「それでもこんな映画は他にはない。」探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点 kixlocalさんの映画レビュー(感想・評価)
それでもこんな映画は他にはない。
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あちこちのサイトに書かれた感想で、「真犯人があっけない」という感想が多く聞かれます。確かに、地元の有力政治家を黒幕だと臭わせた割には、肩透かしの感もします。でも、この映画の脚本家をして、監督をして、そんな駄作を送り出すはずがない。
この筋書きを読み解くヒントは、この映画のテーマである、地元・北海道への愛、だと思うのです。主人公である「探偵」は、ススキノの場末で、もがきながら、肩を寄せあって、したたかに生きる人々に愛情を注いでいる。その、信じていたはずの「仲間」の中から、まさかの真犯人が出てしまった。その時の探偵の絶望感を、スタッフ陣は描きたかったのだと思うのです。
これがもし東京の新宿、六本木だったならどうでしょうか?そんな裏切りや殺人なんか、大都会の東京じゃああたりまえだよ、で終わりでしょう。
でもこの映画の舞台は、探偵にとっての愛すべき我が札幌、ススキノなのです。だからこそ、仲間に裏切られた時の探偵の心情を、表現したかったのだと思うのです。確かに、「殺しの真相」としては、スケールは小さかったのかも知れませんが、それが「札幌」を舞台にした映画だからこそ成立し得る物語なのだと思うのです。
そして最後に探偵はいいます。「マサコちゃんは素晴らしい仲間に囲まれて、最高の人生を送ったよ」、と。仲間から裏切られても、それでも探偵はススキノの仲間達を愛しているのです。悲しくて、素晴らしい、北海道ならではの映画だとは思いませんか?東京が舞台では、このストーリは撮れないと思います。そこにこの映画の価値を見出していただければ、と思うのです。
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