インポッシブルのレビュー・感想・評価
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災害ドラマとしてはよく出来ている・・・が、
30万人もの人が亡くなったスマトラ沖地震。
バカンスの途中で被災した白人家族はとんだ災難だし、特に母親はひどい怪我を負ったものの、家族全員再会できてめでたしめでたし・・・であるものの、当たり前だが被災したのは旅行者だけでなく地元の人も何十万人もいる。
家族を亡くし家や仕事を失い生活基盤を根こそぎ破壊されてもジェット機で隣国に行って保険で最高の医療が受けられたり故郷に帰れば家も仕事もある白人家庭に対して、何の補償も受けられなかったであろう地元の人々を思うと、別の切なさを感じてしまう。
阪神大震災の頃自分は大阪にいた。幸い家族は怪我もなく無事だったし、瓦屋根も家の中もボロボロになりローンがまだ残っているのに家の価値が半分になったのは(特に親にとってには)災難だったが、住むのに支障は無かったし幸い後に売却も出来た。それでも被災したという感覚も無かった。同じ地区で何人も怪我人や死者、家をなくした人が多く出ているのに無事で良かったとしか思えなかったからだ。
それなのに、東日本大震災で、たった1日帰宅難民になっただけで、家も仕事も家族も無事な人たちが、「自分も被災者だよー」と笑いながら話しているのを見て何とも腹が立ったことがある。
「海のそばに住む人たちは津波で被災しても自己責任なんだからわざわざ税金で補償する必要なんて無い」と言いきる人も居た。何という傲慢さか。日本にいる限り地震で被災するなんて明日は我が身だし、海沿いに住む人が居なければ漁業もなりたたないことすら想像できないのだろうか。
多くの人が亡くなっている災害時において、命があるだけでありがたいと言うことを忘れないようにしたい。
モデルとなった白人家庭の子供達は、その後医師を目指したりライフセイバーを目指して勉強しているらしい。自分が災害において家族だけでなく多くの人々の助けによって生き残り運に恵まれていたことを実感しているのだろう。
生き抜くことの素晴らしさ!家族の絆を想う刻。
非常に生々しい映像です。
あの地震を経験された方たちには、ホンっと身につまされるものがあったかと思います。
でも、こんな出来過ぎた話があったっていいじゃないですか。 百の悲劇の中で、たった一つの希望が見事に花開いたんです。素直に喜んであげようって気持ちで、感動しました。 実話の映画化ではありますが、やっぱり作品ですから、いくつかは脚色されていたかと思います。でも、そんなのはどうでもいいってくらい、リアルな内容にじっくりと魅入ってしまいました。
まず、あの津波のシーン。
いかにもプールで撮りましたってくらいに、澄んだ水が流れる映画が多い中で、この作品の水は実に澱んでいた。
そして、様々なものが流されていく実にリアルな迫力ある映像でした。 不謹慎だとは思いますが、まさにあの震災の時のニュース映像を思い出してしまいました。見るに耐えられない人たちも多かったことと思います。
そして、子供達がホンッと素晴らしかった。 特に、母親と共に行動する長男には、すっかり魅せられました。
母親を見失った時の子供らしさだけでなく、母親を支え続け、助けようとする男気。母親の胸を見て恥ずかしがる思春期の純情。
「スパイダーマン」のトム・ホランドの若かりし頃だったんですね。今回の再見で気が付きました。
母親役のナオミ・ワッツも最高です。あの美しい顔を含め、身体中を傷だらけにして、被災直後を見せ付けてくれました。
