「チャンスをありがとう。」天使の分け前 shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
チャンスをありがとう。
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映画「天使の分け前」(ケン・ローチ監督)から。
鑑賞後、久しぶりにタイトルに、お見事・・と拍手した。
原題「The Angels' Share」(天使の分け前)
作品の中で、このフレーズが出てくるのは、2カ所。
1カ所は「ウィスキー蒸留所で、樽を前に説明を受けるシーン」
「毎年2%、中身は減っていく。空中に蒸発してしまうのね、
これを『天使の分け前』と呼ぶの」という何気ない設定。
そしてもう一つは、ラストシーン。
彼があるきっかけで出会った、犯罪者の奉仕活動指導者で、
ウイスキー愛好家だったハリーの自宅におかれたメモ。
「モルト・ミル 天使の分け前。チャンスをありがとう。ロビー」
世界のベスト・ウィスキーと言われた「モルト ミル」、
手に入れ方は感心しないけれど、その利益を自分たちだけで分けず、
奉仕活動を命じられた犯罪者たちに対して、真剣に相談にのり、
社会復帰できるようアドバイスを送り続けた指導者に、
自分たちが立ち直れたのは、あなたのおかげです、という意味で、
飲んだことがない、いや貴重なウィスキーで飲むことなどありえない、
と言っていた世界の名酒「モルト・ミル」を盗んできて、
その1本を、そっとテーブルの上に置くなんて、素敵だな、
「天使の分け前」というメッセージを添えて。
こういう終わり方は、私好みの作品であるな。
P.S.
「私たちの鼻は、とても鋭敏よ。百万倍に薄めた香りでも分かる。
嗅覚は原始的で、下等の動物だった大昔からあるの」
この説明もなんとなく気になった。鼻って、老化現象がないから。
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