。戴冠式には門扉を開き,国民や隣国の国王・王子などを呼びパーティーを開く。誰にも自分の能力を悟られないようにするエルサだったがアナとのひょんないさかいをきっかけに全員にばれてしまい…
前半が(は?)とてもよかった。
特にディズニー映画特有のミュージカル的な演出が突き詰められたなという感じがした。
具体的にあげるとアナがエルサを遊びに誘うシーンでは曲調・歌詞・表情でアナの精神的幼さとそれゆえの好奇心,エルサに拒絶されたことの悲しさ,退屈など複数の感情を伝えていて,そういう表現はミュージカルならではの表現方法だなーと感じた。
もう一つ上げるともういわずとしれた「let it go」(むしろれりごー!)
あのシーンではエルサのみんなに隠してきた辛さからの解放による喜び,ただ根本的な問題は全く解決していず相変わらず一人ぼっちという孤独感,でもそんな自分自身の状況をを全面的に肯定する明るさなどこちらの方がより複雑にいろんな感情が混ざり合っている感じがして人によってはもっと感じ方が違ったかもしれないと思った。
個人的にこの時のエルサの状況に似たような体験があり,絶望的な状況は変わらないものの黙っていることからの解放,そしてその状況の全面的な肯定,プラスかマイナスかで言ったらプラスの成分が多かったことには非常に納得ができた。
また古きよきディズニー映画(白雪姫,シンデレラ,眠れる森の美女)のような
純粋な心さえ持っていればいつか王子様と運命的な出会いをしてハッピー♡
なんとことねーから!!!
ということをディズニー映画がやるという面白さは「魔法にかけられて」以来のしかも一応納得のいく着地にさせているところは面白かった(やり方には無理がかなりあるけれども)。
愛とは相手に対する献身的態度という美女と野獣チックな愛の考え方をこの話では男側が教えるということも新鮮だった。
アナのことも最初は「このくそがき!エルサかわいそう!」と思っていたがハンスに裏切られ,実際に死にそうになるところで真実の愛を学び,ちゃんと通過儀礼を果たし大人になったし(もう少しクリストフへの愛の形を見せてほしかったけれども)まぁ許してあげようと思った←
ただこれだけいい部分があるからこその指摘したい部分という所も数多くあった。
まずハンスを裏切り者にするには納得のいかないミスリードがいくつかある。まずアナがエルサの所に行くといった時の反応。ハンスは一緒に行きたいといったがアナの説得で国を任せられる。しかしこれは偶然であり,もしついてきてと言われたらどうしたんだろう.(道中アナを殺してもエルサにはかなわない&もしかしたら死ぬし)。それならば
ハ「一緒に行く」ア「ついてきて」ハ「うん。あーでもその間この国は無防備になってしまうし。エルサの心を動かせるのは君だけだ。もしよければ僕に国をまかせてくれないか?」
みたいにハンス主体でアナを説得する形がよかったかなと
またエルサの城に行ったときにエルサの暴走した能力を無理に止めようとしなくてもよかったと思うしボウガンに気づかせなくてもよかったと思う。
一応最初のアナとの出会いの場面の最後のにやけた顔と末っ子設定とクリストフの発言が伏線なんだろうけど少なすぎるし,クリストフの言ってたこと全部クリストフにもあてはまるから説得力に欠ける。その点をアナが言うなりクリストフ自身が「この僕ですらも」みたいにいってほしかった。
クリストフとの恋愛に関しても運命的な出会いじゃなくて相手のことを思う気持ちが愛!って着地はいいけれども,それだけでは薄っぺらすぎる。いいところだけではダメで相手の悪い部分も受け入れられないといけないというクリストフの主張はアナ×クリスの関係性のなかではトロールの短いミュージカルの中だけでしか行われておらず(しかもクリス側のみ)どうせなら道中に一回ケンカ→仲直りの構図がほしかった。
最後に関してもエルサの能力の解決方法が真実の愛を受けることというならそもそもそれを親に教えてあげろよ!親は真実の愛を与えられないとでも!?と思った。ホントにトロール無能。
他の人に対しても冬の時代が終わったらみんなエルサのこと無条件に受け入れすぎだろー最初あんな怖がってたのにーと思ったのでもう少し他の人の心の変化を細かくやってほしかったかなと。そこまで求めるのは酷かもしれないけど。