「災害ドラマとしてはよく出来ている・・・が、」インポッシブル Jaxさんの映画レビュー(感想・評価)
災害ドラマとしてはよく出来ている・・・が、
30万人もの人が亡くなったスマトラ沖地震。
バカンスの途中で被災した白人家族はとんだ災難だし、特に母親はひどい怪我を負ったものの、家族全員再会できてめでたしめでたし・・・であるものの、当たり前だが被災したのは旅行者だけでなく地元の人も何十万人もいる。
家族を亡くし家や仕事を失い生活基盤を根こそぎ破壊されてもジェット機で隣国に行って保険で最高の医療が受けられたり故郷に帰れば家も仕事もある白人家庭に対して、何の補償も受けられなかったであろう地元の人々を思うと、別の切なさを感じてしまう。
阪神大震災の頃自分は大阪にいた。幸い家族は怪我もなく無事だったし、瓦屋根も家の中もボロボロになりローンがまだ残っているのに家の価値が半分になったのは(特に親にとってには)災難だったが、住むのに支障は無かったし幸い後に売却も出来た。それでも被災したという感覚も無かった。同じ地区で何人も怪我人や死者、家をなくした人が多く出ているのに無事で良かったとしか思えなかったからだ。
それなのに、東日本大震災で、たった1日帰宅難民になっただけで、家も仕事も家族も無事な人たちが、「自分も被災者だよー」と笑いながら話しているのを見て何とも腹が立ったことがある。
「海のそばに住む人たちは津波で被災しても自己責任なんだからわざわざ税金で補償する必要なんて無い」と言いきる人も居た。何という傲慢さか。日本にいる限り地震で被災するなんて明日は我が身だし、海沿いに住む人が居なければ漁業もなりたたないことすら想像できないのだろうか。
多くの人が亡くなっている災害時において、命があるだけでありがたいと言うことを忘れないようにしたい。
モデルとなった白人家庭の子供達は、その後医師を目指したりライフセイバーを目指して勉強しているらしい。自分が災害において家族だけでなく多くの人々の助けによって生き残り運に恵まれていたことを実感しているのだろう。