今にも死んでしまいそうな悲痛の表情、本気で心配になりました。
そりゃ、いくつか、文句も言いたくなるような出来過ぎた演出、ストーリー展開がなかったわけではありませんが、帳消しにするくらい素晴らしい作品で感動できました。
何度見ても、その度に涙ウルウルの一本です。
力強いストーリー
東日本大震災にみまわれた東北人として、見てよかったと思えた。(ちなみに自分は内陸なので直接的な被害を受けていない)2004年のスマトラ島沖地震による津波。確か津波が押し寄せるニュースが流れた記憶がある。
実際の津波に遭遇したかの映像が真に迫っていて凄い。人が流される時に様々な漂流物等に衝突して、打撲やら切り傷が生じる、津波に飲み込まれて息継ぎができない、何度も流されてしまう様子はリアルで本当に怖かった。津波に襲われて生き残るには、あれを乗り越えなければならないのかと恐怖。運も大きく左右する。子どもたちを守り探すために、自分も流されたり、暗い中一人で探し歩くのは危険だが、親なら仕方ないとも思う。考えてみればだが、ハダシで歩くことは、建築物の釘などを踏む恐れが多く危険だ。釘のない地方ならいいが、日本ではアウトだろう。
前半は、マリアとルーカス中心だが、小さな男の子を助けたり、病院で他人の探し人を探してあげたり、さすが医師だけあって素晴らしい人たちだなと感動した。後半、子どもたち二人と離れて、ヘンリーが捜し歩くのはどうかと思ったが、息子たちが名前を呼び合って再会するシーン、父に抱き着くシーンは力強い感動を覚えた。自分は死ぬかもと不吉なことを言ったマリアも助かって助かってよかった。東北には「津波てんでんこ」が浸透しているのだが、なかなか実践するのは難しいかもしれない。
残念ながら亡くなった人は、死者と行方不明者を合わせて約30万人らしい。この親子は運が良かったのだ。
ストーリーは単純であったが、希望をもって、生きようとする意志と行動が素晴らしく、父母と3人の息子の演技がとても素晴らしかった。
何度も泣いてしまった
開始20分で涙ボロボロ。
ママ!ママ!!ってルーカスがママを必死に呼ぶのを見て、小さい子供がいるからか再会できてよかった〜と思って涙がでた。
ダニエルが木の上でマリアの頭を撫でたのも可愛いし、自分の子と重ねてうるっときた。
ルーカスと弟達が再会するシーンでもう涙ザバーっとでた。
すれ違わないで〜〜!!と思ってたらギリギリでみんな再会できてよかった!
会えるよね?いつ会えるの?早く再会してって願いながら見てた。
マリアだけ死んじゃうんじゃないかハラハラしたけど、最後は家族みんなで帰れそうでよかった。
リアル
津波シーンや怪我具合がめっちゃリアルでちょっと辛かった。色んな人に勧めたい。
俳優陣はすごく大変な撮影だったんだろうなって感じ。
ユアン目当てで見たから、子供役がトムホに似ててびっくりして調べたら本人だった。
トムホ演じる長男とナオミ・ワッツが特に凄かった。
息子2人は可愛かった。
実際の家族の出来事をけっこう忠実に再現しているらしい。
全員再開エンドで良かった。
何回泣いたことか、、。
何回も見るものじゃないが、1回は見ておくべき映画。
インポッシブル
いつ何時でも
考えてもいない災害が
起こるんだと
思い知らされた
作品でした
主人公たちは幸いにも家族全員
無事で良かった
でも、亡くなられた多くの方々に
ご冥福をお祈りします。
実話に基づいた映画ということでトーマスが母を守るために成長しく姿に...
