「知らなかったでは済まされない歴史的事件」セデック・バレ 第二部 虹の橋 arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
知らなかったでは済まされない歴史的事件
自分の無知を晒してしまうようだが、この作品の元になっている霧社事件については、この作品を観るまで全く知らなかった。
(台湾の歴史については、日本統治時代が終わって、中国本土から渡って来た人々外省人と元々台湾で暮らしてきた人々内省人の対立をホウ・シャオシェン監督作品で見てきたつもりだったが、それ以前の時代、それも少数民族の歴史となると…。)
自分が生まれ育った国が過去に何をしてきたのか、これを知らなかったでは済まされない。台湾国内でも製作にあたってはプリ・プロダクションの時から多くの困難があっただろうことは想像に難くない。日本人の描き方についても、一方的に悪役として描くのではなくとてもフェアに描かれていて、例えば、『鬼が来た』を観たときのように非常に居心地の悪い思いをせずに済む。
知らなかった歴史的事実を教えられたという意味でも、日本人の描かれ方についても、この作品が作られたこと自体、非常に有難い作品であることは確かである。
しかし、この作品を絶賛することが出来ないのは、戦って死ぬことを良しとするセデック族の精神性に共感出来ないからで、彼等の姿は、どうしても負けると分かっている戦争に突き進んでいったこの国の姿に重なる。
特に、まだまだ大人に守られる存在である少年までが戦う姿には心が痛むし、あってはならないことだと思う。
コメントする