「伏線だらけ、意味はわかるけど…」オブリビオン hira-sannさんの映画レビュー(感想・評価)
伏線だらけ、意味はわかるけど…
飛行機の中で見ました。
なのでそんなに悪く言うべきではないかとは思いますが、とにかくひどいなーと思ったのでネタバレ全開で感想を。
とにかく、序盤の印象が最悪です。
・主人公たちは放射能汚染された世界に残されたパトロールチームにもかかわらず、放射線防護らしい防護をまったくしておらず、放射線に関する基礎的知識もない
・放射線危険領域と安全領域が明確に分離されており、ラインに入れば即死、というよくわからないルールがある。もちろん、現実からはかけ離れている。
・危ない場所であるにもかかわらず、主人公はやたら無意味に危険を冒すような行動に出る。とにかく、やたら興味と好奇心が暴走するが動機が完全に不明なのでこいつバカなんじゃないの、という印象が強い
・また、主人公は地球を愛している、作業時にはニューヨークヤンキースの帽子を被っている修理工みたいになる、など意味不明に意味深な描写を繰り返すが全体のストーリーから浮いているので馬鹿げて見える
・月を破壊し尽くすほど強大なはずの敵がいやにアナクロな戦い方をする
などなど。
これらはもちろんすべてフェイクで伏線ですが、それにしてもこんな稚拙な張り方はない、という感じです。
とくに放射線のくだりについては、アメリカならわかりませんが、現代の日本でこの伏線にだまされる人はいないのでは?と言う感じです。
脚本が観客のレベルを低く見積もりすぎているというか…それにしても序盤は意味深かつ無意味な描写ばかりで退屈なうえ、主人公にまったく共感できないので置き去りにされます。
また、伏線以外の部分でも稚拙な部分は多く、
・なぜテットはヘリみたいなのを通じて主人公の行動をモニターしていないのか?またヘリに中央管制が効かない理由は?
・なぜ中盤ではヴィカがテットに嘘をついたことがばれないのに、後になって音声分析をかけられて嘘がばれるのか?
・そもそも敵が侵略に●●を利用した理由は?月を吹き飛ばせるくらいの力があればそんなまだるっこしい方法を使う必要などないのではないか?
・中盤のメルトダウン(ではなく核爆発)、そもそもこれ放射線で焼き殺されちゃわない?されなくても、結局地球に降りられなくならない?そもそも地球に住むことを希望している△△がこれを行う理由がなくない?
これらはストーリー中で明らかになりません。
原作があるみたいですが、原作がアナクロなショートショートSFだとしたら、まあいいんじゃない?という感じですね。ただ、この程度のシナリオを二時間弱の大作映画に仕立てるには無理がある気がします。
あと、SF的デザインがかなり2001年宇宙の旅で見られる超モダンアーティスティック建築家デザインみたいな感じで、当時はかっこよかったわけですが、現代からみるとかなりちゃちく馬鹿げてみえます。全体的にセットのチャチさがかなり気になります。減圧扉の油圧式ダンパーみたいなのが扉を閉めてもまったく動かなかったりします。何それ飾りなの?という
あと百発百中かよ!とツッコミをいれたくなります。
全体的にあまり評価できるところはないと思いますが、どんでん返し自体は最低というほど酷くもないので★二つ。