実話に基づいた映画ということでトーマスが母を守るために成長しく姿に苦しくも胸打たれた。
それぞれ色んな人と関わったけれど、最終的に家族と会えたのはこの家族とダニエルとトーマスが探した子だけであるという現実。
悲しいけれどそれが現実で常にその悲痛な映像が画面に映ってた。
最後はそれを忘れさせてくれない演出だったと思う。
子役の演技
特にルーカス、とても良かった。まあ、トムホを見たいから観たんですけどね、、
病院で人探しするシーンとか、(結局見つけたの1人だけ?とは思ったけど)人には大丈夫だよって落ち着かせてあぁ、お兄ちゃんて感じだなって思ったら自分の母がいなくなってパニックになるところがやっぱり子供。かわいい。
演技とか津波の映像はリアルでよかったけど、ストーリーは微妙。子供3人の家族で母以外軽傷で助かるってどうなん?最後保険会社の人がきて帰れるねよかったねっていう終わり方?て思いました。死なないし。まあ、幸せに終わる方がそりゃいいけど…
私は震災に遭ったことはないので怖いなぁ程度で済みましたがそういう経験のある方は見ない方がいいです。鑑賞後、そんなに怖いと思ってないのにも関わらず、津波に遭う夢を2日連続で見ました。
光を放つ星の生死は分からない
強迫観念気味の夫、医師で育児休暇中の妻、そして3人の息子達。家族5人、タイで素敵なクリスマスホリデーを過ごす予定が、津波により突如悲劇と化す実話。
序盤は超幸せなホームビデオそのもの。
もし、予定通り3階の部屋で、全員まだ室内に居て、服を着て靴を履いていたら…。
ビーチなので、水着や薄着で裸足の観光客が多く、観ていてヒヤヒヤしましたが、小さな子供達が目立った傷を負わなかったことも奇跡的かなと。
津波と濁流に飲み込まれるシーンがリアルです。金属片や木片と一緒に、泥水で洗濯機に放り込まれたような状態です…。
三男のオシッコ(の絶妙なタイミング(°_°))、父親のダサい水着にめざとく気付く長男、長男の叫び声を聞き分ける弟達。偶然とは言え、子供達の冴えた直感的な本能にも驚きました。
現地の人が、洗濯物カゴからブラウスを取り出し、裸同然のMariaに着せてあげる所。言葉は通じなくても、優しさは通じるなぁと泣けました(T_T)。
父親のとった行動は正しくないかもと思いますが、居ても立っても居られない気持ちもよく分かります。
電池切れを気にしないで使えと携帯を貸してくれる被災者もいれば、シミひとつ付いてない服装でありながら、血だらけの父親に携帯を貸さない観光客も。
奇跡は均等に起こらない。
しかし被災する可能性は誰にでもあり、明日は我が身。
みんなに余裕がない時でも、如何に周囲に気遣えるか、助け合えるか、被災時の難しさを感じました。
ママ!もう1人にしないで!と泣いていた長男Lucasの腕が、最後には逞しくなって母親を抱いていたのが印象的でした。スパイダーマン君、とても良い演技でした。Naomi Wattsの熱演も素晴らしくて引き込まれました。涙、涙、涙です。
最初と最後に、Zurichの宣伝みたいになってしまった点だけは残念。
最初っからずっと泣けた
すっごい良かった
最初っからずっと泣けた
ただ観てるのは恐ろしく疲れる
3人兄弟の真ん中の男の子の演技が秀逸☆
本当は10点だけど、長男の演技がイマイチだったので-1点↓
ナオミワッツの演技もすばらしかったな・・・
津波で流されている時に、母と息子の助け合おうという親子愛にも感動したけど、
その2人が助かって木に登ろうとする時に「助けて」という声が聞こえて、一刻を争うのに助けようとする気持ちにも心打たれた。
誰かの役に立つような人生を送りたいと思ったけど、果たしてそれが出来るのか・・・
ついつい自分の事ばかりを優先してしまう情けなさを反省。
少しずつでもいいから、人の為になれる様な人間になるよう努力します☆
その前に輝いて、その光は今も宇宙を旅してる
映画「インポッシブル」(J・A・バヨナ監督)から。
「impossible」の意味は「不可能な・無理な」
「とてもありえない・信じがたい」など。
2004年のスマトラ島沖地震で発生した津波にのまれ、
離れ離れになりながらも、最後には再会した家族の実話、
その事実が「信じがたい」のだろうか。
東日本大震災のあとに公開されたからか、津波の再現映像は、
見るに堪えなかった。(「映画」とは割り切れないものがある)
私たちは、津波が人々に襲いかかるシーンを見ることもなく、
ヘリコプターなど上空から撮影された映像をテレビで見て、
「すごい、すごい」と驚きの声を挙げていたにすぎなかったな、と
妙に、自己嫌悪に陥ってしまった。
もし「気になる一言」を選ぶとしたら、
家族が災害によって死んだことを子どもに納得させるシーンで
夜空に浮かぶ星を眺めながら話した会話。
「この中にはね、ずっと前に燃え尽きてる星も・・知ってた?」
「死んだってこと?」「そうよ」
「でも、その前に輝いて、その光は今も宇宙を旅してる。
だから、見てるの」「死んだか、生きてるか、見分けられる?」
「それは無理ね。素敵な謎じゃない?」「うん・・」
こんな会話のできる人って、なかなかいないよなぁ、とメモをした。
既に燃え尽きているのに、まだ私たちの目には光が届いている。
それが、偉人たちの伝記かもしれないなぁ。
P.S.
