「ケン・ローチファン以外にはちょっとお勧めしづらいかも」天使の分け前 wutangさんの映画レビュー(感想・評価)
ケン・ローチファン以外にはちょっとお勧めしづらいかも
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ケン・ローチにしては後半からラストへの帰結が軽快で、巨匠特有の重厚な作品を求める人には合わないかもしれないです。一方でケン・ローチの芸風を知らない方にとっては、何故主人公が過去の犯罪に対してコメントをできなかったのか、何故その状況の解決方法が犯罪しかないのかが捉えづらいかも知れないと感じました。
天使の分け前というタイトルの所以となっている、ウィスキーが蒸発する現象に対するおしゃれな呼び方がストーリーの軸になっていて、この演出は見事でした。
このウィスキーが蒸発する現象に対する呼び方は「天使の取り分」とも訳されるようで、僕はそちらの訳の方が、最終的に彼に贈られたウィスキーをよく表しているかもと思いました。
個人的には、バーでタデウスに話を持ちかけるシーンが痺れました。
グラスにウィスキーを注ぎ、その匂いを嗅いだだけで全てを把握したタデウス。
その表情を映したシーンが妙にかっこよくて、ストーリーとタイトルも含めて、この監督にしては珍しくハリウッドっぽい味わいを感じました。
過去の罪と向き合い、更生を望み、それでも立ち行かず、理解者に相談を持ちかけた結果の解決方法が犯罪であるという点は確かに僕も若干引っ掛かりましたし、ツッコミどころにはなると思いますが、まあそれ言い出すと映画なんて見れないなと。
加えて、ケン・ローチは社会的マイノリティの、状況的などうしようもなさを徹底的に描く人なので、正攻法であの状況を解決することがほぼ不可能だという主張もあったような気がします。
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