「荒れ地の果てに」オブリビオン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
荒れ地の果てに
トム・クルーズ主演のSFアクション。
スカヴと呼ばれるエイリアンとの闘いが終わり、荒廃した地球。人類が去った後も監視任務を続けていたジャックは、墜落した宇宙船から謎の女性を救出、それを機に驚愕の真実を知る…。
思ってた以上に面白かった。「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」ほどではないが、ここ数年のトムの出演作品の中では上々。
ストーリーは練られ、ビジュアルも素晴らしい。
荒廃した地球は、終末世界をこの上なく肌で感じさせる。荒廃したと言っても、唯一緑が残っている場所もあり、ロケ地の美しさと共に、ジャックさながら地球への愛と郷愁を誘う。
対照的なのが、近未来のデザイン。
アイテムもテクノロジーも洗練されているものの、無機質。居住空間スカイタワーも居心地の良さは無く、相棒である筈の無人偵察機ドローンはスカヴより恐ろしさを感じる。
その対比が印象的。
ストーリーは、ネタバレ禁止映画である。よって、詳しい事は言えない。
が、主人公の記憶、夢で見る女性と救出した女性、スカヴと生存者たち…謎が徐々に明かされ、急展開するストーリーは飽きさせない。
少しストーリー上の秘密に触れるが…驚愕の真実は、「猿の惑星」や「月に囚われた男」など秀作SFを思い起こさせる。(←ネタバレ?)
かと言って、何処で見た感はさほど無く、それらの美味しい所を彷彿させつつ、本作は本作でオリジナルの作品に仕上げている。
表向きは“終末世界”“地球最後の男”を描いているが、核心は、主人公の自分探しとラブストーリー。
夢で見る女性と救出した女性は瓜二つ。彼女は一体…?
真実が分かるにつれて知らされる自分自身の存在。荒れ地の果てに、彼は何を見出したのか…?
真実は時として絶望を呼ぶ。
絶望の中に救いを求める。
救いの先に答えがある。
VFXやトムのアクション、ラストのジャックの決断など、娯楽映画として申し分ナシ。
だけど、ラストシーンは意見が分かれそう。