それでも敢えて言うなら、津波で家族を失った人は観ない方がいい。
「impossible」には、耐えられない、我慢できない、どうしようもない、
手に負えない、などの意味もあるのだから。
感涙のインポッシブル
正直、感動的な人間ドラマだ。実話の奇跡というべきかもしれない。しかし、東日本大震災を経験したばかりの日本人にとっては、その絶望的で凄惨な光景は、まだ辛い。人によっては正視できないかもしれない。
日本の震災で、真っ先に「絆」が叫ばれた。日本的情緒の表れとして、いい言葉を選んだと思ったが、この作品の舞台、スマトラ沖の地震も同じだった。
ナオミ・ワッツ、ユアン・マクレガーの家族の絆以上に、言葉も違う様々の当事者たちが、絆で結ばれていく。重症のナオミ・ワッツが、傍につきそう息子に、ここにいるよりも、困っている人を見つけて、人助けをしなさいと諭す。人を助けることで自分が救われ、希望の源になる。この言葉が、この作品のすべてを物語っていた。
日本人も震災や津波でくじけそうになったり、いつか、その事を忘れそうになったら、精一杯生きようとする姿をこの作品で観て欲しい。心からそう願う。
離れてはいけない。
これを観ている間中、背筋が凍って仕方がなかった。
もちろん、大津波が押し寄せて流されたこともあるのだが、
一番怖かったのは、これが異国の地であることだった。
言葉が通じないこと、習慣や(ある意味で)モラルの違い、
バカンスを過ごすのにどんなに適したリゾート地だろうと、
災害に見舞われれば一気に悪夢の地と化すのである。
実話を元に描かれたこの物語は、
つまり最終的に家族が出逢える…ことが分かっていながらも、
災害後の、こんな途方もない映像が延々と続くのか…という、
何をどう捉えて、どう行動すればいいのか、が試される作り。
5人いた家族は辛くも命は助かるのだが、一家はバラバラ。
長男と母親。
次男三男と父親。
大怪我を負った母親は、長男と共に木の上に逃げ延びたのち、
現地人に救助される。だが…
収容先の病院はもちろん遺体と重症患者で溢れかえっている。
出血が止まらない母親がどんどん弱っていく中、
母親の助言で周囲の助けに奔走していた長男が、戻ると
母親がいない!消えてしまった母親を狂ったように探しまわる。
なんなの!これ~。
せっかく助かってもまったく安心できないじゃない。
確かに災害時に物事が真っ当に動くはずがない。のは分かるが、
それにしても、なんでこんなことが起こってしまうのか!?
