あれから

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解説

「東京島」の篠崎誠監督が、東日本大震災直後の東京で被災地の恋人への思いに揺れる女性を描いた人間ドラマ。2011年3月11日、東日本を大きな揺れが襲った。東京で暮らす祥子は、被災地にいる恋人・正志と連絡が取れずにいたが、やがて正志が精神のバランスを崩して入院していることを知る。すぐに駆けつけようとするも、正志の家族に断られてしまう祥子。戸惑う彼女の前に、入院しているはずの正志が姿を現わし……。第25回東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門で上映された。

2012年製作/63分/日本
配給:コムテッグ

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(C)2012 コムテッグ/映画美学校

映画レビュー

3.5彼女にとっての事実、私たちの真実

cmaさん
2013年8月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

幸せ

とても静かな、そして奇妙な映画だ。多くの「震災映画」は、物理的な事実を生々しく描き出そうとした。その一方で本作は、物語のヒロインにとっての事実、心の中で起こった事柄を丁寧にすくい上げ、観る者の記憶に留めようとする。彼女の同僚が、震災後も淡々と日常を続けていることへの違和感を口にする。けれどもスクリーンの前にいる私には、彼女たちさえも日常から遠く見えた。震災の起きた世界、彼女たちのいる世界、私たちがいる世界。それはすべて異次元でパラレルに存在しながらも、ときに重なり合い、すれ違う。
物語の辻褄はきちんと合っている。けれども、現実と虚構の境界はあいまいで、互いに侵食し合う。特に印象的なのは、ヒロインの部屋に貼られた青空のポスターだ。あるものを覆い隠すために貼られているそれは、時に本当の空のように映り、時に書き割りのように薄っぺらく見えた。そして、パーティー中に彼女にだけ散りかかる、桜の花びら。けれん味がありすぎるようにも感じたが、彼女にはそれが必要だったのだ。「あり得ない」あれこれが、不思議に現実みがある。彼女が夢で逢う恋人は、ある意味彼女と本当に出会い、言葉を交わしたのかもしれない。
もしかすると、この物語は、目覚めぬ者の見た幻、願望なのだろうか。恋人は死んでおり、ヒロインも命を落としたか、昏睡しているのかもしれない。そもそも、彼女たちは、誰ひとり実在しないのかもしれない。彼女たちは、どこかフワフワとしている。(私自身、震災をきっかけに、こうして日々を過ごしているのは夢で、本当の自分はどこかに横たわっているのでは、いつか醒める夢なのでは、という思いに時々囚われる。)
現実かそうでないかは、大した意味を持たない。誰かにとっての真実にふれることが大切であり、今の私たちに必要なのだ。不穏さ、引っかかり、違和感。それらを抱え、私たちは生きていく。

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cma
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