ルート42のレビュー・感想・評価
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死のうと思うこと、それでも生きて行こうと思うこと
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それぞれの理由で死のうと決した三人が、死者と会えるという「根の国」に向かうロードムービー。
その熊野へと続く国道42号線は、「死に号線」の別名をもつ。
三人の決意が伝わる切なさと、ピアノ曲や和太鼓の音楽がうまく溶け合い、心惹かれるものがあった。
ただ、結局熊野まで行かないのは肩透かしを食った気分。根の国の説話は、熊野に行ってこそ真実味が沸いてくるはずだったのに、そこは残念。
自殺願望の若者たちの話といえば、吉村昭「星への旅」があるが、この映画のラストのほうが僕は好きだ。そこが東北と紀州の違いなのかもしれない。この映画もハッピーエンドのエンディングとは言い切れないし、心境や環境になにか特別な変化があるわけではないが、だからこそ身近に感じられるリアルさがあった。
おそらくタツヤにとって、小市慢太郎ふんするオジサンだけでなく、死んだ陽子の生き写しのユリとの出会いも、神様の示唆だったのかもしれないと思えた。
そのメッセージは、「生きろ!」とか「人生に目標を!」とかのようなポジティブのものではなく、「生きてればいいこともあると思うよ」くらいのぬるさで。
高岡本人の歌うエンディング曲にのっかって、そんな感情が僕の心を満たした。
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