所変われば~なんていっていられない状況が続く。
中盤以降は並行して父親が二人の息子を高台へと預け、妻と
息子を探し求める姿が延々と映し出される。
まさに気が狂いそうな父親の心情をユアンが熱演!するが、
こちらも預けたはずの子供たちが、なぜかトラックに乗せられ…
という奇妙な光景に出くわす。
これが何だったのか?最後まで説明はなかったが、もしも
あのまま子供たちがどこぞやへ連れて行かれたら、またしても
家族がバラバラになってしまう。本当に怖い話だ。
ケータイも使えないこんな状況で、もしも生きていたならば、
絶対に家族と離れてはいけないと痛感した。ことに海外では。
母親N・ワッツが大熱演。
さすがアカデミー賞にノミネートされるくらいの演技だった。
いや、演技とは思えないリアルさに満ちていた。
彼女が美しい妻の姿でいられるのは、冒頭のほんの10分足らず。
被災してからほぼ半裸でボロボロの姿となり、重傷患者と化す。
それでも息子を率いて、自力で木に這い上がる姿や、
自分は大丈夫だから、周囲の人の助けになりなさい。と気丈な
振る舞いを続ける。ものすごいお母さんである。
だけど、このまま夫と逢えなかったら…とそう思っただけで怖い。
日に日に弱っていく姿が酷く、何回も目を背けてしまったほどだ。
不可能を可能にしたのは、彼女のそんな壮絶な姿でもある。
どんなに万全の備えをしても、自然災害は想定外に起こる。
もしも海外の離島であったら、これほど恐ろしいことはない。
津波の恐ろしさは、日本人なら思い出してしまいそうだが、
かなりリアルだった。2004年のこの被害も忘れてはいけなかった。
どれだけの人が亡くなったのかは分からない。
本作では主人公一家にスポットを当て、他者のその後はほとんど
描かれていない。描かれているのは助かった人間がメインである。
ドキュメンタリーとはいえ、個人の回想劇だからこれは仕方ない。
彼らのように出逢うことができた家族が多かったことを祈るばかり。
手を合わせるようにドキドキしながら見守る作品である。
旅先では万が一のことを考えなければならないという問題提起と、
サバイバル能力、絶対に諦めない生きる勇気を再確認させられる。
(J・チャップリンの老婆も忘れ難い。不思議な活力を長男に与える)
あらためて恐ろしさを感じました
スマトラ島沖地震による津波災害に遭遇した1つの家族の奇跡の生還劇。実話に基づいた物語。
CG(だと思う)による押し寄せる津波や、特殊メイクによる傷等、観ていて身体に力が入ってしまうシーンが多くて、鑑賞後に肩がこってたよ(笑)
東日本大震災での津波と重ね合わせながら観ていたのだけど、あまりに壮絶な現場にいたたまれなくなってしまった。
それでも、多分、被害者感情を意識して描写は若干控えめしていたと思う。きっと実際の現場はもっと目を覆いたくなるような惨状だったと思う。
あまりにも理不尽で残酷な自然の暴力。それでも、そんな中にも奇跡はあったんだなぁ....。
とにかく「家族」「親子」にフィーチャーして描かれていたよ。
離れ離れになっていた家族が生きて再び抱き合うことができた。それは感動だね。観ていてジーンとしたよ。子を持つ親としても、ひたすら家族を探す父親役のユアン・マクレガーに感情移入してしまったし...。
それにしても、長男ルーカス役を演じたトム君の演技が良かったね。今作の主演は彼だよ。うん。
命の危機を乗り越え、母親を守る過程で「男の子」から「男」に成長していく様子が心強かったよ。観ていて勇気づけられたな。
そしてラスト。極限から脱出した時に、それぞれがふと感じる自分の無力感。
「結局自分達のことだけで一杯一杯だったな...」と。
そして感じるのは「自分達だけ...」という、ある種の後ろめたさか?
仕方が無いんだけどね。誰にも責められないよ。
それ程の極限状態だったのだからさ。
観ていてツラくなることもあったけど、佳作だったと思う。
観る事を薦めて良いか判断出来ないが、覚悟を決めて観るのも一つの選択です。
津波再現映像技術評価としては5点。 でも映画のドラマとしての採点は2点でも充分だ。
映像技術の進歩により、作り物で有る映画のワンシーンが本物のニュース映像を観ている様な錯覚を憶える程に、リアルな臨場感を持ち、観客の心を動揺させるイメージ化の技術力を映画界は持つようになってしまった。
しかし、その技術が先行した分、そこに本来描かれるべき、人間のドラマ性が希薄になり、充分に表現されずに、映画が語るべき、マインドが完全に追い付いていない。
更に付け加えるなら、映画の終盤再度、津波の映像を出す必要性が有るのか疑問が残った。もしも、あの映像を指し込む必要が有るなら、明確に誰にでも、その意味が理解出来るように、意図を示して欲しかった。正直、不快感だけが残ったのだ。
あのシーンはルーカスの夢なのか、彼のトラウマなのか、フラッシュバックとして見せているだけなのか、或いは、死の世界を、さまよう母親が、家族のいる現世に完全に戻って来て、回復すると言う意味を示しているのか、曖昧であった。
確かに、映像を観ていると涙も出るし、家族の有り難さ、大切さは伝わって来る。しかしそんな当たり前の事を、映画が巨費を投じて、敢えて伝える意味があるのだろうか?
