楽隊のうさぎのレビュー・感想・評価
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音の粒を揃えることに集中すると・・
映画「楽隊のうさぎ」(鈴木卓爾監督)から。
う~ん、静岡県浜松市が全面協力したと耳にして、
どんな出来栄えになったのか、と楽しみに鑑賞したが、
最後まで煮え切らない主人公に、不完全燃焼で終えた。
映画として作品評価は、なかなか難しいので、
作品中にメモした、音楽に関する台詞を残したい。
「音の粒を揃えることに集中すると、
余計なものは見えなくなるから」
「もっと集中して。音を並べるだけでは音楽にならない、
指揮をしっかりみて、音楽の太い流れを感じて」
「へたくそな演奏がダメな音楽で、
うまい演奏がいい音楽だとは、僕には思えないんだ」
「ティンバニー、一人で勝手に決めつけない。
人の話を聴く、そして話し始める、アンサンブルの中で」
「同じ楽器を使っていても、人の声と同じで、
音色はそれぞれ違います。お互いの音をもっと聴かないと」
「相手を理解しようとしないと、いいバランスは作れません」
「音の粒」って表現、なんだかグッときたけど、
やっぱり、自主上映会レベルの作品かな、申し訳ないけど。
リアルな成長がフィルムに刻まれている
地方のミニシアターが主導で製作された、素人の子たち中心に撮られた吹奏楽映画。
消極的な主人公が中学で吹奏楽部に入部したことをきっかけに、演奏と部活を通し、仲間と時間を共有し、成長していくさまが描かれます。
素人の子たちがほとんどなんで場面によってはセリフが棒読み気味ですが、その分淡々と彼らの場面を切り取っていき、つなぎあわせ、彼らがひとつの「音楽」になってい姿は、逆に演技を意識しすぎては撮れない「自然の成長」だと思います。
ストーリーを語りすぎず、彼らの変化の流れを切り取っていく手法は、昨今の一から十まで登場人物が説明してくれるサービス過剰な映画に慣れてしまうと違和感を感じるかもしれませんが、説明過剰な映画よりこういう観客に「読み取らせる」映画のほうが私は好みのようです。
「うさぎ」も登場シーンは観客が絶句した空気が流れましたが、映画を見終えばあの演出がベストだったと思えます。
一年を通しての撮影期間は、主人公を身体的にだけではなく内面も成長させ、映画冒頭と最後の表情にそれが現れてると思います。
彼の中の「うさぎ」に見守られ成長した主人公が、また別の誰かを見守る。それは素敵なことだと思います。
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