「もう一つの選択」東ベルリンから来た女 arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
もう一つの選択
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既に西側に脱出した恋人は彼女と一緒に東側で暮らしてもいいと言う。東側の生活に嫌気がさしているのは、むしろバルバラ方なのだ。出国申請書を出したことで、彼女には常にシュタージの監視が付き、定期的に徹底した捜索が行われる。一方、過去の医療ミスから地方の病院に左遷され、職場での監視役になることをも強いられているアンドレも相当息苦しいはずだが、彼は患者を第一に考え医師として務めをはたそうとしている。
そんな彼の姿が彼女の心境に変化をもたらす。
東西分断時代のドイツを舞台にした作品はいくつもあるが、バルバラがしたように「残る」という選択を描いた今作は新鮮だった。
9年後、ベルリンの壁は崩壊する。この9年後の未来が彼女に分かっていれば、残るという選択はもっと簡単だったかもしれない。でも、彼女は未来が見えない中でも東側で医師として生きていくことを選んだのだ。
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