この主人公一家5人家族が、津波に飲み込まれ、生き別れになった後に、家族が無事に再会して、良かった。めでたしめでたしと言うのでは、津波の映画を制作する動機としては不十分だと思う。
この作品と比較して、脳裏に一番残る作品では、図らずも公開上映中に震災が起こり、上映が中止された「ヒアアフター」がある。あの作品は、津波被災者の、津波体験そのものを描く作品では無く、その津波体験をした人間の心の内面がどの様に、変化してゆくものなのか?同じ様に津波体験をした筈の彼氏には何故大きな心の変化が見られないのか?その他テロで亡くなった幼い兄弟の生死を分けた理由とは何か?「ヒアアフター」では、人の生死を分ける意味は決して人間には理解出来ないけれども、人はこうした災害を経て生き残っている自己の生命の意味を皆、それぞれが苦しみと共に探り出すものだと伝える。
先進諸国に暮す我々人間は、通常、経済的自立をしている為に、自力で生きていると錯覚をしているが、その自己の生命とは、自然の営みと言うもっと大きな力によって、生かされてこの世に、束の間だけ存在している儚い命である事を嫌でも、人は災害を経験する事で、知らされてしまう。
だからこそ、家族の平凡なささやかな日常も、何よりも尊いのだと言う事が逆説的に言えるのだが、映像表現作品として、生命の危機に陥った人々が直も、他人を思いやる心を持ち続けていられて、他者を助ける力を持つ人間は美徳であると言う事のみを描くのでは、全く逆である。
本来、人間とは、他者を思いやり、協力的に生きる存在なのだ。しかし、先進諸国に暮し
物質的な物ばかりに振り回されて、目に見える事物にばかり、価値を見出してしまった生活を長くしていると、人間にとっての本当に必要で、大切な価値を持つものが何であるのかが見えなくなる。幸運にも津波の被害から生還を果たしたその、大切な自己の命でさえ、時に、その助かった本人は、自分の命が助かり、愛する人を亡くした事で罪悪感を抱え、生きる苦しみを背負っている人も多数いると言う、心の哀しみなど全く描かれない。その様な被災者の心の内の苦悩の微塵も描かれないこの映画は、プラスチックで出来た人形の芝居を観ているようだと表現したら、かなり厳し過ぎるだろうか?
しかし、敢えて、この大災害であったスマトラ沖の津波の被災者の人々の、その立場を再現する実話の映画を撮ると言うのであるならば、制作側にも、それなりの覚悟を持って、人間の根底に有るべき姿を描き出して欲しかった。医者も、その他現地の人々も、その殆んどが割愛されていた。2時間の長尺でも、この薄っぺらな、上辺だけの作品の内容なのだ。
巨額の制作費をかけた映画でも、映画の最後に保険屋が、この主人公5人家族をシンガポールで治療の保証をしますと言うセリフを入れるなど、いくら大口のスポンサーであったとしても、映画全体のそれまでの価値をも貶めるものだ。
まず、こう言った問題をクリアする事から、映画を練っていかなくては良い作品は決して生れないと思う。
気分転換の軽い作品ではない、真面目なヒューマンドラマである以上、評価はより厳しくしなければならないと思う。残念でならない。
試写会では、映画会社の宣伝部の方々が、とても真摯な態度で、この作品の公開に際し、
心配りをされていらっしゃいました。そのお気持ちや、ご配慮には深く感謝しています。
映画は所詮映画であり、一人一人が違った感性で映画を味わうものですから、私は個人的には本作は好きにはなれずに、残念でした。
しかし、多くの方がこの映画を観て、被災されている人々の心に寄り添う事が出来たとするならば、この作品を公開する価値は多いに有る事でしょう。
願わくば、この5人の家族の様に、私達も、被災された方々と共に、出来るだけ末永く、心を通わせる、人生を歩めるように生きたいと思う。
思ったより
ストーリーの掘り下げ方が少なく、あれっ、もう終わっちゃうの?って感じでした。
津波のシーンはすごく迫力があっただけに、残念です。
