「二人の医者としてのミッションが一致した。」東ベルリンから来た女 Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)
二人の医者としてのミッションが一致した。
東ベルリンと西ベルリンの狭間に生きてきた人たちの映画やドキュメンタリーをいくつかみているので、これも選択肢に入れた。しかしこの映画は東ベルリンから東ドイツの田舎のバルト海が見えるところで生きている(いく)バルバラという女医の話だった。
先ず、千九百八十年東ドイツでと字幕が出る。千九百八十九年に東西一緒になったから、その前の映画で、かなりの人々が西に移りたい様子がよくわかる。以前、東に残った人と西に移った人のドキュメンタリーを観たことがある。
この映画はバルバラ(ニーナロス)が東ベルリンのシャリテー – ベルリン医科大学の大病院から田舎のバルト海の近くの病院に左遷されてくるところから始まる。この映画で好きなところを3つぐらいあげてみたい。
1)バルバルはステラという患者をステラと呼ぶが、アンドレは『彼女は』と言う。それをバルバルはステラと言うようにと。もっと患者に個人的に接するように、名前で呼ぶようにと。これは重要で、『彼女』が何人もいるけど、ステラはこの患者一人だと言う指摘だと思う。
2)アンドレ(ロナルト・ツェアフェルト)はオランダのハーグに行ってみたいと言った。レンブラントの作品The Anatomy Lesson of Dr. Nicolaes Tulpについて話しているが、この死人はAris Kindt で泥棒して死刑になった人で、この左手を解剖していて、それが誇張されて描かれていると。これは、アンドレが自分の考えていることや好きなことをバルバルと共有したいと言う気持ちが現れている。それに、アンドレの医者としてのミッションがここで現れていると思った。間違って解釈しているかもしれないが、医者は患者のAris Kindtの立場で、これを観察している研修医の立場ではないと。私は魅力的な人だと思った。彼女はこの絵画の彼の解釈にあまり興味を示さなかった。
3)この映画の中でバルバラは医者として成長してきていると思う。なぜかと言うと、アンドレが末期癌の女性、秘密警察の妻を自宅訪問して看護しているのを知って、彼が自分の人生をこの仕事に捧げているのを見て驚いるようだ。これを見てから自分の道も決めかねているようだった。それに、西にいるボーイフレンドの『西に来たらはたらかなくいいよ』という考えが噛み合わなかったように見えた。それだから、アンドレにより好感をもってきたように見えた。アンドレはただ彼女を優しい眼差しで見つめているだけで、自分がどういう人間かをレンブラントや書物などによって、現そうとしたが、結局は、彼が医者として訪問医をしている姿が、バルバラに印象的だったようだ。アンドレは紳士で彼女を食事に招待した時、初めてバルバラに気持ちを告白した。それも、『あなたがここにいて、しあわせ』と。ただこれだけが、彼の精一杯の告白で深い愛の気持ちだと思った。
最後のシーンでバルバラはボーイフレンドに手紙を書いてステラを自分の代わりにボートに乗せた。この行為がアンドレの医者のミッションと同じで、ここで二人は結びついた。
バルバラがマリオを見守っているアンドレのもとに戻ってきた時、アンドレの目は嬉し泣きのようで目に涙がにじみ出ていた。アンドレの心の悲しみがとれた。
P.S.アンドレが摂氏と華氏を間違えたと言った。それはニュージーランド製品だからと。ちょっと不思議に思って調べてみたらニュージーランドは1969年に華氏から摂氏に変えたと。
いいレビューです。ニュージーランドの華氏と摂氏も含めて勉強になりました。また、いいなと挙げられてた箇所、私も同感のところが多く嬉しかったです。ありがとうございます!