「おトム様なら大歓迎?」オブリビオン ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
おトム様なら大歓迎?
なかなか面白い構成のSFだった。
冒頭から様々な映画の記憶が頭をよぎりはじめる…。
あ、このシーンは。。。
これって確か、あの映画の。。。
今作はそういう映画好きな人間の脳内を刺激する。
既視感に襲われるのは、トムが演ずるジャックも同じ。
私の方は単に物忘れが顕著というのにすぎないが^^;
ジャックの場合はチト違う。自ら忘れたのではない。
冒頭でジャックが「過去を消されて5年…」と言う。
でも次のシーンでスタジアムの残骸を見た時、
忘れているはずの、過去の想い出を延々と語り始める。
そして何度も夢に出てくる、見知らぬ女性と自分の姿。
んん?…なんだろう。誰なんだろう。
空上の自宅に帰還し、妻のヴィカにも聞いてみる。
また過去の話…?と怪訝な顔をする妻。
何かありそうだ。という上々な滑り出し…とはいえ、
そもそもこの夫婦が住んでいる家がどうにもおかしい。
人類が発達しいずれはこんなところに住むことが可能に
なるのかもしれないが(まぁそういう設定なんだしね^^;)
とは思いつつ、ん~?なんかでもおかしいでしょ、ここ。
と思わずにいられない。サリーも不気味(M・レオだしさ)
全体を通して、記憶と忘却(こっちはリアルに怖い言葉)、
それらを試される作りになっているが(ジャックも観客も)
最後までそのテーマに沿って描かれているのが興味深い。
ジャックの記憶。ヴィカの記憶。現れたジュリアの記憶。
謎の男ビーチの登場とその役割。
後半で明らかになるこれまでの記憶の謎と、驚愕の事実。
いちばん驚いたのは、もちろんジャック当人だろうが^^;、
ここでヴィカの心情やジュリアの正体などと絡めて一気に
三角関係のラブストーリーへと変貌を遂げる。これも凄い。
切なさが際立ってくる、、という点では、
過去のとある作品を思い起こさせる部分があり(月だしね)
アクション(映像もなかなか素晴らしいけど)寄りでもない、
風変わりな展開が観てとれる。そんな意味ではとても新鮮。
以前にもどこかで書いたけど、
生まれ変わったら一緒になろうね…。という有名な某台詞、
大丈夫です。また一緒になりますから。と、胸を張って言え
そうな、そんな気すらしてくる…^^;
ヴィカを観ていると分かることは、もうかなりずっと前から
彼女はその想いを抱いていたわけなのね。
ジャックが事実を認識した時、彼の気持ちがどう動くのか、
予想できていたから、あの涙ボロボロの号泣なのだろうと…。
エイリアン(ゼンゼン姿を見せないんだけど)も、三人の
そこらへんは熟知してなかったわけだ。ミッションに関係ない?
…いやいや、組み合わせってすごく重要なんですけど。。
どうやらヒロインの方では、
ジュリアよりヴィカの方に同情が集まる感じになったけれど、
このエリカ様みたいな顔の女優さん(A・ライズブロー)って
どこかで観た顔だな~と思っていたら、マドンナの監督映画で
あのシンプソン夫人を演じたヒトでした。あぁなるほど~。
どうりで巧いワケだ。しかし苦悩の女役がやたら多いわね^^;
もっと歳なのかと思ったら、まだ31歳。今後の活躍にも期待。
ラストは無難に纏めながら、感情の整理がつくかつかないかは
各々の信条にお任せします。みたいな終わり方。
おトム様なら何人でも大歓迎されるかもしれないと、
コイツだけはやめてくれ!っていう俳優を選ばなかった点では、
ハリウッドもエイリアンも、ズバリ好みが一致したということか。
(高所恐怖症の私はあそこには住めない^^;から地下になるのか?)