ナオミ・ワッツ家族だけにスポットが当たっているので
とっても、わかりやすいストーリーにはなっていますが、
あれだけの被害の中で、もう少しいろいろな人々の話を何本立てかで
軽くストーリーを絡ませれば、もっと深みがでていいのに。。。
病院で人探しをし始めた長男は、1人見つけたあとは、すっかり人探しは忘れているし。
偶然助けた子供とは、お父さんらしき人に抱かれているシーンで終り。
実際には、なかなか会えなかったであろう家族との再会も、
時間の経過が全くわからないので探し始めて、
すぐに会えてしまったかのような印象すら残ります。
実話として、とってもいい話だと思いますが
2時間弱の映画にしては、内容が少し薄すぎ。。。
忘れない為に観にいく
スペイン アメリカ合作映画
原題:「IMPOSSIBLE」
邦題:「インポッシブル」
監督: J A バヨナ
キャスト
マリア:ナオミ ワッツ
ヘンリー:ユアン マクレガー
ルカス:トム ホーランド
2004年12月26日に起きたスマトラ島沖地震と それに続いて起きた津波の被害にあった、スペイン人家族のお話。あの23万人の死亡者、行方不明者を出した津波だ。
これは実話です、という断り書きで映画が始まり、最後に実際に被害にあった家族写真が出てくる。主演したナオミ ワッツが、今年のアカデミー賞、主演女優賞にノミネートされている。監督は、サイコホラー映画「永遠のこどもたち」を製作したJ A バヨナ。
ストーリーは
クリスマスイヴ。2004年のクリスマスホリデーを 家族そろって過ごそうと、3人の子供達を連れたスペイン人一家が、タイのリゾートにやってくる。日本に派遣されて働いている父親ヘンリーと、医師の妻、マリアと、5歳、7歳、と15歳の3人の男の子たちだ。 寒い冬から一足飛びで真夏のリゾートに来て、クリスマスには、子供達はクリスマスプレゼントを受け取る。幸せ一杯だ。翌朝 家族は、早くから南国の強い光をあびて、ホテルのプールで遊んでいた。その時、未曾有の規模のスマトラ島沖地震が起き、近辺の海岸だけでなくアメリカやアフリカにまで波及して犠牲者が出るほど大規模の津波が押し寄せる。不気味な轟音と共に、ホテルの塀を越えて、巨大な波が押し寄せてきたとき、家族全員が あっという間に大波に流される。
波が来た時に、初めに遠くに流されていった長男のルカスを マリアは追う。名前を呼びながら、漂流物にぶつかり、傷だらけになって、マリアはルカスと一緒になると、長い漂流の末、やっとのことでマングローブの茂る浜に泳ぎ着く。マリアは肺に達する大きな傷を胸に受け、ガラスで切った片足も出血が止まらない。そんな母親を励まし、自分も傷だらけになりながらルカスは、救出されるまで 母親を気丈に支える。
ヘンリーは、波が押し寄せてきた時、幼い二人の息子を抱きかかえていた。肋骨骨折や無数の傷を受けながらも運良くホテルに近い椰子の木にひっかかり無事息子の命を守ることができた。二人の息子達を避難所に向かうトラックに載せると、ヘンリーは、7才のトマスに、5歳の弟の面倒を見るように言って聞かせ二人の見送ると、自分は長男とマリアを探し始める。おびただしい数の死体。混乱を極める仮設病院。
マリアはルカスの機転で、病院に運ばれ、胸の手術を受けるが、傷は深く衰弱が激しい。やがて沢山の人の助けや偶然が重なり、家族5人が再び会うことが出来、マリアは気力を取り戻し、、、。というお話。
2011年3月11日に、東日本大震災と、それに伴う大津波と原発事故を体験している日本人には、この2004年の大津波の映像を見るのは過酷過ぎる。と思っていたが、この映画、日本でも、じきに公開されるという。主演女優ナオミ ワッツがアカデミー賞にノミネートされたからかもしれない。確かに子供の為なら何が何でもやってのけることができる母親の姿を熱演していて、あつい涙を誘う。とても良い役者だ。
