「ティーンエイジャー向けだと思うことなかれ。 オッさんでも楽しめる良質コメディ!」ピッチ・パーフェクト たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
ティーンエイジャー向けだと思うことなかれ。 オッさんでも楽しめる良質コメディ!
クールな態度で他人に接し、そのせいで友人もいない音楽業界志望の女子大生ベッカが、偶然入部したアカペラ部で個性豊かな仲間たちと一緒に全米NO.1を目指すという青春ガールズ・コメディ。
主人公ベッカを演じるのは『トワイライト』シリーズや『50/50』のアナ・ケンドリック。
チームメイトの一人、太っちょエイミーを演じるのは『恋愛だけじゃだめかしら?』『バチェロレッテ』のレベル・ウィルソン。
パッケージやあらすじから、ティーンエイジャーの女子向けという、最も自分から離れた人間のための映画かと思っており、あまり気乗りせずに観てみたのだが、正直かなり面白かった。
やっぱり食わず嫌いはよくないね!
映画としては、個性がバラバラでまとまりのないダメダメなチームが、同じ目的に向けて努力していく中でだんだんと団結していき、最終的には素晴らしいパフォーマンスを発揮するという、青春映画の王道を征く作品。
定番のストーリーで、物語上の裏切りや意外性は全くない。
しかし、主人公やチームメイト、ライバルチームのキャラクターがみんな個性的で魅力があり、笑えるギャグも沢山あるという、青春部活コメディとしての要点がしっかりと押さえられており、チームの軋轢と和解や、友情と恋愛というお約束もちゃんとある。
ギャグとシリアスの割合もちょうど良いためとても見やすい作品になっている。
ギャグはなかなか面白いし切れ味も鋭いのだが、冒頭のゲロに始まり、終始キツめの下ネタのオンパレードなので、下ネタに耐性がない人や苦手な人にはしんどいかも。
本作の白眉はやはりアナ・ケンドリック演じるベッカ。
望んでいない環境で生活しており、その中で嫌々始めたアカペラにだんだんとのめり込んでいく様子を上手く演じていた。
何よりちょっと不良ぽくて巨乳という、男の妄想を詰め込んだようなキャラクターにはやはりグッときます👍
ライバルチームである「トレブルメーカーズ」も良い。
ライバルチームにありがちな嫌なヤツらなんだけど、エンストで困っている主人公達を一応助けてくれたりと、どこか憎めない感じが愛らしい。
全米チャンピオンなのに、運動部に比べるとスクールカーストが低いという設定と、それも納得の全体的にイケてない感じはなかなかフレッシュだった。
ベッカたちのチーム「バーデン・ベラーズ」をはじめとして、いろいろなチームのアカペラが聴けますが、どれも素晴らしい。
特にクライマックスの盛り上がりは『天使にラブ・ソングを…』を思い出させてくれるような熱気があり、なかなかに胸が熱くなります。
作中でプレイされた「リフ・オフ」という歌でしりとりをするような競技は、ヒップホップのMCバトルみたいで面白かった。
あれ、実際にやろうと思うとかなり難しいですよねーー。
『ブレックファスト・クラブ』という映画が重要な要素として登場しますが、自分はこの映画を観ていなかった…
観てなくても十分に意味は伝わりますが、やはり映画について知っていた方がより楽しめたかと思うと残念です😢
よく出来ていたコメディ映画だが、一点気になるのはベッカのルームメイトの韓国人留学生。
彼女とベッカの軋轢が描かれたが、結局投げっぱなしみたいになっていた。
彼女の存在理由が分からず、そこはノイズになったかな…。
とはいえ、とても楽しい青春コメディなのは間違いない!
正直『2』も観てみたくなった!
海外のコメディ映画は肌に合わないことも多いが本作はとっても良かった。オススメです(^^)