ナオミ ワッツ、44歳イギリス生まれのオージー女優。高校では二コル キッドマンと同級生だったそうだが、ニコルのように恵まれた家庭で育った女王様ではなくて、働く為に卒業もしていない苦労人。テレビ俳優だったがデビッド リンチに認められて、2001年「マルホランド ドライブ」を主演して実力を見せた。
その後、2004年に日本のホラー鈴木光司原作、中田秀夫監督による「リング」のアメリカ版リメイク「リング1」と「リング2」を主演した。日本のホラー、怪談の怖さを世界中の人々に紹介して震え上がらせてくれた功績者でもある。2005年の「キングコング」では、網タイツで踊って手品をみせてキングコングを面白がらせて辛うじて殺されずに済んだ女を演じ、2010年「フェアゲーム」では CIA職員でありながら「イラクに 核兵器どころか大量殺人兵器も無い」と本当のことを言ってしまって、CIAから命を狙われた役をショーン ペンとともに演じ、また、2011年には「「J エドガー」では、一生独身で、エドガーが死ぬまで支えて生きる地味で寡黙な秘書の役を演じた。美人なのに、総じて金髪美人の可愛い子ちゃんが良い男に会ってハッピーエンド、、というような作品に全然出ていない。「マルホランド ドライブ」でデビューということからしてメインストリームではない。頭が良すぎるのかもしれない。
映画でナオミ ワッツの夫役をやったユアン マクレガーは、41歳、スコットランド人の舞台俳優だ。この人も過酷な状況で傷だらけになりながら苦労する役が多い。2012年の「イエメンでサーモンフィッシング」は、彼にしては珍しい恋愛ものだ。彼の2011年「ゴースト ライター」が良かった。ここでも彼はCIAに最後にあっけなく殺されてしまう。
今回の映画でナオミ ワッツ以上に大活躍して「悲嘆」「絶望」そして再会後には「歓喜」をたっぷり見せてくれて泣かせてくれたのは 長男ルカス役のトム ホーランドだ。16歳のバレエダンサーということだが、華奢でずっと若く14歳くらいに見える。ジブリ作品「アリエッテイ」の主役、心臓病のショウの役を 英語版で声役を務めた。舞台「エリオット」で注目されてエリザベス女王の前でも演じたそうだ。バレエを踊る舞台俳優。将来を期待されている。
津波で人々が流されるシーンは クリント イーストウッド監督の映画、「ヒア アフター」に出てくる津波のシーンに、とてもとても似ている。透明な水の中で人々が溺れ、激しい勢いで突進してくる車や柱にぶつかり傷だらけになる。衝撃音がすごい。
でも本当の津波は、透明な波ではなくて、海底地震によって覆された海底の真っ黒い土砂の波が 暴力的にぶつかってくるのだ。この波に沈められると、海の中は何も見えないし、衝撃で多量に飲んでしまう土砂はヘドロや石油を含んでいるため急性中毒を起こして、救出されたあとで 人々は亡くなることが多い。泥が咽喉に詰まって呼吸ができなくなったり、急性肺炎も併発する。これほどの大規模の大災害にあって 混乱のなかで家族5人が再会できたことは、この映画のタイトルが言うように ほとんどインポッシブル(ありえない、不可能)なことだったろう。奇跡に近い再会だった。映画はハッピーエンドだが、現実は 23万人の死であり、とてつもない「悲惨」と「無残」な別離だった。
ヒトは、2004年にスマトラ島沖地震と津波を体験し、2011年3月に東日本大震災と大津波を経験した。ヒトは二本足で立ち、道具を自在に使えるようになると、ほかの動物も植物もすべて人が生存する為に利用し、自然を破壊してきた。自然から逆襲されても仕方の無いほどに、罪を犯してきた。いずれヒトは滅亡し、地球は無くなる。無限の宇宙の歴史から見たら、地球上で繰り返される自然災害など ちっぽけな出来事でしかないのかもしれない。
それでも私達は、こうした映画を通して 災害に出くわしたひとつの家族の喜怒哀楽に、少しでも共感したくて、映画を見る。
絶対、忘れない為に。
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